第4話
巨大な羊皮紙を見たエリックは己の状況を理解する。
「前回もここに来た……やっぱりあれは夢じゃなかった。死ぬたびに過去に戻されていたんだ」
エリックは羊皮紙に近付き、膨大な文字の羅列に注目した。
彼は記憶を掘り起こしながら考察を進める。
「特典……前回は確か【筋力二倍】を選んだ。剣の柄が割れたし、足も速くなっていた。選んだ特典が俺の肉体に反映されるわけか」
エリックは文字列の中から【筋力十倍】の文字に触れた。
すぐさま女の声が聞こえてくる。
『ポイントが不足しています。あなたのスコアは150ptです』
「ダメか……じゃあこっちは?」
エリックは別の文字に触れる。
すると今度は別の反応があった。
『特典【魔術耐性Ⅰ】を選択しました。時間を遡行します……』
間もなく視界が切り替わり、エリックは荒野に放り出される。
周囲には仲間の兵士達がいる。
「やっぱりこの場面か……」
「歩きながら居眠りか? 器用なもんだな」
隣を歩く男が皮肉っぽく笑う。
エリックは早口で警告した。
「これから俺達は魔術部隊と戦うことになる。逃げた方がいい」
「はぁ? 何言ってんだ。ここは僻地だぜ? 魔術師のエリートどもが来るわけねぇよ」
「いや、絶対に襲撃してくる! そして俺達は全滅するんだ!」
「貴様! 何を言っている!」
やり取りを聞きつけた上官が二人の前までやってくる。
エリックは堂々と要求を告げた。
「この先で魔術師部隊と遭遇します。作戦を変更してください」
「戯れ言を抜かすな! 作戦は絶対だ! もし帝国の魔術師がいるのなら、突撃して殺しに行け! それが貴様らの役目だ!」
「命は無駄にできません。命令を拒否します」
「これが最終確認だ。意思は変わらないか?」
「はい」
「――ならば死ね」
殺気を放つ上官は剣を抜くと、エリックが反応する前に彼の首を刎ねた。




