64 ◎ボジョレー会、6度目勝負!(後編)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【主な登場人物】
丹沢純也 31歳男 美浦市役所住民課主事
由利源吾 31歳男 美浦市役所税務課主任
茂木数魔 31歳男 美浦市役所情報統計課主任
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【前書き】
●この小説には多くの数字が出てきます。そこで読者の皆様が読み易いように横書きとなっております
●多人数での会話も多いことから、誰が話しているのか、すぐにわかるよう会話の頭に台本形式で、氏または名を付けて表現しました
●この物語はフィクションです。実在の個人・団体、実際のレースとは一切関係ありません。ボートレーサーと市役所職員をモデルに、フィクションとして制作されたものです
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【01】 茂木さんの予想、完璧だね!
【テレビ画面】
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【出走表】
浜名湖 2日目 一般戦 第3レース 予選 男女W優勝戦
1号艇 入間幸恵 46歳 B1級 勝率4.20 モーター× 46
2号艇 花嶋万貴 37歳 A1級 勝率7.22 モーター- 21
3号艇 上西裕子 34歳 B1級 勝率4.19 モーター- 2
4号艇 森浦愛以 21歳 B2級 勝率1.79 モーター△ 55
5号艇 寺方千景 49歳 A1級 勝率7.49 モーター○ 34
6号艇 諸橋悠月 26歳 B1級 勝率3.12 モーター◎ 4
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
午後0時25分『ボートレース浜名湖』男女W優勝戦予選第3レース本番。
♪ファンファーレとともに、6名の女子レーサーが水面に出てきた。
実況「進入はインから1、2、3、5、6、4」
デビューして1年の4号艇がアウトに出た。
茂木「進入コースもスタート展示通りです」
由利「4号艇の新人、ここでは無理だろう」
茂木「でしょうね」
丹沢「4号艇が出た分、6号艇が内になったわけだね」
茂木「はい」
由利「コース変更も無いし、充分当たる可能性があるね」
茂木「はい」
実況「大時計が回り、10秒前、5秒前、スタート」
丹沢「よしっ! 2号艇行ったぞ!」
茂木「ナイススタート!」
由利「一艇身は楽に出てるな」
丹沢「そのまま、1マーク、まくりだ!」
由利「行け! 全速ターンだ!」
丹沢「よしっ決まった!!」
1周1マーク
2号艇が先頭に立った。
実況「先頭は2番、続いて3番と6番が並走」
丹沢「2着はどっち?」
由利「大接戦だな」
茂木「やはり5号艇は消えましたね」
1周バックストレッチ後半、
実況「外に一番差しの3号艇、内に二番差しの6号艇が並んで走っている」
由利「内を走っている方が有利だからな」
丹沢「一番怖い5号艇は?」
茂木「画面に映っていませんが予想通り外へ飛びました」
丹沢「良かったー、茂木さんナイス!」
由利「今まで、ここから裏切られているから、油断は禁物だな」
茂木「はい」
1周2マーク
実況「1周2マーク、先頭は2号艇。続いて、わずかに6号艇。3号艇、1号艇の順に旋回」
丹沢「いいぞ、いいぞ!」
2周1マーク
実況「2周1マーク、順位は2、6、3、1、5、4」
丹沢「いいぞ、いいぞ!」
由利「茂木さんの予想、完璧だね。寸分の狂いもない!」
茂木「そう言ってもらえて嬉しいです」
2周2マーク
実況「2周2マーク、少しずつ各艇の間隔が空いて来た」
丹沢「1万円が66万円か。ボートレースって面白いね。ははははは」
由利「油断は、禁物だよ」
茂木「ええ」
丹沢「もう大丈夫でしょう。茂木さんのデータと推理力はたいしたもんだよ」
由利「それは、言える」
茂木「今回は、一点買いというのが、ちょっと自慢です」
3周1マーク
実況「3周1マーク、順位は2、6、3、1、5、4で変わらず」
丹沢「本当に、ボートレースって順位が変わらないんだな」
由利「うん、変わるとしても、3番手が多いかな?」
茂木「ですね」
3周2マーク
実況「3周2マーク、最後のターン」
丹沢「よおーし、そのまま!」
由利「あれっ?」
茂木「えっ?」
由利「6番、ターン失敗した?」
実況「向かい風4mに煽られて、わずかに出口で船首が浮いた」
丹沢「あれっ? ゴール前、直線並んだぞ!」
由利「そ、そんな馬鹿な!」
茂木「……」
ゴール前、
実況「2番ゴールイン、3番、6番並んでゴールイン」
丹沢「『並んでゴールイン』って言ったって、」
由利「どう見ても、3号艇の方が早かったよな」
茂木「……」
丹沢「ウソだろ」
由利「まだ、確定はしてないけれど」
茂木「なんか嫌な予感がします」
実況「確定! 1着2番、2着3番、3着6番」
丹沢「……ボートレースってつまらないなぁ」
由利「……」
茂木「……」
【02】 ボジョレー会、ひと休み
丹沢「うーん。これで、4連敗かぁ」
由利「うん、そうだな」
茂木「まずいですね」
由利「せっかくの会費が、ずるずると減ってるな」
茂木「ええ、ここらでマイナスを止めたいですね」
由利「うん」
茂木「私のプログラムの何かがいけないんでしょうね?」
丹沢「そんなことはないよ。運が無かっただけさ」
由利「ちょっと、ボジョレー会の舟券購入を休んではどうかな?」
丹沢「そうだね」
しばらくの間、ボジョレー会の舟券購入休止が決まった。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【後書き】
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 三度目の正直ならぬ「四度目の悪夢」を見てしまったボジョレー会の面々。完璧なデータ分析も、最後は水上の魔物にさらわれてしまいました。
「一点買いの美学」が「一点の重み」に変わる瞬間は、書いている私自身も胃が痛くなる思いでしたが、負けた後に食べる300円のそうめんの味は、きっと格別(?)だったはずです。
彼らが「ツキ神社」へお参りに行く日が来るのか、それとも自力のプログラム改修でリベンジを果たすのか。ボジョレー会の再始動を、私ものんびり待ちたいと思います。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【ポイント応援のお願い】
最後までお読みいただきありがとうございました! 「数の魔術師」茂木を始め、個性豊かな同期3人のボートレース攻略記、いかがでしたでしょうか。
転覆、張り、そしてゴール前の逆転……。データだけでは測れない「勝負の綾」に翻弄される茂木・丹沢・由利の3人。彼らの情熱と少しの不運を笑い飛ばしながら楽しんでいただけたなら、ぜひポイントでの応援をお願いします。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




