58 ♡ジャングルジムの決闘 編
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【あらまし】(恋のエピソード)
市役所職員の丹沢は、小学6年生の卒業式前日に体験した「ほろ苦い決闘」の思い出を爽香に語ります。
当時、ウイットに富んだ同級生・八重ちゃんに片思いしていた丹沢は、意を決して告白します。しかし彼女には、同じタイミングで想いを伝えたライバル・進一君がいました。
八重ちゃんが提案した交際の条件は、公園のジャングルジムの頂上にあるハンカチをどちらが早く取るかという「決闘」でした。
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【主な登場人物】
1.丹沢
現在の姿: 市役所勤務。爽香からは「バカ」呼ばわりされるなど、親しい間柄。
エピソード時の姿: 小学校6年生。
2.爽香
属性: ボートレーサー。
性格: 鋭いツッコミ役。丹沢の話に対して「ストーカー」「変態」と毒を吐きつつも、親身に話を聞く。
3.八重ちゃん
属性: 丹沢の小学校5・6年時の同級生。
特徴: 外見は普通だが、ウイットに富み、頭の回転が非常に速い。
エピソード内での行動: 丹沢と進一の両方から告白され、ジャングルジムでの「決闘」を提案する。
4.4. 進一
属性: 丹沢の恋敵。小学校6年生。
特徴: 体が大きく、運動神経が良い。
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【前書き】
●この小説には多くの数字が出てきます。そこで読者の皆様が読み易いように横書きとなっております
●多人数での会話も多いことから、誰が話しているのか、すぐにわかるよう会話の頭に台本形式で、氏または名を付けて表現しました
●この物語はフィクションです。実在の個人・団体、実際のレースとは一切関係ありません。ボートレーサーと市役所職員をモデルに、フィクションとして制作されたものです
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【01】 ジャングルジムの決闘
爽香は市内の公園で、鉄棒を使い筋肉トレーニングをしていた。丹沢はその公園の横を散歩で通りかかった。
丹沢「あれっ? 速水さんか?」
丹沢は公園内に入り、爽香に近寄って行った。
爽香「あらっ? どうしたの?」
丹沢「散歩していたら、たまたま見かけたんで」
爽香「偶然ね」
しばらくして丹沢が、ジャングルジムを遠くに見ながら話し始めた。
丹沢「私が小学校6年のときだったなぁ」
爽香「小学校かぁ、昔だね、どうしたの?」
丹沢「ほとんどの生徒がそうだと思うけれど、小学校に6年間も在籍していればひとりぐらい好意を持つ子ができるじゃない?」
爽香「そうね」
丹沢「私は5、6年のとき同じクラスだった八重ちゃんに好意を抱くようになっていったんだ」
爽香「八重ちゃんってどんな感じの子?」
丹沢「特別美人と言う訳ではなかったな。見た目はごく普通のどこにでも居るような子」
爽香「じゃぁどこに惚れたの?」
丹沢「好きになったところね。そうだな、話がウイットに富んでいて、頭の回転が速かったところだね」
爽香「『ウイット』って?」
丹沢「『話がウイットに富む』ね、言い換えると『その場に応じて気の利いた返しをする』ってことかな?」
爽香「それで?」
丹沢「卒業式の前日、彼女に告白したんだ。『卒業したらデートしてください』って」
爽香「『卒業式の前日』ね。わかるわ、その気持ち」
丹沢「うん、もし断られてもその後延々と顔を合わせないで済むからね」
爽香「2年間の想いを卒業式の前日一日にかけた訳ね」
丹沢「うん。凝縮した濃厚な一日だった」
爽香「濃縮ジュースかカルピスね。水で割らないと」
丹沢「ははははは。それ、それがウイットだよ」
爽香「わかったわ」
丹沢「でも告白する日、朝から胸がドキドキして居たたまれなかったなぁ」
爽香「なんでかな? 言うこと自体が恥ずかしかったの? それとも断られそうで怖かったの?」
丹沢「両方だね」
爽香「そっか」
丹沢「登校して朝から彼女がひとりになる機会をずうっと窺っていたんだ」
爽香「女生徒がひとりになる時なんてトイレに行く時ぐらいじゃないの? で、トイレに潜んでいたの?」
丹沢「誰がトイレに潜むんじゃ! どこからそういう発想が出るんだ?」
爽香「この頭よ」
爽香が自分の頭を指さした。
ノリで丹沢がその爽香の頭を軽く叩いた。
爽香「そんな軽い叩き方じゃ、お客が笑わないわよ」
丹沢「漫才師に転職するつもりはないから」
爽香「私はてっきり由利さんと一緒に漫才師になるかと思ったのに。市役所なんかつまらないでしょ」
丹沢「確かに市役所はつまらないが、漫才師は層が厚いし、上には上が居るからなぁ~」
爽香「あんた方バカ二人なら、最低のクラスで漫才師になれるわよ」
丹沢「誰がバカなんだ!」
丹沢が間を入れずに返した。
爽香「ははははは。いいわね、その早い返し」
丹沢「ツッコミは早さが勝負だからな」
爽香「で、その八重ちゃんに、いつどこで告ったの?」
丹沢「結局学校の帰り道までダメだった」
爽香「でしょうね。でも帰り道もその女の子、ひとりじゃなかったでしょう?」
丹沢「うん、その通り。よくわかるね」
爽香「そりゃそうよ。ひとりで帰る小学生なんて居ないわよ」
丹沢「八重ちゃんは3人グループで帰ったから、その後をつけたのさ」
爽香「ストーカーね。12歳の時から変態だったんだ」
丹沢「誰が変態なんだ!」
爽香「ははははは。いいわよ! で、途中で彼女たちに気付かれなかった?」
丹沢「そこはうまいものさ。小学生の頃は探偵になりたかったから上手に尾行したよ」
爽香「ネズミか猫の着ぐるみでも着たの?」
丹沢「ははははは。そんな訳ないだろ!」
丹沢が爽香を手で振り払う仕草をした。
丹沢「彼女たちから相当距離を空けて追跡したさ」
爽香「ふーん。で?」
丹沢「彼女がひとりになったのを見て、猛ダッシュさ!」
爽香「その短い足で」
丹沢「足は短いけれど回転が速いんだよ」
爽香「足は短いこと、認めるんだ?」
丹沢「まぁな」
丹沢が落ち込んだ表情を見せた。
爽香「そんなにしょげる必要はないわよ」
丹沢「ボートレーサーはいいな」
爽香「どうして?」
丹沢「足が短くても隠せるから」
爽香「言ったわね! で、どうなったのよ、告った結果は?」
丹沢「うん、それがね、」
爽香「それが?」
丹沢「彼女が言うには『もうひとり同じことを言った男子が居るんだ』って」
爽香「『卒業したらデートしてください』って言った子がもうひとり居たんだ。モテるじゃない、その子」
丹沢「うん、びっくりしたよ。そんな美人じゃないし、まさか同じことを考えてる奴がもうひとり居たとは」
爽香「人間、見た目もあるけれど、その子のように会話のうまい人って魅力があるわよね」
丹沢「そうなんだよ」
爽香「その女の子、モテモテじゃない?」
丹沢「そうかも知れないな。そして勇気を振り絞って交際を申し込んだ若者がふたり、」
爽香「『若者』と呼ぶには、若過ぎるわよ!」
丹沢「ははははは」
爽香「いつもの笑いね」
丹沢「で、八重ちゃんが『これから二人でもうひとりの進一君の家に行こう!』って言うんだよ」
爽香「どういうこと?」
丹沢「八重ちゃんとしては、私ともうひとりの進一君と戦わせたかったんだよ」
爽香「えっ! 男同士の戦い?」
丹沢「うん」
爽香「二人を戦わせて、勝った方と付き合うってこと?」
丹沢「うん」
爽香「えーっ! すごいことになったわね。そんな展開になるとは」
丹沢「八重ちゃんと私とで進一君の家へ行き、彼を近くの公園に連れ出したんだ」
爽香「決闘の場所は公園ね」
丹沢「うん。場所は公園。そこに居るのは、私と八重ちゃんと進一君の3人」
爽香「うんうん」
丹沢「で、決闘の方法なんだけれど、」
爽香「ピストル?」
丹沢「西部劇じゃないんだから。しかもこの日本でどうやってピストルを手に入れるんだよ?」
爽香「ほら、黄色いBB弾が出るおもちゃのピストルよ」
丹沢「なるほど。それならわかるけれど。でも実際には違った」
爽香「じゃぁ何?」
丹沢「ジャングルジムで決めたんだ」
爽香「ジャングルジム? 何それ?」
丹沢「その公園には、6段の高さがあるジャングルジムがあってね」
爽香「うん」
丹沢「八重ちゃんがジャングルジムの真ん中まで入って行き、そこから垂直にてっぺんまで登ったんだ」
爽香「うん」
丹沢「そして、てっぺんに八重ちゃんが持っていたハンカチを置くと下へ降りて来た」
爽香「うん」
丹沢「そしてこう言った『あのハンカチを早く取った人と私は付き合うわ』って」
爽香「えっ! そうなの?」
丹沢「そして八重ちゃんが『ルールだけれど、勝負は一回だけ。二人は、自分の好きな所からスタートしていいわ。ただし両足を地面に着けてスタート。スタートの合図は私が《用意ドン!》って言うから。何か質問は?』って」
丹沢「進一は『ない』って。私は『どっちが先にスタート位置を決めるんだ?』って聞いたんだ」
爽香「どうしてそんなことを聞いたの?」
丹沢「だって、ジャングルジムのてっぺんまで一番近い距離は真下だろう。真下の位置をどっちが取るかでこの勝負が決まると思ったからさ」
爽香「なるほど、そうよね。じゃぁ、ジャンケンね」
丹沢「私もてっきりそうだと思ったんだが答えは違った」
爽香「えっ、何?」
丹沢「進一が『純也が先に好きな所を取っていいよ』って」
爽香「良かったじゃない。これで勝ったも同然ね」
爽香がニコッとした。
丹沢「うん。それで私は迷わずハンカチが置かれた真下の位置まで行って、立ったんだ」
爽香「そうよね」
丹沢「すると進一はジャングルジムの外側に立ったんだ」
爽香「えーっ?」
丹沢「だから私が進一に『本当にそこでいいのか?』って聞いたら、『うん。準備OK。いつでもスタート出来るよ』って」
爽香「ふ~ん」
丹沢「自分が立っていて手を伸ばせば、手からハンカチまで1m50cm。それに比べ進一の手からハンカチまでは2m50cm。私が1mのハンデをもらったようなものさ」
爽香「うんうん」
丹沢「そのとき私はこう思ったんだ。『こいつ、私に八重ちゃんを譲ってくれるんだ』ってね」
爽香「いい子じゃない、進一君!」
丹沢「うん」
爽香「進一君は彼女より男の友情を大事にしたのね」
丹沢「ははははは」
爽香「なにその笑いは? 勝ち誇ったような笑いね」
丹沢「ははははは」
爽香「やらしいわよ。で、結果は?」
丹沢「私と進一が、スタートの準備が出来ると、八重ちゃんが『よーいドン!』って」
爽香「やったね!」
丹沢「私はジャングルジムの真ん中から登り始め、進一は外から登り始めた」
爽香「うん」
丹沢「そして私が1m登った時に、もう進一はてっぺんのハンカチに手を伸ばしていたんだ」
爽香「えっ! どうして?」
丹沢「ジャングルジムの真ん中から登ると、周りの鉄棒が邪魔して早く進めないんだ。それに比べ外側から登れば手足を十分に使うことが出来てスイスイ進むんだ」
爽香「そうなのね」
丹沢「私が煙突の中のはしごを登るように進むの違って、進一は外側を猿のようにササッと飛ぶように登って行った」
爽香「なんとなくわかるわ」
丹沢「ジャングルジムの外側って何もないだろう」
爽香「うん、空気だけね」
丹沢「だからお尻を突き出して鉄棒を蹴りながら登れるんだ。このお尻を突き出すってことが大事なんだな」
爽香「猿が木を登るのもそんな感じよね」
丹沢「そして、進一がハンカチを取るところを私は下から見上げていた。今でもそのシーンだけが映像として浮かぶんだ」
爽香「そんなことある?」
丹沢「それだけ脳裏に焼き付く出来事だったんだろうな、私にとって」
爽香「丹沢さんて『10秒で過去は忘れる』主義よね」
丹沢「うん。それなのに、このことは忘れようとしても忘れられないんだ」
爽香「よほどショックだったのね」
丹沢「そう言う事なのかなぁ……、いや」
丹沢の表情が変わった。眉間にシワが寄った。
爽香「どうしたのよ?」
丹沢「思い出してしまった」
爽香「えっ? 思い出したく無かったこと?」
丹沢「そうだ」
爽香「それって私のせい?」
丹沢「まぁ、そうだけれど。速水さんは気にしなくていい。私がいけなかったんだ。私が子供だったんだ」
爽香「だって、子供だったんでしょう?」
丹沢「ははははは。その通り。子供の時のことさ」
爽香「何よ? 何を思い出したのよ?」
丹沢「私が負けてすぐ引き下がればいいのに、すぐにその場から消えれば良かったのに、」
爽香「どうしたの? 相手を殴っちゃったの? それとも泣き崩れた?」
丹沢「いや。『もう一回だけ勝負させてくれ』って言ったんだ」
爽香「えーーーっ。それルール違反じゃない?」
丹沢「わかっていたさ。でも自分の気持ちが収まらなかったんだ。納得がいかなかったんだ」
爽香「私が八重ちゃんだったら、ちょっと幻滅ね」
丹沢「そうか、やっぱり」
爽香「引き際も大切だからね」
丹沢「だよね。でもその時はわからなかった」
爽香「子供だからいいんじゃない」
丹沢「その言葉で20年間の悔いが消えた。ありがとう、救われたよ」
爽香「でも『もう一回だけ勝負させてくれ』と言われて、八重ちゃんは呆れ、進一君は『冗談じゃない!』って怒ったんじゃない?」
丹沢「そうなって当然だった。でも進一は笑って『いいよ』って」
爽香「えっ! 進一君、出来てる子ね!」
丹沢「うん。私は決闘に負けて、心の広さで負けて、いいとこなしさ。だから次こそ勝つぞ! って思ったよ。八重ちゃんの前で少しはいい格好したいじゃん」
爽香「じゃぁ、もう一回勝負したんだ?」
丹沢「うん」
爽香「で、結果は?」
丹沢「まったく同じさ。まるでビデオのリプレイを見るように、すべてがまったく同じだった」
爽香「二度負けたんだ」
丹沢「うん。もっと悪いことに、と言うか、最悪だったのは、二度目負けた時にチラッと八重ちゃんの顔を見たらホッとしたようにニコッと笑っていたんだ」
爽香「そう……、もともと八重ちゃんは進一君に勝ってほしかったんだ」
丹沢「そう言うことだろうな。今までに見たことの無い笑顔だった」
爽香「丹沢さん、悲しかったでしょう?」
丹沢「うん。情けないし泣きたいし、でもここで泣いたら恥ずかしいし」
爽香「うんうん」
丹沢「半泣き状態で小さな声で『負けた』って。喉の奥から絞ったような声で言って、全力で走って逃げたよ」
爽香「……」
丹沢「二人に聞こえない所まで走って、大声を上げて泣いたさ」
爽香「……」
丹沢「家に帰って自分の部屋に飛び込み、布団にくるまってまた泣き続けた。惨めだった」
爽香「悲しいね」
丹沢「1時間ほど泣き続けて、やっと冷静になって思ったんだ」
爽香「うん、何を?」
丹沢「八重ちゃんは最初から進一が勝つことをわかっていたんだと」
爽香「そうなの?」
丹沢「八重ちゃんは、私が普段ジャングルジムで遊ばないことを知っていたし、私が真下からスタートすることを予想していたんだろうな」
爽香「もし、もしもよ丹沢さんが外側からスタートしていたら?」
丹沢「それでも進一に負けたさ。進一の方が体も大きいし、運動神経も良かったから。それも八重ちゃんは計算済みさ」
爽香「そうかぁ」
丹沢「私が八重ちゃんに『デートしてください』って言って、彼女が『好きな人が居るから』ってすぐに断らなかったのは、やはり彼女が頭が良かったんだろうな」
爽香「……」
丹沢「ひとつは私に納得させて手を引かせたかった、もうひとつは自分に好きな子が居ることを隠したかったんじゃないかな?」
爽香「うん?」
丹沢「中学に行っても八重ちゃんと進一は『周りに知られないように付き合いたい』と思っていた。そこに、私が何も知らずに八重ちゃんにデートを申し込んだ。八重ちゃんは私に『すでに好きな人が居ます』とは言えないし、かと言って進一が居るのに私とデートは出来ない」
爽香「八重ちゃんと進一君はすでにお付き合いしていた?」
丹沢「だから進一が勝つとわかっていて私と勝負させた。そして思惑通り進一が勝った。中学へ行って、もし八重ちゃんと進一がデートしている所を誰かに見られても『こういう流れで進一君と交際するようになったんだ』と言えば、ある程度は格好が付く」
爽香「すごい推理ね」
丹沢「いや、おそらく間違いないと思うよ。やっぱり八重ちゃんは頭の回転がいいんだよ」
爽香「で、中学に行って八重ちゃんと進一君は、やはり二人は付き合ったの?」
丹沢「噂にはならなかったな。でもそういう雰囲気だったよ」
爽香「えっ、詳しく知らないの?」
丹沢「私は他の中学に行ったから」
爽香「そうなんだ」
丹沢「でも良かった、誰かにこの話が出来て」
爽香「えっ?」
丹沢「体の中にあった物を吐き出してスッキリしたよ。もうこれでこの件を思い出すこともないだろう。あと10秒で忘れられそうだ」
爽香「そう、良かった。胆石だと思えばいいのよ」
丹沢「ひどい例えだな。ははははは」
爽香「ふふふふふ」
【02】 6コースの走り方
その日の夜、爽香は風呂に浸かりながら、丹沢の話を反芻していた。
爽香「ジャングルジムは、外側から登った方が速い……」
爽香「知らなかったわ。真下からの方が1メートルも距離が短いのに」
爽香「ジャングルジムの外側は、空気」
爽香「外側なら、猿のようにお尻を突き出せる」
爽香「お尻を突き出すことが大事……か」
爽香「えっ!!! これって……」
爽香「ボートレースのことじゃない!」
爽香「ジャングルジムの真下がインコースで、外側が6コース……!」
爽香「『猿のようにお尻を突き出す』のは、モンキーターン!」
爽香「ジャングルジムの外側が何もない空気なように、6コースの外側は誰にも邪魔されない自由なスペース!」
爽香「丹沢さんが言っていた『お尻を突き出す』のは、人間の尻じゃなくて、ボートの船尾(尻)のことよ!」
爽香「つまり、6コースに入ったら右側の空き水面をフルに使って、モンキーターンをしながら艇の尻を進行方向へ素早く振ればいいんだわ」
爽香「そうよ! 6コースの利点は、ボートの尻振りを誰にも邪魔されず自由にできること。2コースから5コースだと、両側に挟まれて身動きが取れないもの」
爽香「決まったわ! 明日は速攻でレース場に行って、艇の『尻振り』の特訓よ!」
爽香「丹沢さんの昔話、意外なところで役に立ったわね!」
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【後書き】
今回の「ジャングルジムの決闘」、いかがでしたでしょうか。丹沢さんのほろ苦い初恋の思い出……かと思いきや、まさかの「ボートレースのヒント」へと繋がる爽香の超絶理論。
子供時代の純粋(?)な駆け引きと、勝負の世界の厳しさが妙な形でリンクした回となりました。八重ちゃんの策士っぷりには、大人になった今でも脱帽です。
爽香がこの「ジャングルジム理論」をどう水面で体現するのか。 ぜひお楽しみに!
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【作者よりお願い】
ジャングルジムの教訓を得た爽香の次なる走りに期待してくれる方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】をタップして評価・ポイントをいただけると嬉しいです! 励みになります!
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