アクアヒール
俺は怪我人に走り寄りながらジェフにこれから俺がどう動くかを説明する。
「ジェフこれから怪我人に直接ポーションを掛けていく、少々荒っぽいかもしれないが瓶に移し替えている余裕が無いからジェフは怪我人のいる所に案内してくれ!」
ジェフに説明するとジェフは頷き。
「了解した!今から怪我人が一番集められてる場所に案内する。
旦那を案内し終わったら他の奴にも声を掛けて怪我人を集めてくるからよろしく頼みます!」
横に並んでいたジェフがそう言うと先行し始める。
俺はジェフの後ろに付き走り続けた。
ジェフに付いて走るとジェフは門の近くにある宿屋の前で止まり。
「ここに怪我人が集められています!」
ジェフは俺に振り返り叫ぶと中に入っていく。
そんなジェフに付いて俺はその宿屋に入っていった。
中に入っると呻き声と鉄錆の匂いが充満していて咽返る様だった。
食堂だっただろうそこにはテーブルも椅子も無く、怪我人たちが床に寝かされ看病している人たちが怪我に包帯などを撒き手当をしていた。
「酷いな・・・」
俺は手で口と鼻を抑えながらその光景を呆然と眺めていた。
惨状に呆然としているとジェフが肩を掴み強くゆすりながら諭すように話しかけてきた。
「旦那!しっかりして下さいよ、傷を癒す為の回復術師もポーションも足りないんだ!
呆けてる暇なんてありやせんぜ」
ジェフの言葉に俺は何とか頷き、早速近くの怪我人へマックスポーションを飛ばす。
特に怪我のひどい足に命中したマックスポーションは怪我を包み癒していく。
それを見てから俺は頷きジェフへ振り向くと支持を出した。
「よし飲まなくても怪我を癒せるな、ジェフこっちは大丈夫だから怪我人を集めてきてくれ!」
俺がジェフに支持を出すとジェフは安心したように肩を落し口の端を吊り上げながら笑い。
「ウっス!」と答え宿屋を走り出して行った。
俺はジェフを見送ると直ぐに行動に移した。
「意識は有るか!」
俺は声を掛けながら怪我人へ近付き傷を確認する。
そして素早くマックスポーションを生成して傷へ掛けていった。
ポーションを掛けると同時に額に脂汗を浮べ眉根に皺を寄せていた怪我人が痛みが無くなって目を見開き驚いたように怪我をしていた所を確認していた。
それにしても怪我人が多い、このまま一人一人にポーションを掛けていても切りが無い。
だが効率のいい治癒の方法が中々な~ポーションを液体操作で飛ばす位しか方法が無いな。
仕方ないそれなら量を増やすか・・・。
俺は一人づつポーションを掛けながら考えがまとまった所で部屋の中心へ向かい自分の周りにポーション弾を部屋にいる怪我人分作り出し気合の掛け声と共に打ち出す。
「エリアアクアヒール!」※注意 決して回復魔法ではありません
回復魔法ではないんだけどなんとなく魔法みたいに唱えてみた。
ほらこの世界魔法あるみたいだから魔法みたいに唱えていれば魔法として認識してくれるんじゃないかな~と。
それに俺魔法使えないから魔法を使っている雰囲気を味わいたかった!
だって魔法って憧れないか、せっかく魔法がある世界なのに使えないのはなんとなく損した気分になる。
俺が飛ばしたマックスポーションが次々と怪我人に掛かり怪我人を癒していく。
俺はそれを見ながら回復し落しがいないかあたりを見回していた。
「う、痛くない・・・痛くないぞ!」
「痛みが無くなった・・・」
「足の怪我が無くなってる!」
辺りを見回している間に怪我人たちが次々と立ち上がり怪我をした場所を確認している。
その間、看護していた人たちは不思議そうに怪我人だった人たちを見回していた。
「キミかね怪我人を治してくれたのは!」
混乱した部屋の中で俺の行動に気付いた神官服を着た男性が俺の腕を掴み訪ねてくる。
俺は咄嗟のことで体を硬直させながら頷き答えた。
「はい、あまりにも怪我人が多かったものですから、この方が効率がいいのではと思いまして」
俺が神官服の男性に答えると男性は深く頷き笑顔で答えた。
「いや助かりました。回復魔法を使うにしてもこの怪我人の多さで魔力が底をついてしまいまして、あなたのお陰で一息つけそうです」
神官服の男性は頬に皺を作りながらやさしく微笑む。
その微笑みに俺も釣られて笑顔で返事をしていた。
「いえこのくらいはお安い御用です。町のために戦った人間を放って置く訳にはいきませんから」
実際まだメニーラビットが門前に攻めてきている。
今は少しでも戦力が必要だ、怪我人でも戦ってもらわないと戦えない者に被害が出てからじゃ遅い。
俺は倉庫に残してきた子供達を思い出しながら少しでも戦闘が楽になるように行動しようと考える。
「キミ、すまないが上の階にも騎士の怪我人がいるのだが余力があるなら回復させてくれませんか?」
神官服の男性に言われ俺は上に行く階段に目をやり頷いた。
「分かりました。回復は任せてください、ですが一つ怪我の治った人たちに協力していただきたいことがあります」
俺は部屋の中でまだ喜んでいる冒険者らしい者たちを見渡し言い、背負っている大きめのマジックバックから樽を取り出し置いていく。
もちろん中に満タンにトリモチ君を満たした状態だ。
そうして最後の樽を出した所で説明を始めた。
「この樽には粘着力のある液体が入っています。これを外壁の上から落として下のメニーラビットたちを動けなくしてください。
すでに西門以外の所には持って行ってありますので全部西門で使ってもらって構いません」
俺が叫ぶように全員に聞こえるように言うと冒険者らしい者たちは我先にと樽へ駆け寄り樽を抱え上げて走って行く。
それを見送りながら俺は上の階に向かって歩き出した。
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