冒険者ギルドの様子
作業をしながら色々考えてみたがいい案が浮かばないまま荷車に入るだけのハイポーションを積み、ロレッタ以外の護衛組は急いで冒険者ギルドに向かった。
俺は倉庫に残る子供達のためにマックスポーションを1人3本分作り護身用にトリモチ君入りの丸底フラスコを作って置く。
「みんな作業をいったん止めて集まってくれ」
俺はトリモチ君の説明をするために声を掛けるとみんな手を止めてこちらに集まって来てくれた。
「とりあえず箱にマックスポーションを1人3本づつ用意しておいた。
後もし敵に追われながら逃げる場合こっちの丸い瓶を敵の足元に投げてから逃げるんだ。
足止めの効果はあるから慌てず急いで逃げるんだよ。
後間違っても飲もうとしたり触ったりしないように、喉に詰まらせたり手に付くと中々取れないからね」
俺が丸底フラスコをみんなに見える様に持ち上げながら言うとみんな真剣な顔をして頷いてくれた。
「それじゃあ俺は冒険者ギルドの手伝いに行ってくるからロレッタ子供たちの護衛よろしく。
イザベラも子供達の面倒見てあげてくれ、逃げないでもいいように町の中には入れさせない様に頑張るから」
俺はみんなに告げると俺が持っていく分の瓶やもしものためにトリモチ君を入れるための樽をマジックバックに入れるとそれを持って冒険者ギルドに走った。
冒険者ギルドに向かいながら町の様子を見ると駐屯地の方角からは騎士が門へ走り衛兵は街中を回り店や町民に声を掛けていた。
冒険者は門へ向かい走り、町民たちは不安そうにその様子を眺める。
町の状況を見ながら冒険者ギルドに付いた俺は中に駆け込む。
冒険者ギルドの中は戦場の様だった。ギルド内のいたるところに怪我人が寝かされ、呻き声が聞こえてくる。
支持をする声、忙しく駆け回る冒険者たち、そんな中俺はサイラスを見つけ声を掛けた。
「サイラス状況は?」
俺が声を掛けるとサイラスは俺を見つけ手を上げた。
「おお!セン、お前のポーションのお陰で少しはましだが、如何せん怪我人の数が多い。
それに数が多いわりに的が小さいもんで矢や魔法が当たりずらい、何とか範囲魔法で減らしてはいるが近接戦闘だと物量で押されちまう。
ジリ貧だがまだ何とか外壁までは近づかせてねー、現況のブラックロップは群れの真ん中あたりにいるらしいがメニーラビットが多くて手が出せねー!」
サイラスはそう言いながら頭を掻きむしる。
説明を聞いて俺は頷いてトリモチ君作戦を提案することを決意した。
まだ外壁には取りつかれてないらしいからやるなら今だ!
「サイラス提案があるんですが・・・守る場所を限定すれば戦力を一か所に集めれますよね。
メニーラビットの動きを止めることができる物があるんですが使って見ますか?」
俺が作戦があることを言うとサイラスは一瞬目を見開きニカリと笑い。
「そんな手があるんなら使いてーな、どうすりゃ良いんだ?」
サイラスの質問に俺は頷き、トリモチ君の入った樽を背中に背負っていた容量の多い方のマジックバックから取り出した。
「この中にトリモチと言う非常に粘り気のある液体が入っています。
これに足が着くと粘り気で敵の動きが出来なくなるんです。
ですが敵も付くということは味方も付きますから、しっかり連絡をしてこれを撒いた場所に足を踏み入れない様にしてください。
これを一番敵が多い所以外に撒いて敵の足止めをして敵が一番多い門に戦力を集めれば数の振りも少しは補えるのでは無いでしょうか?」
俺が説明しながら必要になりそうな分の樽をマジックバックから取り出し中にトリモチ君を満たす。
その間にサイラスは最初に出した樽を開け中身を確認していたが指を突っ込んで人差し指と親指を張り付けさせていた。
「うお!こりゃスゲー粘着力だな剝がすのにかなり力がいるじゃねーか!いいなこれ普段の狩りでも罠に使えそうだ!」
サイラスは指を付けたり離したりしているが糸を引いて完全に剝がれることはなかった。
「サイラス、トリモチ君の確認は良いですけど、それ洗っても洗っても落ちませんよ?」
俺が苦笑しながら注意するとサイラスは慌てて厨房に入っていく。
そんなサイラスを見ながら俺は次の被害者が出ない様に樽の蓋を閉めて置いた。
まったく先に粘着力が有って取れにくいことを伝えとけばよかった。
俺は後悔をしながらサイラスが帰ってくるまで怪我人を治療しようと普段は食事処になっているエリアへ向かった。
そこには足の肉を何ヶ所も食いちぎられ倒れている冒険者達が寝かされていた。
メニーラビットの方が小さいから足に食いつかれることが多いんだろうな。
グロくは有るけど内臓が飛び出してないだけまだ精神的に余裕がある。
俺は一番近い怪我人の近くに駆け寄りポシェットからハイポーションを取り出す。
「これを飲め、すぐ良くなる」
俺は声を掛けながら倒れている冒険者を抱き起し片手で背中を支えながら口元にポーション瓶を持っていく。
俺が抱き起した時、彼は苦しそうな声を漏らしたがポーションを飲ませてやると直ぐに肉を抉られていた足が光に包まれ,光が収まると傷が綺麗に無くなっていた。
「ありがとう、助かりました!」
支えていた冒険者は痛みが無くなり足が治ったことに一瞬驚き、礼を言うと立ち上がり足の具合を確かめ始めた。
それを見た俺は次の怪我人へと走るのだった。




