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それは命の泉沸く  作者: 渡海
食料集積都市レットクラッカー
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搬入

自己紹介をした俺は直ぐに樽の乗っている荷車に向かった。だが忘れていた事を思い出した。

 すでに樽を一つ騎士団で売ってしまったことを、仕方ないので今回は残った2樽分にアセロラとライチを入れることにした。

 樽を厨房に持っていく間に中身を入れサイラスに指示された場所に樽を持っていった。

 指示された場所には野菜が入った箱や肉が吊るされた状態で置いてあった。

 その部屋の端に置くと付いて来ていたサイラスに説明をする。


「片方がライチでもう片方がアセロラです。一応紙にでも名前を書いて張っておいてください」


俺は注意しながら樽を置きその場で書く物を借り名前を紙に書き樽に張り付ける。

 

「おう!ありがとよ。内に下ろしてる商会がまともな酒下ろさねーもんで冒険者どもから文句が出てたんだよ!いや助かったぜ」


サイラスは大声で愚痴を漏らしながら笑う。

 そんなサイラスを見て俺は商談を持ちかけることにした。


「もしよろしければエールとワインも私の方でご用意いたしましょうか?今出している物より良い物を今までの価格でお売り致しますよ」


俺がそう言うとサイラスはニヤリと笑い。


「いやーすまねーな!長い付き合いの商会だったから大目に見てたんだが、納品した酒があれじゃ商会としてダメだろ。

 それにギルドが舐められるのもよくねー、冒険者ギルドは言っちまえば武力だ!それをコケにするんだ痛い目見る覚悟はあるんだろ!?」


サイラスは怒声を上げ壁を殴る。

 殴られた壁は簡単に穴が開き隣の厨房が見えていた。

 

うっそだろ!壁を殴っただけで穴をあけるなんて、すごい力だな。

 

サイラスに殴られた壁はタダの板張りの壁では無くしっかりした石材とモルタルで固められた壁だった。

 サイラスの膂力に驚いているとサイラスは俺の顔を見て落ち着いたのか頭を掻きながら謝って来た。


「すまねーちっとカッとなっちまった。今の卸しをしている商会とは長いからまさかこんな真似されると思って無くてよ。

 腹が立ってはいるが付き合いも有るから中々変える訳にもいかなくてな」


サイラスは謝ると肩を落としながら厨房へと戻った。

 付き合いが有るとなかなか直ぐに卸し元も変えられないんだな。

 まあ仕方ないとは思う、でもあの酒を出される冒険者は少し可哀想に思ってしまった。


冒険者ギルドに鏡を卸した俺は代金を受け取りギルドを後にする。

 

今日はこのぐらいで良いかな?生活に必要な分は稼いでいる。

 樽は無くなってしまったから買いに行かないといけないが、瓶についてはタダだから宿に帰ったら作らないといけないか?

 

考え事をしながら俺は樽を買った木工商店へ向かう、空になった荷車は軽くお陰で商店に着くのも早かった。

 木の香りが漂う商店の店先に荷車を止めた俺は早速中に入った。

 店内には昨日と同じ男性がいて俺が入ってきたことに気付きにこやかな笑顔を向けてきた。


「いらっしゃいませ、昨日のお客様ですよね。今日はどういったご用件でしょうか?」


店員の男性は俺の事を覚えていてくれたようだ。歓迎するように迎えてくれた。


「すいません樽が無くなってしまったので追加で購入させて貰いに来ました」


俺が樽の追加をお願いすると男性店員は目を見開いてから笑顔になり。


「そうですか、でしたらまた同じ数買って行かれますか?」


男性店員の言葉に俺は一瞬考えてから男性店員に注文をする。


「いえ今回は荷車に乗るだけいただきます」


俺が注文をすると男性店員は少し考える様に目線を上に向けながら呟く。


「お客様にお売りした荷車ですと横に3個置くと後は縦に2つ乗りますね。それとも樽を置く台に乗せずに立てて置きますか?

 それでしたら全部で6つほど置くことができると思います」


男性店員は笑顔でそう言うと俺を隣の倉庫へ連れて行く、そこには幾つもの樽が置かれていた。


「昨日と同じオーク樽でよろしいですか?」


男性店員の言葉に頷くと男性店員に樽の代金を渡し2人で荷車に樽を6つ手分けして乗せることになった。

 一つ8200リルを6個も買ってしまったけどそのおかげで200リルは安くして貰えた。

 縦て置いた樽を6つも乗せていっぱいになった荷車を見て一度頷くと俺は男性店員に向き直りお礼を言った。


「ありがとうございます。無くなったらまた買いに来ますのでその時はよろしくお願します」


俺が礼を言うと男性店員は笑顔で。


「いえこちらこそ短期間で買っていただけるため有り難いです。

 樽などは業者ぐらいしか買いませんので買っていただけると助かります。これからもよろしくお願いします」


男性店員は謙遜しながらお礼を言ってくれた。

 樽ってよく考えりゃ中身が無くなっても入れればまた使えるから食器と同じで消耗品だけどそんなにしょっちゅう買うもんでもないのかもしれないな。

 俺はそんなことを考えて荷車を引きながら宿へ戻って行くのだった。

読んでくださりありがとうございます。


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