試飲
「それで、これがあんたの作ったって言う酒かい?」
アマンダはそう言いながらコップの中を覗き込む。
その様子を見ながら俺は頷き説明を始めた。
「ああ、左から日本酒、真ん中がブランデー、右がウィスキーです。
最初はここで出せばいいかと思ってたんですが、子供がいる食堂で酒の販売はマズいだろうと思いまして、個人的に買うかどうかお聞きします。料理にも使えますよ」
俺がそう言うと、アマンダは子供達に目をやってから済まなそうに眉を下げ頷き。
「そうだね、子供もいるから酒の販売は出来ないけど個人的に買うか聞いてみるよ」
アマンダの言葉に俺も頷きそれから注意する。
「今、酒は用意出来るんですが入れ物が無くてですね。できれば甕か樽を用意してくれるなら容器代だけ安くしますよ」
それを聞いたアマンダが笑いながら頷き、コップの乗ったトレーを持ち厨房に行こうとした。
そんなアマンダに俺は良いことを思いついたとばかりに提案してみることにした。
「アマンダさん子供達にご褒美になるような物も有るんだけどどうですか?」
俺が微笑みながらそんなことを言うとアマンダは一度子供達を見てから俺の方を向き。
「そうだねそんな物が有るならそれも買うか考えるから出してくれるかい?」
アマンダは俺に向かってそう言ってきたので俺は首を横に振りながら答えた。
「いや、こっちはまだ商品にするかどうか決めて無いんです。だから試食して感想を聞かせてくれると嬉しいです。
ついでに幾らぐらいで売れるかも教えてくれると良いですね」
俺がそんなことを言うのでアマンダは肩を落としながら「分かったよ」と答えたので俺は笑顔を深くして話した。
「じゃあコップを持って来てくれるか?」
俺がアマンダに頼むと頷いてトレーを持ったまま一度厨房に戻った。
俺はアマンダを見送ると考え始める。
やっぱり容器が欲しいよな~俺の能力じゃあ液体は出せても個体は出せないんだよな。
また商店に行って陶器の酒瓶でも買ってくるか?それとも水袋を大量に買って置くか?
俺が入れ物に迷っているとその間にアマンダが俺の所にコップをなぜか5個持って来た。
「済まないね、持ってた酒なんだけど旦那が全部飲んじまってね、金は払うから頼むよ」
アマンダは済まなそうに眉を下げトレーに乗ったコップを俺の前に置く。
俺も肩を落として微笑み、ポシェットから瓶と水袋を取り出す。
そしてコップに酒と子供たちのために水飴を注ぐ、水飴はかなり注ぎにくかった。
俺がコップに注ぎ終わるまで待っていたアマンダは俺が全部のコップに注がれたことを確認すると声を掛けてきた。
「セン、そのドロッとしてるのが子供たち用か?」
アマンダが不思議そうにコップを覗き込み、水飴を見ていた。
「それは水飴って言う甘味料です。飲むのは難しいからスプーンで掬って食べてください」
俺が水飴の説明をするとアマンダは目を丸くして指を水飴に差し込んで掬い上げて口に運んだ。
水飴を口に入れたアマンダはフワリと顔を綻ばせ、口に指を咥えたままで物欲しそうにコップを覗き込んでいた。
その様子に俺は笑いながら水袋を取り出し渡した。
「今回はお世話になるので挨拶代わりに差し上げますよ。
もしもっと欲しい場合は容器を持って来て貰えれば酒と同じで割引致しますので」
俺が説明するとアマンダは頷き、トレーと水袋を手に厨房に戻っていった。
俺は用事が全部済んだことを確認してから食事をとり始める。
スープは見ただけで分かるブイヨンを使った物だった。
お!これはもしかして此処の旦那さんコンソメの作り方わかってるのかな?
コンソメには至っていないけど十分野菜の出汁が出てる様に見える。
スプーンで掬って口に運んでみると野菜の優しい味がした。
パンは黒パンだったがパン切り用のナイフも付けてくれていたので、俺はナイフでパンを薄く切ってスープに浸して食べた。
黒パンってこうやって食べると味わい深いな。
黒パンは薄く切らないと顎が痛くなりそうだけど、食べ方さえわかっていれば問題ない。
スープとパンを堪能した俺は今度は串焼きに齧り付いた。
串焼きは歯を立てると肉汁が口の中で脂と混ざり合い肉の旨味を舌に伝える。
肉も元の世界ほど柔らかく無いが、硬すぎることもなく噛むほどに味わい深かった。
ただ勿体無いのが味付けが塩だけなのが少し勿体無く感じた。
あ~焼き鳥のタレつけて焼いて食べて~、塩だけでも素材の味が感じられて美味いんだけど、出来ればタレつけて焼いて貰いたいな~。
俺焼き鳥もタレ派な人間だから地鶏みたいな弾力に思わず考えてしまった。
焼き鳥のタレ出して焼いて貰えば済む話なんだが、それをすると今度は焼き鳥のタレを売らないといけなくなるような気がする。
それにできれば焼き鳥のタレは自分の露店で出したいよな。
金儲けの匂いがするからな、それにタレを作る醤油なんて作り方伝わってるのかな?
字を教えた人が居るらしいから、ケチャップは作り方伝わっていそうだけど、アレもハーブ使うから高級レストランとかなら食べれそうだな。
醤油は作り方難しいけど麹が手に入らないな、俺の場合は醤油出したほうが早いし簡単だ。
そんなことを考えながら夕食を食べ終わった頃にアマンダが食器を下げに来てくれた。
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