ギルドの食堂
冒険者ギルドで突っかかって来た男を俺は返り討ちにして、男の顔はユデダコの様に真っ赤になりパンパンに腫れ上がって気絶していた。
それを見ていた冒険者達はシンと静まり返り、こちらの動きを慎重に観察していた。
う~んこれどうしようかな?このまま放置するといらない誤解が吹聴されそうだから離れる訳にも行かないよな。
俺はこの場をどうするか考えながら一度カウンターに向き直り受付嬢に声を掛けた。
「すいませんギルドで喧嘩になった場合どういった処罰がされるのでしょうか?」
俺が受付嬢に質問すると聞かれた受付嬢は「ひゃい!」と返事をしてビクリと身体を震わせてから考えるように頬に手を置き首を傾げた後少し考え答えてくれた。
「そうですねただの喧嘩だけなら日常茶飯事ですから特にお咎めありませんよ。
ただその後の噂などはこちらでは対応致しませんのでご了承ください」
なるほどギルドとしては喧嘩は本人同士で解決することなのか、でも噂か~このまま放置したら悪い噂が立つかな?
でもこれ以上何か出来るわけじゃ無いから放置するしかないんだが・・・せめて医務室へ運んでやるかな。
「すいません医務室ってありますか?」
俺が受付嬢に質問すると受付嬢は頷き「あちらの扉になります」と答えてくれた。
その言葉を聞いた俺は男を担ぎ上げ得ようとすると男のパーティーメンバーが震えながら声を掛けてきた。
「ま、待ってくれ俺達で連れて行くから大丈夫だ。旦那には迷惑かけたな」
パーティーを代表して前に出た男が俺に謝りながら俺が倒した男を担ぎ上げる。
その様子を見て俺は肩を竦めると頷き買取カウンターに向き直った。
俺の後では男のパーティーが離れていくのを感じながら買取のオヤジに話しかける。
「お騒がせしてすいません。素材の売却金を戴いてもよろしいですか?」
俺がオヤジに聞くとオヤジは呆けた顔を戻し対応してくれた。
周りの冒険者達も騒動が終わったと感じたのかまた喧騒が戻って来た。
「レッドバレットの皮が10枚で100万リルメイルサスの皮が8枚で40万リルザブラアの角が5本で50万リルザブラアの魔石が15個で37万5千リルだ。
全部で227万5千リルだな。これが全額だ確認してくれ!」
オヤジはそう言うと革袋をカウンターに置いた。
確認してくれって言っても貨幣価値が分からんのだが、一応中を確認してみる。
革袋の中には小さな丸い金貨が2枚大きな四角い銀貨が2枚と中ぐらいの四角い銀貨が1枚、小さな四角い銀貨が2枚と大きな楕円形の銅貨が5枚入っていた。
貨幣価格は分からないが渡された貨幣で何となく理解した。
小さな金貨が100万の単位で銀貨が10万の単位、そして千から下の単位が銅貨何だろう。
そう考えれば問題なく貰っていることが分かる。
俺は革袋の中を確認してオヤジに頷いた。
それから俺は邪魔にならない様に直ぐに買取カウンターから離れどうするか考えながらカウンターから少し離れた所で立ち止まり考え込んでいるとグーと自分の腹から音が聞こえたことに気付いた。
そう言えば昼飯食ってなかったんだよな。
俺は飯を食って無いことを思い出すと左に併設されている食堂に向かった。
食堂を見回すと幾つもの目線と会う、さっきの騒動で怖がられてるのかね。
目線が合うとあからさまに反らされるんだが、俺だって人間ですよあからさまに反らされると傷つくんですけど・・・。
俺は食堂を見回し空いてる席を見つけるとそちらに腰を下ろす。
食堂には長椅子と長テーブルが置いてあるだけで特にメニューなどが置いてあるわけでは無かった。
取り合えず座ったが注文はどう知ればいいのか分からない為途方に暮れていると、木のトレーを脇に抱えた女性が俺の席に近寄って来た。
「ご注文は?」
女性はぶっきら棒に俺に注文を聞いて来る。
だが俺はメニューが分からないため女性の顔を見上げ困惑していると女性はフンと鼻を鳴らし話し始めた。
「あんた初めてかい?おっさんだったし強いみたいだからてっきり高ランクかと思ったけど初心者とはね。
初心者にやられるなんてジョブも焼きがまわったね、おっと注文だったね、基本ここではその日の売却された素材によってメニューが決まるからメニューは無いよ。
有るのは酒の種類位さね、酒はエール、ワイン、火酒だけだね、値段は100、300、500だよ」
俺は女性の言葉を聞いて納得しながら頷いた。
なるほどね、メニューが無いのはそう言う訳か。てことは料理の値段は一律なのかな?
まあ、どんなもんが出て来るか見てみるか。
「それでは料理とお酒を一種類づつ頂けますか?」
俺がそう言うと女性は「あいよ」と答えて俺の席から離れていった。
しばらく待つと女性がトレーにスープ皿とパン、それに酒が入ってるだろうコップを3つ持って来た。
女性は食事を並べると俺に代金を請求してきた。
「お待たせ、全部で1000リルだよ」
女性に言われて俺は先ほど沸かされた革袋から大銅貨を2枚取り出しトレーに乗せながら声を掛ける。
「すいません大銅貨1枚両替していただけませんか?」
俺が1枚多く大銅貨を渡した理由を説明すると女性は頷き「ちょっと待ってな」と答えて行ってしまった。
俺は女性が返ってくる間に食事に手を付ける。
出された料理はありきたりなスープとパンだった。
パンはべリアラ婆さんの家で食べたものと同じ黒パンだ。
なるほど庶民の食事はまだ黒パンがメインなんだな。
ならイースト菌とか売れるかな?だけどこの世界のイースト菌と違ったら病気の原因になりそうだな~却下却下。
俺は黒パンを見ながらイースト菌の事を考え今度はスープに目を向ける。
スープは野菜より肉が多いスープだった。
スプーンで掬い、口に運ぶと肉から薄っすらと出汁がでた塩スープだった。
あ~うん村で一番最初に食べたスープを思い出す。
べリアラ婆さんの作ってくれたスープよりは若干塩の効いているのは分かるけどまだ全然足りない。
野菜の出汁じゃないし肉の余りの者を使ってるんだろうけど、干し肉じゃ無いから出汁と言うほど味が出てるわけじゃ無い。
何と言うか残念だ、騎士団の食堂が美味しかったから残念度が大きい。
でもこんなもんなんだろうな~。べリアラ婆さんからは醤油売るのは塩が軍事物資に当たるから危ない様なこと聞いたけど、外で飯を食うたびにこれだと力が出ないな。
俺がスープを飲みながらパンを噛み千切っているとウェイトレスの女性が戻って来て俺のいる机に楕円形の小さな銅貨を10枚置いた。
俺はそれを数え、1枚女性に渡すとお礼を言った。
「ありがとうございます」
俺に渡された銅貨を見てキョトンとした顔をしてから女性は笑い、銅貨を握り治すと立ち去って行った。
俺は女性が離れていくのを見送ると食事に集中する。
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