酒の味と木工店
食事を始めた俺は今度は酒の味を確かめることにした。
正直この酒の味によってはこれからの仕事に支障が出ることになるからだ。
酒がまず過ぎたら俺が狙われることになりそうだし、不味くなければ売れない可能性が有る。
でもケインの反応を見ているとどう考えても美味いはずだ。
そう言えばケインに水袋持ってかれたままだ、まあ商売するための軍資金はできたんだ。
水袋の1つや2つ買い直せるだろう、それに荷車と屋台、後は樽を3つ買わないとな。
後はコップと水袋も売るか、コップは返して貰ったら返金すれば返してくれる人もいるだろう。
俺は酒の販売方法を考えながら酒の入ったコップに手を伸ばした。
先ず始めに飲んだのは少し気泡が沸いている黄色い液体だった。
これはエールかな?エールって確かビールが開発される前の麦の酒だったよな。
ホップが品種改良されるまで飲まれていたって聞いたことある。
作り方は同じでも材料が違うからどんなもんだろ?
俺は覗き込んでいたコップの中身を口に流し込む。
う~んフルーティーな香りと苦みが有る、少し酸味が有るのは手造りだからか?
凄い不味いと言う事も無く飲めはする、でも欲を言うと出来立てでしかも冷えていればもっとうまいんだろうな。
酸味が出てるってことは古くなり始めてるんだと思うんだよな。試しに冷やしてみるか?
俺は辺りを見回し俺に注目している冒険者がいないことを確認してから、エールの入ったコップの底に氷る直前の水を張り付けエールを冷やす。
それをしている間に俺は赤紫の液体の入ったコップに手を掛ける。
こちらは匂いもまんまワインだ、それだけで安心して口を付けられる。
俺は安心してワインに口を付けて後悔してしまった。
酸っぱい、これは確かにワインの味はするがエールより酸っぱく感じた。
あ~うんこれは流石に飲めない酢でワインを割ったんじゃ無いかと思っちまった。
こりゃ酒以前に保存が悪いよな、こんな状態にされてワインもかわいそうに。
俺は深い悲しみと共にワインの入ったコップをテーブルに置く、正直こんな状態のワインを飲む気になれなかった。
俺は気を取り直して火酒の入ったコップに手を出す、コップの中には金色の液体が入っていた。
俺は恐る恐る匂いを嗅ぐとアルコールの強い匂いと仄かに麦の香りがした。
おお!こりゃあれだ!熟成前のウィスキーだ!ウィスキーの様に樽の香りはしない代わりに材料の匂いは感じられるな。
たぶん元がエールの蒸留酒何だろう、そのおかげで麦の香りが強く残ってる。
樽の香りが無いからウィスキーになれた人には物足りなく感じるかもしれないが、美味いと思うけどな。
俺は火酒の予想外の美味さに驚いて一気に飲み干してしまう。
うん火酒、美味いじゃ無いか、もっとアルコール臭いと思ってたから予想外に美味かった。
俺は火酒の味に満足している間に冷えただろうエールに手を伸ばす。
冷えたエールに口を付けると先ほどまであった酸味も抑えられ、エール本来の苦みと香りを感じることができた。
うん、やっぱりエールは冷えていたほうが美味いな。
俺はワイン以外を飲み終えると席を立ち冒険者ギルドから出て行く、その様子を見ている者達もいたが俺は気付くことは無かった。
冒険者ギルドを出ると俺は道なりに進みながら木材製品を探して木工製品を多く取り扱っている店を探すため、色んな人に声を掛けてようやくお目当ての商店へたどり着いた。
その商店は横に大きな木材加工用の倉庫が併設された店舗で木工製品を販売していた。
「いらっしゃいませ」
俺が店舗に入ると店員の男性がにこやかに俺に来店挨拶をしてきたので俺も返事を返しながら商店の中に入った。
中には木でできた食器からテーブルや椅子、桶や樽も売っていた。
見た目は家具屋みたいだな、色々な家具が置いてある。
俺はニ〇リを思い出しながら店舗を見て回りながら店員に近づいて質問をした。
「すいません、こちらに屋台用の荷車は有りますか?」
俺が質問すると店員はにこやかに対応してくれる。
「ございますよ、屋台用でしたら隣の倉庫内に幾つかございます。宜しければご案内いたしますよ」
店員さんに促されるままに一旦店を出て隣の倉庫へ向かう。
俺を案内してくれる店員は一旦奥に客を案内することを言うと俺を倉庫へ連れて行ってくれた。
倉庫内には大きめの木工製品が置いてあった。
倉庫を見回すと貴族が使いそうな箱馬車や商人が使いそうな幌馬車、それも大小様々で一頭引きの物と二頭引きの物が置かれていた。
その近くにこちらの大小さまざまな荷車が置かれている。
そんな荷車を眺めながらどれにしようか悩んでいると店員が声を掛けてきた。
「どういった物をお探しでしょうか?」
店員に聞かれたので俺は素直に必要な大きさを店員に告げる。
「酒の入った樽を3つ積んで引いて歩くのに良い荷車は無いですか?」
俺の要求に店員は顎を撫で思案顔をした後、俺を荷車迄案内してくれた。
その荷車は横に3つ樽を摘んで引けるほどの大きさで作りも頑丈そうだった。
それにちょうどいい高さで樽を横に置いて置けば樽の口から直接注いでも荷車の壁が邪魔にならない高さになっていた。
おお!さすが店員良さそうなのを紹介してくれるな。
俺は一目見て使いやすそうだと感じて店員に値段を聞いてみた。
「この荷車は幾らなんですか?」
俺が値段を聞くと店員さんは笑顔を深くして値段を教えてくれた。
「この大きさの荷車ですと12000リルですね、樽もご要り様でしたらサービスさせていただきますよ」
店員はそう言うと揉み手をして値段交渉をしてきた。
俺はその様子から頭を抱えたくなる。
そうだよな、さっき自分で樽を3つって言っちゃったもんな。
これは樽も買うのだろうと当たりを付けられても仕方ないな。
「ではオーク樽を3つ、後コップを10個ほど他は蛇口ってありますか?」
俺が必要な物を聞くと店員は最初は頷いていたが、蛇口と言われた時首を傾げていた。
店員の様子を見て俺は蛇口が無いことを知り心の中に止めると樽とコップをいただくことを改めて言うと店員は俺を商店の方へと案内する。
商店に入ると奥へ一旦下がり少しすると戻って来たので、俺は店員に合計金額を聞き支払いを済ました。
読んでくださりありがとうございます。
ブクマ、評価、感想、とても励みになっております。
誤字脱字等がありましたらご報告よろしくお願いします。




