到着
野営した日の朝、寝ている俺をケインが起こしてくれた。
「お~い、朝だぞ起きろよ~」
ケインは自身も眠そうに欠伸をしながら俺を起こし、俺が目を開けると自分の馬の方に歩いて行った。
俺は立ち上がり軽く伸びをして目を覚ます、そうしている所にサルトが近付いてきて声を掛けてきた。
「起きたか、起きて早々に済まないが朝食の用意をしてくれないか?
昨日の料理の腕なら俺達の中で一番高いと思うから任せたい」
サルトは昨日のスープの事を上げて俺に朝食を頼んできた。
俺もどうせ作るなら全員分作るのは大して違いは無いから、快く頷くとサルトは笑顔で頷き自分の荷物を纏めるために離れていった。
朝食頼まれた俺はどうしようか悩んでしまった。
う~んいきなり牛も居ないのにクリームスープ作ったら、お前どこから牛乳なんて出したって言われそうだしな。
だからと言って同じコンソメじゃあ芸が無いよな~。でも他ってなるとビーフシチューはクリームスープと同様だしな。
他にできそうなのはべリアラ婆さんが入れてくれた野菜を使ったスープだけどニンジンに玉ねぎにジャガイモか・・・。
この中でスープならニンジンか玉ねぎだよな、ならオニオンスープに野菜入れて煮るか、この中だとそれが一番楽だな。
俺は今ある材料でスープを作り始める、もちろんオニオンスープ自体は液体生成で出し、その中に野菜と干し肉を入れて煮込む。
もちろん灰汁取りはしっかりして煮込んでいく、さすがに他には用意できそうにないけどこれだけはしっかり作って置く。
「いい匂いだな、野営で飯が楽しみ何て初めてかもしれないな」
ケインは匂いを嗅ぎながらこれまでの野営を思い返している様に1人愚痴る。
俺はそんなケインに向きそろそろ出来ることを伝えた。
「もうそろそろできますから待っててください」
俺が声を掛けるとケインは笑って頷くと皿を用意し始めた。
俺は用意された皿へスープを注ぎ朝食を取り始める。
みんな俺のスープを絶賛してくれるが、俺はスキルでスープを出しているので何となく素直に喜べないでいた。
朝食を取り終わった俺達は直ぐにレットクラッカーの町に向かって馬を走らせる。
その途中で俺はケインと話をしていた。
「そう言えば、あんたは取り調べが終わった後はどうする予定なんだ?」
馬を走らせながらケインが聞いて来たので俺は少し考えるように顎を摩り話し始めた。
「そうですね、先ずは働き口を探して金をためて露店でもいいので出せる様になったら良いなと思っています」
俺がそう言うとケインは何か考えるように唸りそれから俺に言って来た。
「う~ん、なら冒険者ギルドに行くのが良いかもな。あんたは魔法も使えるみたいだし戦力にはなるだろ?
ちょっと年食ってるみたいだけど魔法使いならどこかのパーティーに入れて貰えるだろ」
ケインに言われて俺は頷きながら考えていた。
へーこの世界にも冒険者っているんだな、しかも探索者とか狩人じゃ無くて冒険者なんだな。
と言う事はもしかして未踏の遺跡か迷宮でも有るんだろうか?不思議に思った俺はケインに聞いてみることにした。
「ケインさん、どこかに遺跡か迷宮でも有るんですか?」
俺が興味を引かれて聞くとケインは目を少し開きながら笑い答えてくれた。
「ああ、あるぜ、一番近い所ではブルーバレー領のカノスって町に迷宮が有った筈だ。
あそこは冒険者も多いからどっか1パーティーぐらいはあんたを入れてくれる所もあるかも知れないな」
ケインは遠い目をしながら呟き、それを聞いた俺も遠いその地に思いを馳せてみた。
そうしている間にも馬は街道を走り続け、昼に一度休憩を交えつつ走り続けた。
その間も話をしながら馬は進み草原が茜色に染まり始めたころにやっと町の外壁が見えて来た。
「アレがレットクラッカーの町か?」
俺が外壁に囲まれた町を眺めながら呟くとケインが誇らしげに肯定してきた。
「そう、アレがバームサルン領が誇る食料集積都市レットクラッカー。この辺で一番食料を手に入れやすい都市さ」
ケインの言葉を聞きながら改めてその都市を眺める。
そしてこれからの生活に期待を胸に眺めていた。
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