夜食準備
休憩も終わり俺達は町へ馬を走らせる。
俺達が向かう町はバームサルン領の端の町レットクラッカーと言うらしい、この町は主に農村から麦を集めて集積して置くために作られた町だと聞いた。
だから余り栄えてはいないが麦を求めて行商に来る為流通は盛んらしい、レットクラッカーは領主のバームサルン伯爵の弟が執政官として納めている。
領主の弟の仕事ぶりも真面目なんだとか、バームサルンは一度レットクラッカーに麦を集めてからバームサルン領都に向かうためその区間の護衛の依頼、各村から来る魔物の討伐依頼などで冒険者の数も多いのだとか、特に俺の最初に落ちた森の魔物の素材は高く売れるらしく狩りに向かう冒険者も多いのだとか。
俺達は馬の振動にも慣れてきたので馬の走らせながらこれから行く町の事をケインに聞いた。
ケインは話し相手がいることに喜んで色々レットクラッカーの町の話をしてくれて、俺はこれから行く町のことを知ることができた。
ケインは油断できない所があるけど話が好きなのか色々教えてくれたな。
これで妙に鋭い所が無ければ気兼ね無く話せるのにな~、妙に鋭いからいつ俺のスキルのことに感づくか分からないからな。
「なるほどセンはこの辺りのことを余り知らないんだな。まさかこの国のことまで知らないなんてことは無いよな?」
ケインは笑顔で俺に質問してくる、でも目だけは鋭く俺を射抜いていた。
俺はそんなケインの顔を見ながら笑顔を作り話をはぐらかした。
「いや~この国の事は余り詳しく無いですよ、見ての通り流れ者ですので余り地理に詳しく無いんですよ」
俺は嘘にはならない程度に話をはぐらかして答える。
そんなことを話しながら夕暮れ時まで走り続ける。
日も傾き空が茜色に染まり始めたころ休憩所が見えてきた。
休憩所と言っても井戸が有るだけの広場だがそれでも水場が有るだけいいらしい、他の領では無いことも有るんだとか。
休憩所に付いたサルトが指示を出す。
「野営の準備だ!おいお前!水が出せるんだったなスープを作れ、鍋と具材は出してやる」
サルトはそう言うと俺に向かって袋を投げてよこした。
俺はその中を確認すると中には鍋と干し肉、豆などが野営で料理をするのに必要な物が入っていた。
その袋の中から先ずは火打石を取り出した。だがまだ肝心の燃やす物を集めて来ていないことに気付き辺りを見回していると、馬を操ってくれていた男が木を拾って来てくれたらしく両手に抱えた小枝を俺が居る所に下ろしてくれた。
「どうしたんですか?」
男は俺の足元に小枝を下ろすと不思議そうに聞いて来たので俺は苦笑いを浮かべ。
「いや火を付けようとしたんだが肝心の薪が無くて探してたんだ」
俺が辺りを見回していた理由を言うと男は笑い。
「じゃあもっと薪になる物拾ってきますね」と言って探しに行ってしまった。
男の後ろ姿を見送っているとサルト達も薪になる物を拾って来たらしく両手に小枝を抱えて俺の所に持って来た。
俺の足者に集められたそれから長くて丈夫そうな枝を見繕い鍋を掛ける枝にして、周りに落ちていた石を集め簡易竈にする。
竈が出来たら枝を入れて火をつける、火打石の使い方は村にいる間に散々練習した。
でも火を点けるために少しずるをして竈の中の枝に着火剤をかけて置く、もちろん周りをしっかり確認した後で作業をする。
火は直ぐに点き十分な火力が出始めた所で袋の中からナイフと鍋を取り出し、鍋にコンソメを注ぎナイフで干し肉を細切りにする。
干し肉が終わったら豆も入れて煮込む、干し肉と豆だけじゃあ栄養偏るからな、どうせ作るなら美味しい物の方が良いだろう。
俺が夕食を作り始めた時にはすでに辺りは暗くなっていて、焚火の灯りが周りを照らし出している。
騎士や男はテントを立てていてすでに寝床が出来上がってきていた。
俺はそれを横目で見ながら何か他に作れないか考える、でも材料が無いんだよな~あるとしたら俺が出せるのは液体だ。
腹の足しにはならないよな~、あ!でも甘い物なら少しは腹の足しにはなるか。
俺は考えついた案を実行に移す為べリアラ婆さんがまとめてくれた荷物を漁る。
荷物の中からお目当ての物を探して直ぐにそれを見つけた。
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