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それは命の泉沸く  作者: 渡海
マルクス村
31/93

徴税官

GW中は1日一回投稿されますので暇つぶしにでも読んでいただければ幸いです。

開け放たれた扉から一人の男だ出て来る。

 室内から漏れ出す灯りに照らされて、男は影が差して顔が確認しずらいが全身鎧を着て帯剣している所を見るとこいつが徴税官なのか?

 恰好からすると騎士の様に見えるが、徴税官って文官のイメージが有ったが騎士もするんだな。

 

俺は相手の姿を確認しながら様子を見る。

 相手は俺の姿を確認するように見回し話しかけた来た。


「なんだ奇妙な恰好した奴が来たな、お前がここの村人攫おうとしてる奴か?」


誰が人攫いだ!俺はただ盗賊しなきゃいけないほど追い詰められた奴らの家族を連れて行くだけだ!

 残りたい奴を無理やり連れて行くつもりは無い、まあ傍から見れば人攫いと変わらないか?

 犯罪もしてないのに奴隷に落とされるのは流石に非道だと思う、まあ自己満足なんだけどな。

 別に奴隷がいけないとは思って無いよ、この世界には必要なのかもしれないし、犯罪奴隷迄否定したら、犯罪者の社会貢献場所が無くなるからな。

 

顔を見られちゃ仕方ない、犯罪者として追われるぐらいならいっそ・・・。

 ちょっと短絡的に考えてる所もあるけど、まあ殺すまで行くと流石に引いて貰えなくなるかもしれない。

 ここは無力化して放置で良いかな?ここにいたからってこの村の人を連れ去ったなんて証拠がないはず。

 

「いえ、ちょっと道に迷いまして、やっと村を見つけたので寄らせていただいただけですが?

 確かに夜中の訪問で少々不信かもしれませんが、やっと見つけた村でしたので寄らせていただきました」


俺は敵意を見せず鎧の男に声を掛ける。

 鎧の男は鼻息荒くため息を突くと剣を抜く。


「あ~そう言うのは良いから、今日村人たちを他の領に連れて行く話はこちらの耳にもう入ってるんだよ。

 お前が首謀者なんだろ?じゃあ大人しく捕まっとけよ。おっさんじゃあ対して金にならんだろうけど、売っぱらってやるからよ」


鎧の男は話しながら眉間を掻いて話し終わると同時に剣を構えた。

 あ~誤魔化せないか、まあ話をするのは別に見逃してくれればそれに越したことは無いんだけど、それ以外に時間稼ぎの意味合いも有る。

 村の人たちが逃げれれば良いんだから、時間さえ稼げれば良いのだ。

 それにまだ村長も出て来ていない、時間さえ稼げれば逃げてくれるはずだ。

 それに時間稼ぎをしているのは何も逃がすためだけじゃ無い、俺の周りに水を張って直ぐにでもこの鎧の男を無力化できるようにするためだ。


俺は剣を構える鎧の男の前で水球を作る。

 すると男から警戒するような雰囲気が流れてきた。


「お前、魔法使いか・・・なら奴隷としても高く売れるな。奴隷契約するまで眠っていて貰おうか」


鎧の男はそう言うと一度剣を鞘に納めて鍔に鞘紐を巻き付け縛った。

 え、マジか、俺のこと舐めすぎじゃ無いか?と言っても相手は騎士、俺のステータスは子供にも追いつかれそうな能力しかないからな。

 もしかしたら一撃で気絶させられるかもしれない、兎に角近づかれない様にしないと。

 

俺は相手の余裕な様子を見て警戒度を一段階上げる。

 それと同時に足元の水の粘度を上げる。

 その間に鎧の男は準備を整え剣を構え直す、それを見た俺はさらに水球を浮かせて壁を作る。

 決して水の壁を作らずに水球だけを自分の前に複数作りいつでも打ち出せるように構える。

 

「魔法使いとしてはかなり使えるらしいな、無演唱でこれだけの『ウォーターボール』を作り出すなら魔法使いとしてかなり使える部類だろう。

 どうだ、今からでもこちらに着く気は無いか?こっちに付けば金に不自由することもない、女も権力も手に入る。

 家畜を助けた所で何になるってんだ?自己満足で指名手配になるだけだぞ?それなら虐げる側になって何が悪い!」


鎧の男は俺に話しかけながら話をヒートアップさせていく、最後には左手を振り上げて俺に力説する。

 俺はその言葉を聞きながら静かに俯く、確かに無駄なのかもしれない、でも俺は人を虐げて良いとは思わない!

 助けられるなら助けたい、俺の手が届く限り!俺は目の前の虐げられている人を無視できない、無視してしまったら俺の中の何かが壊れる気がする。

 それだけはしたらダメだ!だから胸を張る、俺は胸を張って前を見る。

 

俺の目を見て鎧の男は肩を竦めた。そして眉間を掻くと剣を構える。

 

「もうちょっと頭のいい判断をして欲しかったんだがな、まあその目を見ればお前の考えてることは何となくわかる。

 覚悟が有るならこれ以上は言わない、ちょっと眠ってもらうだけだ。目が覚めた後は奴隷契約が終わってるだろうよ!」


鎧の男は話し終わると共に俺に向かって走り寄って来る。

 俺は鎧の男に向かって水球を打ち出す、だが鎧の男は剣で水球を撃ち落とし進んで来る。

 

俺は今回あえてハバネロ先生は使っていない、罠も張ってるけどハバネロ先生は何となくずるいような気がした。

 だから今撃っている水球も普通の水だ、だがそれだとどうも弱すぎるらしい全弾当てるつもりで撃ってるのに当たらない。

 剣で落とされるか避けられる、あの重そうな全身鎧を着た状態で良くあんなに俊敏に動けるな。

 

俺は下がりながら鎧の男に水球を打ち出していた。

 さっきまで家の灯りが逆光になって顔が見え無かったが、月明りの下に出てきた鎧の男の顔が月明りに照らされて見えた。

 鎧の男はギザギザの歯の生えた口を三日月の様に歪め三白眼で睨みつけて来る。


顔が確認できたけど髪型も合わせると悪い顔したポル○レフみたいだな、それに俺の攻撃が全然聞いてないぜ。

 仕方ない次の手だ!俺は近づいて来る鎧の男を見ながら次の手を打った。


「ぬお!なんだこりゃ!」


俺に近づいて来ていた鎧の男は突如動きを止めて足元を見た。

 月に照らされてもよく見えない地面は水に濡れて輝いていた。

 鎧の男は足が地面に張り付いた様に動けなくなって足を動かそうとしている。でも足は剥がせずにいた。


よし掛かった!後は寝てもらうだけだ、俺は直ぐに鎧の男の顔に水球を被せる。

 被せる水球はただの水球じゃない、今回使った液体は睡眠薬溺れて飲み込んだらすぐに寝る様にしておいた。


案の定最初は藻掻いていたが、直ぐに眠気に襲われたのかガクリと崩れ落ちて大の字をかいていびきを搔き始めた。

 俺は動けない様に手も地面と張り付かせる。

 今回使ったのはネズミやゴキブリを取るトリモチ君です、トリモチ君って言っても直ぐには付かないかもしれないけど、トリモチ君を付けたまま歩いたらそりゃ何時かは動けなくなるよね。

 トリモチ君で手も地面と張り付けて動けなくしておいた。


俺は直ぐに村長が外に出てこれなくなるように家の出口を水で塞いで村人たちの避難状態を確かめるために向かうのだった。

読んでくださりありがとうございます。


 ブクマ、評価、感想、とても励みになっております。

誤字脱字等がありましたらご報告よろしくお願いします。


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