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それは命の泉沸く  作者: 渡海
マルクス村
29/93

盗賊の事情

GW中は1日一回投稿されますので暇つぶしにでも読んでいただければ幸いです。


俺が盗賊のアジトのことが気になり聞いてみると盗賊たちはお互いの顔を窺いながら躊躇するように黙り込んでいた。

 俺はそんな盗賊達を見回しもう一度声を掛けた。


「どうしたんだ?どうせこのまま黙ってても騎士団に全部持ってかれるぞ?なら少しでも村の為に使ってもいいんじゃないか?」


俺が盗賊を諭すように言うと盗賊達は気まずそうに顔を俯かせ呟き始めた。


「俺達は盗賊なんかしてるけど元は村人で、盗賊していたのも税が払えなくなって仕方なくしていたんだ。

 俺達が住んでたのはこのバームサルン領の隣のサギール領なんだが、サギール領の領税は生産の8割も持ってかれちまう。

 残った2割じゃあ生活が出来なくて・・・そんな時領主から『払えないなら俺達の家族を売るか、隣の領から攫って来い』って言われてそれで・・・」


盗賊の一人が言いづらそうに話した内容に俺は頭を抱えた。

 う~わぁ、それじゃ何か?こいつら全員村人と変わらないのか?まあ人殺しをしてる時点で罪は償って貰わないといけないんだけど。

 領主の命令じゃ逆らいようが無いよなぁ、でも村が近くに有るならいっそのことこっちの領に引っ越して貰えば良いんじゃ無いか?


「そんなに税が高いならいっそこっちに領に引っ越せばいいんじゃないのか?」


俺が税率厳しいなら逃げちゃえば的なことを言うと盗賊は首を横に振り話し始めた。


「村の村長が領主の犬だ、もし逃げだしたら直ぐに見つかっちまう。

 それに徴税官として領主の騎士が村に駐留してるんだ、逃げようとしたら殺されちまう」


盗賊は苦虫を噛み潰したような顔をして黙り込んでしまった。

 う~んどうしよう?これは俺が力押しでやってしまって良いのだろうか?それともこっちの領主、バームサルン領だっけかな、こちらに報告を入れて動いてもらった方が良いのかな。

 でも上で話し合ってる間に村人は奴隷として売られました。なんて話になったらかわいそうだよな。

 何時も不幸を被るのは弱者なんだ。それなら俺は動いてから上に連絡しても問題無いよな。


俺は盗賊の話を聞いて助けに行くつもりになっていた。

 不幸な人を全員助けるなんて無理だけど、せめて手の届く範囲の人位は手を差し伸べても良いんじゃ無いかなと思うんだよね。


「よし!じゃあお前らの家族を全員連れて来るか、そうすりゃ売られることも無いだろ?

 盗賊をしたことは違いないんだから罪は償ってもらうけど、家族まで攻められるのは間違ってると思うから、全員連れてきちゃおう」


俺が盗賊達に言うと盗賊達は顔を上げて目を潤ませながら。


「ありがとうございます・・・」


絞り出すように呟いた。

 そんな話をしていると俺の背中に声が掛けられる。


「まったくお人好しだねぇ、その助けた人たちどうするつもりだい?

 まさかあんた一人で養うなんて出来ないだろう?」


俺は後ろから掛けられた声に驚き、後ろを見るとべリアラ婆さんが鋭い眼差しで睨みつけていた。

 そんな婆さんの顔を見て苦笑いをしながら婆さんに話しかけた。


「済まない、その人たちを受け入れてもらえないか?

 出てく人間が勝手なことを言ってるとは思うけど、頼むよ婆さん」


俺は深々と頭を下げながら言う、すると少し間をおいてため息と一緒に婆さんの声が聞こえてきた。


「まったくあんたは、わかったわかった、そんじゃあ家を用意しないとねぇ」


婆さんは呆れた様に言うとどこかに歩いて行ってしまった。

 俺は婆さんの後姿を見送ってから水牢の方に向き直った。


「そんじゃあ誰か案内してくれないか?村の場所」


俺が言うと同時に盗賊達は顔を見合わせどよめく、そんな中一人の男が手を上げて答えた。


「俺で良ければ案内します」


その手を上げた男は先ほどまで俺に抵抗していた男だった。

 おうお前かい、あれだけ抵抗してたのに、どうした急に?

 俺が男が名乗り出たことに驚いていると、男はばつが悪そうに笑うと話し始めた。

 

「実はここに来る前に村長が俺達がしくじった場合、売り飛ばす中に俺の嫁を入れやがったんだ!

 だからどうしても仲間を連れて帰りたくて、抵抗してたんだが・・・。

 まあ俺の嫁が売られないなら手を貸すつもりだ!なんでも言ってくれ手伝うからよ」


男はそう言うと立ち上がりこちらに歩いて来た。

 

読んでくださりありがとうございます。


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