レッドバレット
べリアラ婆さんから狩りやすい魔物の名前と特徴を聞いた俺は、待ち合わせの為婆さんの家を出た。
家を出ると広場に5人ほど男達が集まっていて、俺を見つけると手を振って来た。
俺はその集団に近づくと頭を下げながら挨拶をした。
「おはようございます、お待たせしてすいません」
俺は男達に朝の挨拶をすると男達も各々で挨拶をしてくれる。
そんな中一人の斧を持った村人が俺に近づいてきて話しかけてきた。
年は俺より少し下の20代後半ぐらいだろうかダークブラウンの髪と目をした男性だった。
「おはようございます、俺この村で木樵をやってます、テスです今日は護衛よろしくお願いします」
斧を持った村人テスが丁寧にお辞儀をしながら挨拶をしてくれた。
「今日は木を切って家の木材を集めるんだよな、どのくらい必要なんだ?」
俺がどのぐらい木が必要なのか聞くと顎を摩りながら悩んでから話し始めた。
「大量に必要になります、木の太さや長さにも寄りますけど、最低でも50本は必要になると思います」
俺はテスの話を聞いて多いのか少ないのか分からなかった。
だけど分かる事は一つ、一日じゃ絶対に終わらないと言う事だ、これはあれか?
騎士団って言うのが来るまで、ひたすらに木を切りまくらなきゃいけないってことか?
まあ暇するより良いかな?頑張って俺は護衛すれば肉が手に入るってことだしな。
俺は気持ちを切り替えて森へと向かう、村人たちは緊張した顔で森へ近づく。
そりゃいきなり魔物が飛び出してくる可能性が有る森なんて怖くて近づけないよな。
俺だって怖い、だけどそれ以上に肉が食いたい!
意地汚いと罵るがいいさ!スーパー行けば肉が手に入る世界とは違うんだよ!肉手に入れるためには魔物倒さないといけないんだから仕方ないだろ!
「旦那、これから俺らで森の外周部の木を切っていきます、旦那は護衛をよろしくお願いします」
テスが木に近付きながら俺に声を掛けて来る。
俺はテスに頷き森の奥に目を向け注意をし始めた。
さてどうしようかな、テス達が木を切ってる間に俺は魔物の襲撃を考えて罠を張ることにした。
先ずはテス達が木を切っている奥に薄く水溜まりを作って、そこに液体窒素を掛ければ凍った地面の出来上がり。
後は滑って来た魔物を捕らえるための水の壁を作る、この水の壁は布みたいに一点が引っ張られるとそれを包み込むように動く。
それによって獲物を包み込んで逃がさなくするためだ。
まあ定番の窒息トラップの出来上がりだ、これに何匹掛かってくれるか楽しみだな。
俺はそんなことを考えている間に目の端に何か赤い物が通り過ぎた。
そちらを注意深く見ると真っ赤な毛皮の兎がこちらを窺っていた。
耳をピョコピョコと動かす仕草がとても可愛い。
おお!真っ赤な兎だ、確かあれはレッドバレットだっけ?
大きさは普通の兎と同じだな、なんだ普通の兎と同じじゃないか。
可愛いな、アレを狩るのはちょっと可哀そうな気もするけど、肉の為だちゃんと美味しく食べてやるから勘弁してくれな。
俺は心の中で謝っているとレッドバレットが俺に気付いて顔をこちらに向けた。
お!気付いたな、さあどうする?逃げるかな?まさかあの大きさで立ち向かってはこないよな?
俺がレッドバレットの行動を監視していると一瞬レッドバレットの身体がブレた様に見えた。
次の瞬間俺の腹をサッカーボール大の物体が撃ち込まれた。
「げはあぁぁぁぁ!!」
俺は衝撃を受けた腹を見ると真っ赤な兎が俺の腹に頭突きを入れている瞬間だった。
うっそだろ!ちゃんと罠のウォータースクリーンも張って足元は凍らせて置いたのに、なんでウォータースクリーン突き破って来てんだ?
俺は周りのスピードがやたら遅く感じながら自分の張った水の壁を見る、そこには今自分の腹に頭突きをしている兎と同じ大きさの穴が開いていた。
「ブウゥゥゥゥゥ!」
真っ赤な兎は俺の腹に頭突きをしながら鳴く、それと同時に背中を木に叩きつけられ俺は一瞬息が出来なくなって目の前がチカチカと星が舞った。
俺に頭突きをしていたレッドバレットは、俺を木に叩きつけた瞬間俺の腹を蹴り、少し離れた場所に着地する。
「ぐ、う、い、きが」
俺は腹と背中に受けた鈍痛で息が出来なくなっていた。
背中を打ち付けた木に凭れ掛かりながらレッドバレットを見る。
真っ赤な兎は勝ち誇るように俺を見ると「ブウ!」と鳴いて俺に止めを刺すために身体を縮め力を溜め込んでいた。
ヤバいこのままじゃ兎にやられる、余りに情けない、見た目に騙された。
まさか色が違うとは言っても兎にやられるなんて、それにしてもレッドバレットが跳躍した瞬間まったく見えなかった。
腹の痛みを感じてやっと突進されたって分かった状態だ、見えねー物どうやって避けろって言うんだよ!
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