解体
俺は今真っ赤な兎に追い詰められてる、まさか兎がこんなに強いなんて思わなかったぜ。
奴の突進力を見誤ていた、せっかく作ってあった罠が一撃で穴が開くなんて思わないだろ!
しかもこの兎速すぎて目で追えない、消えたと思ったら腹に頭突き食らってたよ。
速過ぎじゃね?俺は絶賛腹と背中を打ち付けられて息も儘ならない状態で木に寄り掛かってる。
目の前では今にも飛び掛かって来そうな真っ赤な兎さんが後ろ足で地面をタシタシ蹴っている。
「エリクサー!」
俺は自分の右手を口に当てながら回復を試みる。
それに反応したのかレッドバレットがブレた様に見えた。
その一瞬後にまた同じ腹に衝撃が走る、でも今度はやられっぱなしじゃあない。
「ブウ!?」
驚いてるな、俺は突っ込んで来ることを見越して予め腹に水の壁を作といた。
腹の前に作られた粘度の高い水の壁でぶつかると同時に相手を包み込むように液体を操作する。
レッドバレットがぶつかって来た腹には多少衝撃は来たけど、最初の衝撃よりは全然ましだった。
今は俺の腹の前でレッドバレットは何とか逃げ出そうと藻掻いている。
でもな一度絡みついた粘度の高い液体は、どう藻掻いても抜け出すことは出来ない。
これが地面の上だったら地面を蹴った反動で抜け出せたかもしれないけどな、俺の腹に身体ごとぶつかって来たのが運の尽きだ!
じっくりと俺の液体を味わってくれ。
俺はレッドバレットを液体の中に入れたまま浮かせて持ち歩く。
それにしても突進でウォーターベールが貫通するとは思わなかった。
もう少し厚みと粘度を上げて張っとかないといけないな、兎でこれなんだからメイルサスとか言う猪は絶対突破されるだろうからな。
俺は一度レッドバレットを解体するために木を伐っている村人たちの所に向かった。
森の外周部では村人達が斧を振り上げ木を伐り倒そうと頑張っている。
今も斧が木を叩く音が響いている、俺はその音に向かって行くと斧を振り上げるテスを見つけることができた。
テスは凄い勢いで斧を振り下ろし、一撃ごとに斧は深く木に突き刺さっている。
スゲーあっと言う間に半分切り込みが出来てる、何であんなに早いんだこれじゃあチェンソー要らずじゃ無いかな。
この勢いならあっと言う間に木を伐り終わるかもしれないな。
「旦那どうしたんですか?そんな所で、あ、もう獲物仕留めたんですねそれで帰って来たんですか?」
テスは俺を見つけ汗を拭きながら笑顔で話し掛けてくる。
俺がレッドバレットを水玉の中に入れてることに気付いたテスが話しかけてきたので、頷いてから聞いてみることにした。
「解体の仕方知ってる奴はいないか?コイツ解体したいんだけど」
俺がレッドバレットを指さしながら聞くとテスは頷き。
「解体なら俺も教えられますからやってしまいましょう」
俺が解体の指導をお願いするとテスが笑顔で頷き解体の指導を買って出てくれた。
テスが教えてくれるみたいだけど、あんたは木を切らないで良いのか?
先の勢いなら今日中に10本ぐらい切れるんじゃないか?
俺が心配そうな顔をしているとテスは笑って手をヒラヒラおさせながら。
「この大きさなら直ぐに終わりますよ、それに木は直ぐ切れてもそれを村まで持ってくのはかなり時間が掛かりますから、これぐらいは休憩の内ですよ」
テスがそう言いながら腰に下げていた解体ナイフを取り出す。
確かに木は切れてもそれを持って帰らなきゃいけないから時間掛かるよな。
それに俺が狩って来たのは兎だったって言うのも有るかもしれない、この大きさなら解体もそんなに時間掛からなそうだ。
「先ずは首を切ってある程度血を抜いてしまいます」
テスは俺に説明をしながら兎の喉をナイフで切り裂く、すると大量の血が溢れ出してきた。
窒息してもう死んでるとはいえやっぱり慣れないな、でも出来る様になっとかないと、出来なくて肉を腐らせたなんて言ったらもったいないからな。
「血が有る程度抜けたら今度は腹を裂いて内臓を取ってしまいます。
そして取り終わったら皮を剥いである程度持ち運びやすい様に木の棒に吊るして持ち帰れば終わりです」
テスは説明しながら手早く解体してくれる、でも内臓が出てきた時俺はビビッて後退ってしまった。
テスは兎の方を見ていて気付かなかったから良かったけど、教えてくれって言っといて引くとか格好悪いな。
解体が終わった獲物は取り合えず拾った枝を洗ってそれに吊るして置くことにした。
持ち歩いて狩りするわけに行かないからね、俺はテスに兎を任せ次の獲物が来ないか見て回ることにした。
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