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リリカと優しい悪魔様  作者: 夕月 星夜


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「おはようございます、リリカ。着替えて来たんですか?」

「あ……」


心配していたのだと一目でわかる顔で、それでもホッとしたように出迎えてくれたエディ。黙って出て来た事に罪悪感が募り、リリカは謝罪を口にしようとした。

しかしそれよりも早くユリウスが口を開く。


「俺がついてるんだ、わざわざこんな格好をしてまでな。文句はないだろう?」

「ユリウス、さん?」


すぐにわかった。何ひとつ嘘をついていないようでいて、明らかにリリカを庇う言葉。

だけどきっとエディはわかっていて、それでも微笑んでそうですねと頷くのだ。


「……ありがとう、ございます」


だから、リリカに言えるのはそれが精一杯。

『ごめんなさい』ではなく『ありがとう』と口にすれば、すべてわかった顔で二人とも頷く。

それ以上この話を続けるべきではないとわかっているから、リリカはすぐに別の事を口にした。


「ユリウスさんは、どうして制服なんですか?」

「リリカを守る為ですよ」


先程からの疑問に返って来たのはあっさりとした答え。

思わずユリウスを見れば、困ったように小さく肩をすくめられる。


「どこで誰が何をしてくるかわからないからな……いいか?」

「え、あ、えと……」


いいかも何もエディが決めたのなら反対など出来ないのに。そう顔に出していたのか、ユリウスは小首を傾げる。


「何か勘違いしているようだが、俺に命令出来るのは主なんだから主が嫌ならやめるぞ?」


そうなら姿を隠して護衛すればいいだけだ。そう言い切ったユリウスに目を瞬いて。

リリカは少し考えてからエディへと向き直る。


「もし、誰かにユリウスさんの事を聞かれたら何と答えればいいんですか?」

「私の親戚とでも言っておけばいいと思います。学園の見学に来たのだと」


自分の親戚ならばこの場にいる事も一応の説明がつくはずだ。そう言ったエディに、リリカはゆっくりと首を振る。


「駄目です、先生。先生の親戚だなんて口にしたが最後、ユリウスさんもみくちゃになります。先生の人気高いし、ユリウスさんかっこいいし、根掘り葉掘り突撃されて大騒ぎになっちゃいますよ」

「……では、どうするのが一番いいと思いますか? 私としては姿を見せた状態でリリカの傍にいる方が牽制になると思うのですが」

「そもそも、昨日の事はどこまで公開するんですか? それによって変わると思います」


こてりと首を傾げれば、そうですねとエディは考え込む。


「まず、リリカの部屋に悪魔召喚陣があった事は公開しなければなりません。他人の部屋へ無断で立ち入った上に危険な召喚陣を設置した犯人を捜さなければなりませんからね。ですが、リリカが悪魔を召喚してしまった事については伏せたいなと。有り得ない事でしたから」


確かに初級精霊召喚陣で上位悪魔を召喚するなどとんでもない大事件だ。それが明るみになればもっととんでもない事になるのはわかり切っている、が。


「それでは犯人を捜す動機が弱くなりませんか? 護衛をつけるほどの物々しさで、という意味で」

「そう、でしょうか」

「いっそ大事の方がいいと思うんです。悪魔召喚陣から悪魔が出てしまい、行方知れずの悪魔に私が襲われる可能性が高い、だから上級悪魔を先生が召喚して護衛にしている。その方が、みんな納得するような気がするんです」


隠し事は真実を織り交ぜなければ信憑性が低くなる。悪魔が召喚されたのも、別の悪魔の気配があるから行方不明の別の悪魔にリリカが襲われる可能性も、嘘ではない。

だからこそ、堂々とユリウスの姿を公開し牽制出来るのではないか。リリカのその案に、当のユリウスは目を丸くする。


「ちゃんと考えてるんだなというか、さっきまでと印象変わるな」

「え、そ、そうですか? なんか変でした?」

「いや……説得力がある案だと思うぞ。エディに召喚された事にすれば他の生徒は何も言えなくなるし、悪魔として堂々と活動出来るしな」


少し楽しげにそう言ったユリウスに、エディは深々と溜息を吐き。


「ですが、貴方がリリカを主と呼ぶ限り一発でばれる事でもあります」

「ああ、そうだな。だが、主は俺に名前で呼ばれたいんだろう?」

「え、あ、はい。主なんて柄じゃないですし、何よりご迷惑をかけてる身でそんな呼び方されたくないですし」


こくりと頷いたリリカに、だったらとユリウスは微笑む。


「リリカ。そう呼べばいいだけだ。そうだろう?」

「……そう、ですね」


苦々しげに頷くエディに首を傾げつつ、それでもやっと名前を呼ばれた事が嬉しくて、リリカはにっこりと笑う。


「じゃあ、ユリウスさん。これからよろしくお願いしますね」

「……あ、ああ」


少しだけ戸惑ったように、それから酷く楽しそうに。ユリウスもまた笑顔になると片膝をつき、リリカの手をとって甲に軽く口づける。


「リリカは俺が必ず守る」

「はい、お願いします」


まるで物語の騎士のように誓われたリリカはほんのりと照れ臭さに頬を染めつつ、それでもにっこりと頷いていた。



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