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潜入魔族と、暴虐の王

大森林迷宮のさらに奥、古代遺跡の崩れた祭壇。

そこでは、一人の少女が禍々しい紫黒の魔力を放ち、空間に浮かぶ「学園の結界」のコアを侵食していた。


【名前】 レルエ・サタナトス(14)

【種族】 高位魔族(純血)

【クラス】 暗殺者科

【能力】 『強欲』の権能(不完全)

【思考ログ】 『クソ虫(人間)どもの結界、これで終わり。学校ごと血の海にして、「7つの大罪」の偉大さを示してあげる……!』


「ふふ、あははは! 脆い、脆いわ人間ども! このアヴァロン学園から、まずは皆殺しにして――」


「まあ、そんなところで何をしておいでですの? クラスメイトさん」


静寂を引き裂く可憐な声に、魔族の少女――レルエは跳び上がるように振り返った。

暗殺者科の隠密スキルを完全にすり抜け、背後に立っていたのは、一匹の小さなスライムを連れた美少女「ルシア」だった。その後ろには、アリアとセレティナも控えている。


「な、何者……!? 人間の学生が、なぜこの最深部に……!」

レルエの目が険しく細められ、その背中から漆黒の『闇の翼』が突き出す。人間に化けていた偽装を解いたのだ。


「ひっ、魔族……!? なぜ学園の迷宮に!?」

アリアが剣を引き抜き、俺の前に出ようとする。しかし、レルエの放つ圧圧倒的な闇の魔力――世界征服を目論む魔族の大大陸、その支配者層のオーラに、息を呑んだ。


「見られたからには生かしておけないわ。私の『強欲』の炎で、魂ごと焼き尽くしてあげる!」


レルエが両手を掲げると、遺跡の空間全体を埋め尽くすほどの、巨大な闇の火球が形成された。直撃すれば、遺跡ごと消し飛ぶレベルの超高火力。


「死になさい、虫ケラども!」


放たれた絶望の濁流。アリアが絶叫し、セレティナが防御魔法を展開しようとした、その瞬間。


俺はフッと笑い、一歩前に出て――右手を軽く掲げた。


「出番だ。――【リッチ(不死者の王)】」


空間がガラスのように割れた。

俺の影からヌッと現れたのは、漆黒のローブを纏い、禍々しい杖を持った巨大な骸骨の王。主人公が事前に契約していた、闇属性の最高峰たる伝説の召喚獣だ。


「な、リッチ……!? なぜ人間の魔獣使いが、不死者の王を従えているのよ!?」

レルエが驚愕に目を見開く。


リッチが骨の手をかざすと、レルエの放った絶大なる闇の火球は、まるで水に吸い込まれるようにリッチの杖へと完全に吸収・無効化されてしまった。魔族の誇る闇属性魔法は、闇の王であるリッチにとってはただの「大好物のエサ」に過ぎない。


「嘘……私の魔法が、完全に消された……?」

ガタガタと震え、後ろずさりするレルエ。


俺は「ルシア」の可憐な仮面を外し、冷酷な男の笑みを浮かべて彼女に近づく。


「お前さ、世界征服を目論む『7つの大罪』の身内なんだって? ちょうどいい。俺もこれから、世界を征服して皇帝になる予定なんだ」


「男の声……!? あんた、人間じゃない、何なのよそのバケモノみたいな魔力は……っ!」

恐怖に顔を歪めるレルエ。彼女のプライドは、リッチの存在と、俺から放たれる圧倒的な支配者のプレッシャーによって完全にへし折られていた。


俺は逃げようとするレルエの顎をクイと持ち上げ、その絶望に染まった瞳を真っ向から覗き込む。


「俺の世界征服の、最初のパーツ(お嫁さん)になってくれ」


【洗脳の魔眼】――発動。


至近距離から注ぎ込まれる、昏い紫の絶対魔力。

「あ、あ、あああ……っ!」

レルエの脳内に刻まれていた「魔族の大国への忠誠」が、ドロドロに融解し、俺への「絶対服従」へと上書きされていく。魔族の闇属性すら、俺の魔眼は容易く侵食し、支配する。


数秒後、レルエの瞳から光が消え、トロンとした愛欲の目へと変わった。


【ログ】 高位魔族レルエとの『クラスメイト召喚契約』が完了しました。

【レルエの好感度】 【測定不能(忠実な犬・メス堕ち)】


「ル、ルクス様……。私は、あなたのもの……。魔族の国の情報も、私の身体も、すべてあなたに捧げます……」

ついさっきまで世界を滅ぼそうとしていた魔族の暗殺者が、俺の足元に跪き、熱い吐息を漏らしながら靴にキスをしてくる。


「よし、いい子だ。表向きは今まで通り学園に潜入してろ。魔族の国の動きは、逐一俺に報告しろよ?」

「御意のままに、私の皇帝(主神)様……」


こうして、俺は学園に潜む最初の「巨悪」を、逆に最高の二重スパイ(お嫁さん候補)として手に入れた。


「ル、ルシア様……? 今、男の人の声が聞こえたような……それにその骸骨は……」

後ろで見ていたアリアが、混乱の極みに達して目を回しかけている。

俺は一瞬で『幻影の至衣』の効果を発動し、完璧な美少女ルシアに戻ると、アリアの手を優しく握った。


「あら、アリア様。これは魔獣使い科の高度な召喚術ですわ。男の人の声? きっと気のせいですわ、迷宮の幻音ですわよ?」

「そ、そうなのですか……? ルシア様がそうおっしゃるなら……」


【アリアの好感度】 92(もはや盲信・お姉様が世界のルール)


(よし、アリアの洗脳(懐柔)もほぼ完璧だな)

隣では、セレティナがレルエを激しく睨みつけ、『(ルクス様、あの新入りの魔族、生意気です。調教の手伝いは私に任せてください)』と嫉妬の念話を送ってきている。


学園の裏支配、チートアイテムの回収、そして魔族のスパイの奴隷化。

入学からわずか数日、俺の皇帝への覇道は、恐ろしい速度で加速していた。


――しかし、地上へ戻った俺の【鑑定】レーダーに、信じられない情報が飛び込んでくる。


【世界ニュース】

『人間の大陸にて、若き天才・最強の勇者(14)が率いるSランクパーティーが、魔族の別働隊を完全消滅させる!』


(へえ、あいつ(幼馴染)も表舞台でずいぶん派手にやってるじゃないか)


「面白くなってきた。表の英雄はお前に譲るよ、幼馴染。その代わり、俺はこの女子校を皮切りに、世界中の女の子と国を、裏から丸ごといただくけどな」


スライムをぷにぷにと弄びながら、俺は次の獲物(お嫁さん)を探すべく、楽しげに女子寮への道を歩むのだった。

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