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お嫁さん候補の『鑑定』と、秘密の女子寮

「――以上が、我が『アヴァロン冒険者女子学校』の概要です。みなさん、淑女として、そして気高き冒険者として精進しなさい」


校長講話が終わり、大講堂に拍手が響き渡る。

新入生たちが一斉に動き出す中、俺――女装美少女「ルシア」ことルクスは、小脇にスライムを抱えたまま、ホッと胸をなでおろしていた。


ひとまず、第一関門の入学式は突破だ。

隣を見れば、先ほど助けた没落貴族の少女、アリアがキラキラとした目で俺を見つめている。


「ルシア様、本当に素敵でした……。あのローゼンバーグ様を言葉一つで退散させるなんて。私、感動いたしました!」

「うふふ、そんな大層なことではありませんわ、アリア様。ただ、お顔が近くて少しびっくりしてしまっただけですの」


あざとく首を傾げて見せると、アリアの頬がまたぽっと赤くなる。


【アリアの好感度】 87(お姉様への憧れ・急上昇中)


ちょろい。実にちょろい。

だが、このアリアという物件、ただのちょろい女の子ではない。俺の【鑑定】は、彼女の衣服の奥にある『真の価値』を正確に暴き出している。


【名前】 アリア・フォン・シルフィード(14)

【クラス】 戦士科

【潜在スキル】 『神速』『無尽蔵のスタミナ』『剣神の加護』

【将来の適正】 将軍、近衛騎士長、最高のお嫁さん(夜の体力◎)


(実家は没落して貧乏だけど、ポテンシャルは世界屈指。これは将来、俺が領地を持ったときに軍事のトップに据えるのにも申し分ないな。もちろん、お嫁さんとしてもキープだ)


「アリア様、もしよろしければ、これから一緒に女子寮へ向かいませんこと?」

「えっ!? は、はい! 喜んで!」


犬なら千切れんばかりに尻尾を振っていそうなアリアを従え、俺は女子寮へと歩き出す。

道すがら、すれ違う女子生徒たちに視線を送り、片っ端から【鑑定】をかけていく。


生徒数1000人の女子校。まさに情報の宝庫だ。


「(……あの子は『魔法科』の特待生か。火属性の魔力量が同年代の5倍あるな。あっちの小柄な子は……『盗賊科』か。気配遮断のスキルがバグってる。将来、俺の暗殺組織の幹部にスカウトしよう)」


歩くだけで、未来の「国家運営パーツ」兼「ハーレム計画」のパズルが頭の中でパチパチと組み合わさっていく。たまらない快感だ。


そんな中、女子寮――『白百合館』の巨大な門が見えてきた。

全寮制のこの学校では、これからの4年間、ここで女の子たちと文字通り寝食を共にすることになる。


門をくぐろうとした、その時だった。


「――お待ちになって、ルシア様」


背後から、ひんやりとした、しかしどこか艶っぽい声がかけられた。

振り返ると、そこには長い銀髪を揺らし、深い紫の法衣をまとった少女が立っていた。胸元には、この国で最も権威ある宗教組織の聖印が刻まれたブローチ。


【名前】 セレティナ・オラトリオ(14)

【クラス】 回復術師科

【身分】 聖女

【好感度】 10(警戒・興味)


(出たな、『聖女』セレティナ。全生徒の憧れの的であり、光属性の最高峰)


セレティナは、慈愛に満ちた完璧な「聖女の微笑み」を浮かべながら、俺に近づいてくる。


「先ほどの大講堂での立ち振る舞い、拝見しておりました。暴力に屈せず、迷えるフランチェスカを優しく諭す姿……まさに聖母のようでしたわ。同じ新入生として、ぜひお近づきになりたくて」

「まあ、聖女様にそんな風に言っていただけるなんて、光栄ですわ」


俺は完璧なカーテシーを返しながら、彼女のステータスを【鑑定】した。

そして――俺の口元が、裏でニヤリと歪みそうになるのを必死でこらえた。


【名前】 セレティナ・オラトリオ

【裏のステータス】

ストレス値:98%(限界間近)

思考ログ:『どいつもこいつも聖女聖女ってクソうざい。早く部屋に帰って肉食って酒(※隠密密造酒)飲んで寝たい。あのお上品ぶったルシア、なんか鼻につくわ。あー、全員消えてくれないかなぁ……』

【将来の適正】 宗教界の黒幕、マフィアの相談役、独占欲の強いお嫁さん


(おいおいおい、最高じゃないか)


表向きは清純可憐な聖女。しかしその中身は、過酷な教会組織のプレッシャーで精神がゴリゴリに病み、全人類を呪っている毒舌ストレス女子。


素晴らしい物件だ。こういう「光の皮を被った闇」の女の子ほど、俺の【洗脳の魔眼】が最も美味しく深く突き刺さる。


「セレティナ様、お近づきの印に……少し、私とお話ししませんこと? 誰もいない、静かな場所で」


俺はわざと、セレティナにしか見えない角度で、妖しく目を細めた。

ほんの一瞬、俺の瞳の奥で、紫色の魔力がパチリと火花を散らす。


「え……?」


セレティナの完璧な聖女の笑顔が、一瞬だけピキリと固まった。彼女の鋭い勘が、俺から漂う「ただ者ではない気配」を察知したのだろう。


「ええ……。ええ、ぜひ。ルシア様。じっくり、お話ししましょう?」


セレティナの瞳の奥に、ぞくりとした暗い光が宿る。

それを見た俺は、心の中で快哉を叫んでいた。


大貴族の令嬢を洗脳し、剣の天才を懐かせ、聖女の裏の顔を掴みかけた。

入学初日にして、この収穫。


「(待ってろよ魔族の大国。そして勇者の幼馴染。お前らが表でガチャガチャ戦ってる間に、俺はこの最高のお嫁さん(兵器)たちを全員身も心も従属させて、世界の裏ボスになってやるからな……!)」


可愛いスライムをぷにぷにと揉みながら、俺は美女だらけの女子寮の階段を、高鳴る胸を抑えて登っていくのだった。

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