表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/26

女装男子の『身体検査』と、絶体絶命の危機

灼熱の火山迷宮から『永久熱源の心臓』と神話級魔獣『フェニックス』を持ち帰り、俺の世界征服計画はまた一歩、確実なものとなった。


だが、学園に戻った俺を待っていたのは、魔族の襲撃よりも、神話級の魔獣よりも恐ろしい、絶対絶命の国家的危機イベントだった。


「――全生徒に告ぐ。明日の午前中は、アヴァロン学園の伝統行事、一斉『身体検査』および『魔力適性測定』を行います。各自、指定の検査着に着替えて大講堂へ集まるように」


夕方のホームルームで教官が放ったその一言に、俺の脳内は一瞬でフリーズした。


(し、身体検査だと……!?)


いくらチートアイテム『幻影の至衣ファントム・ドレス』が完璧で、触られた感触まで美少女に偽装できるとはいえ、それはあくまで「衣服を着ている状態」での話だ。

医官による本格的な触診や、服を脱いでの精密な魔法スキャンを受ければ、俺が「健全な14歳の男子」であることは一発で露呈する。


女装がバレれば、お嫁さん探しどころか、人間の大陸を揺るがす大スキャンダルとなり、国家反逆罪で即処刑もあり得る。


「ルシア様、明日は身体検査ですね! 一緒に並んで受けましょう!」

戦士科のアリアが、無邪気な笑顔で手を振ってくる。


「え、ええ……。楽しみですわね、アリア様(終わった。完全に終わった……)」


その日の夜、女子寮『白百合館』の俺の部屋。

カーテンを閉め切った暗がりのなか、俺は洗脳済みの精鋭ハーレムたちを緊急招集していた。


「――というわけだ。明日の身体検査、俺が男だとバレずに切り抜ける方法を考えろ」


俺が男の低い声で深刻に切り出すと、ベッドに腰掛けていた聖女セレティナが、クスクスと妖艶に微笑んだ。


「あら、ルクス様。バレてしまえばいいじゃないですか。そうすれば、私が教会の権力を使ってあんたを幽閉し、一生私のベッドから出られないように監禁して差し上げますのに……♥」

「却下だ。セレティナ、ヤンデレてる場合じゃない」


「ル、ルクス様! 私のローゼンバーグ公爵家の財力で、明日の検査を統括する医療チームを丸ごと買収いたしますわ!」

フランチェスカが鼻息荒く提案する。


「悪くないが、学園の医療チームには教会の高位神官も混ざっている。公爵家の力でも、一晩で全員を完全に抱き込むのは無理があるな」


すると、アクアリア家の令嬢エレノアが、冷徹な笑みを浮かべて挙手した。

「それなら、私の水魔法で学園の水道管をすべて凍結させ、明日の身体検査を物理的に中止に追い込みましょうか?」

「過激すぎるだろ。国家レベルのテロだ」


万策尽きたかと思われたその時、俺の影からヌッと姿を現した魔族のレルエが、静かに口を開いた。


「ルクス様……。魔族の国に伝わる禁忌の秘薬――【変転の秘薬アルス・マグナ】の調合データが、私の脳内にあります。これを使えば、24時間だけ、肉体そのものを『完璧な女』へと作り変えることができます」


「な、何だって……!?」


俺は驚愕してレルエを見つめた。

肉体そのものを一時的に性転換させる秘薬。それなら、どんな精密スキャンや触診を受けようが、100%美少女として判定される。


「ただし、ルクス様……。その薬を作るには、私の魔力だけでなく、セレティナの『高純度の光』、エレノアの『清らかな水』、そしてフランチェスカの『純粋な火』の魔力を、私の【強欲】の権能で一つに練り上げる必要があります」


レルエが言うと、ヒロインたちは一斉に顔を見合わせた。

属性も身分もバラバラな彼女たちが、初めて力を合わせて行う、一人のルクスのための共同作業。


「お安い御用ですわ。ルクス様が本物の女の子(ルシア様)になるなんて、少し興味深いですし……」

エレノアが頬を染める。


「ふん、ルクス様のためなら、魔族の手を借りるのも吝かではないわ」

フランチェスカがフンスと胸を張る。


「じゃあ、さっそく始めましょうか。愛しい我が君のために」

セレティナが妖しく瞳を輝かせる。


四人の美少女が中央で手を合わせ、それぞれの絶大な魔力をレルエの元へと集中させていく。部屋の中に、光と水、火と闇が美しく混ざり合った、奇跡のような五色の魔法陣が浮かび上がった。


俺はその光景を見つめながら、ゾクゾクとするような全能感に満たされていた。


(大貴族、聖女、名門、魔族……本来なら絶対に相容れない世界の支配者層のパーツたちが、俺一人のために、裏で完璧に歯車を噛み合わせている……!)


数分後、レルエの手のひらの上に、怪しく輝く一滴の「虹色の液体」が完成した。


「できました、ルクス様。これを口にすれば、明日の朝には……」


「ありがとう、お前たち。最高の嫁(部下)を持てて、俺は幸せだ」


俺は躊躇なくその秘薬を飲み干した。

身体の芯から、カッと熱い魔力が突き抜けていくのを感じる。


世界征服の第1部、最大のピンチを、俺は作り上げた最強のハーレムチームの絆(洗脳)で、文字通り「身体ごと」突破する。


翌朝、大講堂の鏡の前に立っていたのは――いつも以上に肌がキメ細やかになり、どこからどう見ても、触っても、スキャンしても『完璧な超絶美少女』と化した、ルシアの姿だった。


「(さあ、身体検査でも魔力測定でも、何でも持ってこい。俺の覇道は、誰にも止められない!)」


女装男子の意地とチートをかけた身体検査イベントが、今、幕を開ける!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ