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第一回お嫁さん会議と、皇帝の初陣

深夜の魔族襲撃から明けた翌日の放課後。

教官たちは「結界の一時的な不具合」として生徒たちに説明していたが、学園の裏側では確実に地殻変動が起きていた。


場所は、学園の目の前にある最高級魔導カフェのプラチナパーティールーム。貸切のプレートが掲げられたその部屋に、人間の大陸の未来を揺るがす美少女たちが一堂に会していた。


「――それで、ルシア様。ゆうべの虫ケラどもは、どこのどいつなんですの?」


最初に口を開いたのは、大貴族の令嬢フランチェスカだ。縦ロールをいらだたしげに揺らす彼女の瞳は、俺の魔眼によって【狂信】に染まっている。彼女の背後には、アクアリア家の権益を握る水属性のエリート、エレノアも従順な面持ちで控えていた。


「フランチェスカ様、落ち着いて。ルシア様の前で声を荒らげるなんて、無礼ですよ」

聖女セレティナが、紅茶を優雅に啜りながら窘める。その隣では、魔族の二重スパイであるレルエが、おとなしく俺の影に隠れるように座っていた。


彼女たちは全員、俺――女装美少女「ルシア」ことルクスの【洗脳の魔眼】によって絶対の忠誠を誓った、俺の「お嫁さん候補(手駒)」たちである。


「みんな、集まってくれてありがとう。……レルエ、今回の襲撃の背景を説明して」

俺がルシアの可憐な声で促すと、レルエはコクンと頷いた。


「はい、ルクス様……。ゆうべ襲撃してきたのは、魔族の大国が誇る『7つの大罪』の一角――『強欲』の盟主直属の討伐隊です。勇者アレンの動きに呼応して、人間の大陸の防衛拠点であるこの学園を潰そうとした底辺どもです。隊長のガルザは、ルクス様の魔眼で逆洗脳し、すでに本国へ追い返しました」


「魔族の分際で、ルシア様の庭を荒らすなんて万死に値しますわね。私の実家の流通網を使って、魔族の物資を干渉しましょうか?」

エレノアが冷徹な笑みを浮かべる。名門貴族の物流ルートの権益が、早くも俺のために動き出そうとしていた。


(素晴らしい。まだ14歳の小娘たちだけど、バックの権力は一国を動かせるレベルだ。これぞ『お嫁さん(兼・領地経営パーツ)』を集めた甲斐があるってものだな)


俺は心の中で満足感に浸りながら、【鑑定】で彼女たちの状態をチェックする。全員、好感度はカンスト。裏切りの兆候はゼロだ。


「みんなの協力に感謝しますわ。でも、表立って動くのはまだ早いです。魔族の国は私が裏からじっくり料理しますから、あなたたちは学園での地位をさらに固めておいてちょうだい」


俺がふんわりと微笑むと、フランチェスカもエレノアも「はひっ……!」と顔を真っ赤にして身を乗り出してきた。

「ルシア様のお言葉なら、何なりと……!」

「今夜、私の部屋で詳しく次の作戦(夜の密会)を練りましょう……?」

聖女セレティナが、机の下で俺の太ももをそっと撫でてくる。


その時、部屋の扉が勢いよく開いた。


「ルシア様! 大変です!」

飛び込んできたのは、唯一魔眼をかけていない、純粋な憧れで俺を慕う戦士科のアリアだった。彼女は息を荒くしながら、手に持った学園の緊急令状を掲げた。


「次回の迷宮演習、場所が変更になりました! 人間の大陸の南端にある、あのSランク勇者アレン様が攻略したはずの『灼熱の火山迷宮』の調査に、私たちの班が指名されたんです!」


「――な、なんですって!?」

フランチェスカが驚愕の声を上げる。いくらアレンがボスを倒したとはいえ、火山迷宮は新入生が行くには危険すぎる場所だ。教会の老害どもか、あるいは魔族の裏工作の匂いがする。


だが、俺は不敵に口元を歪めた。


(ククク……ついに来たか。アレンが見落とした、あの幻のチートアイテム――無限のエネルギー源『永久熱源の心臓プロメテウス・コア』が眠る場所。あいつが命がけで掃除してくれたおこぼれを、俺が美味しくいただく絶好のチャンスだ)


「アリア様、教えてくれてありがとう。……危険な場所のようですけれど、みなさんと一緒なら、きっと乗り越えられますわ」

俺は優しくアリアの手を握り、怯える可憐な少女を演じて見せた。


「はいっ! 私が命にかえても、ルシア様をお守りします!」

アリアの好感度がまたしても爆跳する。


大貴族、聖女、名門、魔族、そして剣の天才。

俺が作り上げた最強の初期ハーレムパーティーの初陣が、ついに決まった。


「(待ってろよ、火山迷宮。そして勇者の幼馴染。お前が世界を救う英雄ごっこをしてる間に、俺は世界をひっくり返すエネルギーを手に入れて、領地経営(世界征服)の爆速ロケットを点火してやるからな)」


小脇の最弱(?)スライムをぷにぷにと弄びながら、女装の魔獣使いルクスは、次なるチートアイテムの回収に向けて、昏い野望の炎をその瞳に灯すのだった。

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