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64 巡察使 その5

小さな村だけに、案内自体は直ぐに終わってしまう。


ヤーラは、とりあえず晩餐までは村を見て回りたいというので、心良く認める。そもそも、認めないという選択肢はないけどね。


当然のことながら、俺たちもくっついて回る。


ヤーラたちは、畑の土に興味を持っているようだ。確かに、村が安定的な収入を得る根本が、畑だから妥当と言えば妥当な視点だ。


ただ、なんというか真面目だな。こういう役人って、許認可権を盾にいろんな要求をしてくるかと思った。エロいこととか、凄くエロいこととか。


特にウチは綺麗ドコロが多いから、心配していたが、今のところ目もくれていない。

護衛の冒険者たちは、チラチラとヒイたちの胸やユキの腰の辺りに視線を送っているのは、ご愛敬だろう。


幸いなことに獣人幼女たちを見る者は、いなかった。


前世の同僚たちも世間から思われているよりは、真面目だったし、イメージで警戒したのは悪かったかな。

ちなみに、真面目さと有能さは全く別物だったけどね。


ヤーラは畑の確認が終わると、オーガやリザードマンたちに聞き取りを始めた。

何か聞き出そうというより、オーガたちの人柄を知りたいのだろう。

オーガたちって、人族から結構恐れられているらしいしな。

人によっては魔物とみなす人たちもいるらしい。


ここに来るまでに、安住の地が見つからなかったのも無理はない。


いずれにせよ、小さい村なので詳細な調査もすぐに終わってしまう。


休憩を挟んで、歓迎の晩餐を始める。


晩餐と言っても、獲ってきた肉以外はスオナーデから買ってきた食材や酒が主となる。

彩りの葉物程度が、イワオ村産だ。


それでも一角猪や羽ウサギの肉は好評だった。一角猪の肉はもうちょっと熟成させたかったが、十分旨味に溢れているし、羽ウサギの肉は驚くほど柔らかい。


冒険者たちは引くほどの勢いで、かっ喰らっている。


「今日一日村を見せてもらったが」


ヤーラは口元をナフキンで拭い、一息ついて話し出した。


「この荒れた地に、良くぞここまで村拓いたと感心しました」


「ありがとうございます」


俺以下、晩餐に参加したヒイたち全員が、立ち上がって頭を下げる。


ちなみに、俺以外の人間に頭を下げたがらないみんなを、念話で必死に宥めていたりする。


そんな雰囲気を悟ってか悟らずか、ヤーラは一枚の羊皮紙を取り出した。


「認可状。イワオ村をスオナーデ代官支配の村として認め、村長クラキの統治を認める。なお及ぶ統治範囲は、半径5キロとする。特例として、今日より3年間、人頭税以外の税、賦役は免除するものとする」


代官の名代としてヤーラの署名の入った認可状を受け取る。


今、この時をもってイワオ村は正式に認められたことになる。





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