表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/65

63 巡察使 その4

一つ悟った事がある。


どんなアホな事でも、大きな声で自信を持って断言すれば、それなりに通じる、ということだ。


例えば今の状況だ。


「還らずの森で狩りをするだなんて」


信じられないモノを見るような態度の冒険者たちに、イヤイヤと無意味に愛想良く笑顔を向ける。


「森の外縁に出てくる魔物は、大して強くないですから」


嘘は言っていない。モトテート周辺に出る魔物に比べると、外縁部の魔物は無害と言っていいレベルだ。


「そりゃそうかもしれんが、その一角猪なんて、10人以上の冒険者で囲い込んで獲るような魔物だぞ」


え?そうなの?っと獲ってきたオーガたちを見る。


「まあ。楽に獲れる魔物じゃねぇでさ。ここじゃクラキ様のお陰でどうにかなってやすが」


うーん。そこは人族とオーガやリザードマンの違いということにしよう。


「みんなのパワーに合わせた戦い方をちょっと教えただけだけどね」


ほーら。具体的な事はなにも言ってないが、冒険者たちも納得したような顔になってきた。

俺は実は暗黒神じゃなくて、詐欺師ではないだろうか。前の世界では、本当にその通りと言っていいだろう。


自称「暗黒神」こと新興宗教団体代表クラキ。


うん。違和感がない。


そんな事を考えながら、笑顔で巡察使を見た。


「この獲物は、今晩の晩餐に供しますのでご期待下さい」


冒険者たちがどよめく。


「おいおい、一角猪の肉なんて食ったのいつ以来だよ」

「前に食った事あるような口を利くなよ。羽ウサギだって、滅多に食えないくせに」

「確かに。羽ウサギ狩ったら、食わずに売るな」


以前、スオナーデで一角猪を売ったら大銀貨50枚くらいになったな。

確かに高級肉かも知れない。


(今日、獲物があって良かったです)


フウが念話で言ってきた。


(危うく保存してある香水蛇を出すところでした)


香水蛇は危険度も味も、一角猪より数段上の魔物だ。縄張りを主張するために、華やかな香りの粘液を出す為にこの名がある。


モトテートでは、その香りで、素晴らしく美味しい肉の居場所がわかるという事で、乱獲されている哀れな魔物でもある。


最初の頃に売ろうと思ってスオナーデに持ち込んだら、ちょっとした騒ぎになった。


「そんなご馳走とは、ありがたいですな」


ヤーラの言葉に首を横に振った。


「その代わり、ご覧の通り野菜は大した物はないですし、酒の類いはほとんどありません」


「なるほど」


葉物野菜が育っている、小さな畑を見てヤーラは頷いた。


「野菜はともかく、酒はみんながなんとかしてくれと、うるさくて。僕には、なんであんなものが欲しいか良く分からないんですが」


嘘です。ホントは飲みたいんだけど、ヒイやフウが飲ませてくれません。


俺の神像の前には、お神酒を捧げるのに。解せぬ。


「なるほど。確かにあなたに酒は必要なさそうだ」


ヤーラは声を立てて笑った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 京大がやった砂漠緑化の方法使って農地作ろうぜ(時間がめっさ掛かります
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ