59 暗黒神と土地神 その5
一面の草原が広がっている。
「すご〜い!」
叫んでピアとミリが駆け出す。
が、すぐに止まった。
「痛いにゃ」
「走りにくい」
そう言うとすごすごと戻ってくる。
良く草原を観察すると、ゴロゴロと岩が転がっており、土壌としては以前と変わっていない事がわかる。
石や岩の間から草が生えてきていて、一見草原に見えるが、その実体は岩場なわけだ。
「今のままで岩を砕いて土にするには、まだ2、3年かかります」
「3年で済むの!」
フウが驚いて言う。
確かに岩場が土壌豊かな草原に変わるまで3年というのは、ビックリするくらい短い。
「クラキ様から頂いた魔力を全て注ぎ込めば、もっと短くできます」
「そんなに急ぐこともないよ。家畜の餌場が出来ただけで、上出来だ」
イワオ村に住む予定の人たちは、総出でこの餌場を囲うように柵を作っている。頑張って作業しているが、地面が岩だらけなので杭がなかなか刺さらないようだ。
地ならしにも使われるタコと呼ばれる道具で、杭を打っていくが、場所によっては杭が負けてしまっている。
動物も山羊、羊、馬といるので広さも、そして柵の高さもそれなり必要だ。思ったより大変な作業だ。
「柵だけで、あと2日はかかってしまうかもしれません」
休憩に入ったサクラが、そう報告してきた。
彼女は志願してイワオ村に住む事になっている。
彼女だけでなく、元隠れ里の住人が10人イワオ村に住む事になっている。
やはりミカゲの元で暮らしたいという者が、非常に多かった。
「クラキ様の元に住う事が叶ったのに、わざわざイワオ村に住むこともなかろうに」
などと言いながら、ミカゲの口元が緩んでいたのは内緒だ。
「柵作りが終わったら家畜小屋か。まだ時間がかかるな」
「住居もあと3軒ほど、建てたいですしね」
まだ家が足りないので、天幕住まいの人間が半分近くいるのだ。
「モトテートも、まだ家が足りないからなぁ」
住人が増えている事は有り難いが、インフラはまだまだ間に合ってないな。




