57 暗黒神と土地神 その3
イワオ村にミカゲがいるとすると、その魔力で開拓は進め安くなる。
ただもちろん、無制限にというわけではない。それに目立ち過ぎると、隠れ里の二の舞になりかねない。
この土地だって周囲は岩場や礫だらけで、痩せている。村の周囲だけ緑豊かだなんて、目立つ事この上ない。
「前の山は、周囲が痩せていったんで目立ってしまいましだが、ここは豊かにしていく方向なんで、さほど目立たないかと」
「ゆっくりとやればね」
一応スオナーデの代官にも納税するつもりだし、よほど目立たないと大丈夫だろう。
「ミカゲもいる事だし、少し規模は大きくしてもいいだろう」
当初は10人ほどでスタートするつもりでいたが、思い切って20人規模にする。
10人だとスオナーデに行ったことのある種族を全て網羅するのが、厳しかったんだよね。
ダミー用の村として作ったんで、今までスオナーデに買い出しに出たことのある、オーガ、リザードマン、人族が満遍なくいる必要がある。
さらにリシュルに会ったことのある俺たちもいなくてはならない。
住民選定の縛りがキツ過ぎるのだ。
これが20人までOKとなれば、一応の格好がつく。さらにスオナーデから買ってきた家畜までいるので、ミカゲの魔力抜きでは本当に厳しかった。
「土地神としての本分ですから」
謙遜しながらも、ちょっと小鼻が膨れているのがかわいい。
「まだ魔力を土地に馴染ませているところですが、もう少しすればキチンと土地を把握できます」
フンスと鼻息荒くミカゲは宣言した。
ちなみにミカゲの本体である黒御影石は、俺たちの住む(という事になっている)屋敷の裏庭に置いた。
屋敷にはモトテート村に繋がる転移陣もあるので、その守護もお願いする。
この屋敷は単にモトテートへの転移陣を隠すものとしか、考えていななかった。なので本当に住む予定の個々の家よりは、適当でいいよと言っていたのだ。
だが、現実に建てられた屋敷は20人ほど、いや最初は10人しか住まないはずだった集落には不釣合いな、大邸宅になってしまっている。
最初に考えていた畑なんて、庭にしては狭くない?と思える程度の広さなのに。
だから裏庭も、耕作不適応地とはいえ、びっくりするくらいの広さになっていた。
ただ、だだっ広いだけの殺風景な庭だったのだけど、ミカゲの本体を置く事により、少し庭らしく見えてきている。
魔力によって岩の下に湧き水を呼んで、小さな池まで作ってしまったしね。
緑は、まだまだ少ないが、人の住めるところっぽくなってきた。
あとは普通の家を2、3軒と家畜小屋を建てれば、イワオ村のとりあえずの格好がつくかな。




