表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/65

48 暗黒神、ぶらり旅 その2 / 侵攻側の都合 その1

「なるほど。奥のテントに子供がいるみたいだな」


夜明けまであと1時間ほどの払暁。俺たち一行に隠れ里のサクラを加えた9人は、山の麓まで降りて来ている。

ミイもヨーも変身を解いて、ダークエルフ姿だ。


冒険者たちの野営地まで100メートルほどまで近づいているが、見張りの連中が気付く様子はない。


「このまま、突入しますか?」


ヨーが尋ねてきた。


「どうするかな。妙な魔法陣を敷いてるんだよなぁ」


俺の目には、子供たちが捕らえられているテントの周囲に、妙に凝った構成の魔法陣が見える。


「警戒の魔法陣ですか?それにしては、変な魔法式がついていますが」


フウが首を捻る。


「警報先が、あの野営地じゃないな。もっと遠くに飛ばしている」


目を凝らして周囲を見ると、1キロ程先に魔力の塊を見つけた。それも2箇所。


「どうも、あの野営地は餌みたいだな」


◇◇


「どうにも気に入らん任務だな」


黒岩山と呼ばれる山の麓から、やや離れた位置に待機する私、サイス伯爵家騎馬第3中隊第2小隊の先任分隊長である騎士エオレ・ヘープは、愚痴をこぼさずにはいられなかった。


本来は伯爵家の騎士である私が、任務に対して不満を抱くなど許されることではない。


だが、今回の任務に関しては、どうしても不満を抑えることが出来るない。

冒険者たちの尻拭いをするのは、まだいい。

ただ、その冒険者の質が最悪に近い上に、目的もロクでもないものなのだ。


あの山に、住み着いている住人がいるので、伯爵領に取り込む。

このこと自体はいい。為政者として、真っ当なことだ。

だが、今回はそれに優先する命令がある。


黒岩山を緑豊かにしている魔力の源を探り、確保せよ。


山にもっと近い位置に野営している冒険者たちは、その為に雇われている。

我々領兵は、戦うことには慣れているが、魔力源の捜索などといった事は専門外だからだ。


だからと言って、あの冒険者たちが専門家とは思えないが。


なにしろ、山の住人に聞けば早いなどと言って、出会った子供たちを拉致してきているのだから。

しかも人質にして、住人から魔力の秘密を聞き出した後は、奴隷として売り飛ばすなどと言っているそうだ。


そんな行為の片棒を担がされていると思うと、怒りに身が震える。


「先程から、山に漂う魔力が増えたように見えますね」


夜明け近くで、夜襲の可能性が高い時間なので、わたし自らが歩哨に立っていたのだが、その横にやって来た者がいる。


「そうかね」


素っ気ない返答になったが、仕方がない。

彼こそが、今回の任務のきっかけを作った魔法使いなのだから。


魔法使いに対する偏見をあざ笑うかのような、清潔で爽やかな出立の見目良い男だ。


「わかりませんか?そうですか」


焚き火の光の中で白い歯を見せて、笑う。

笑いながら、左手に抱えた印書をソッと撫でている。


正直、イケすかない男だが、なるべく表情に出さないようにした。こいつは、伯爵閣下お抱えの魔法使いだ。たかが分隊長風情とは、比較にならない。


「ほう!」


魔法使いが、甲高い声を上げた。


「どうした?」

「いえね。魚が針にかかったようです」


口元を吊り上げるその表情は、どう見ても邪悪なものにしか見えなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ