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46 土地神と暗黒神

この一時間ほど、ずっとミイの視覚と聴覚を共有していた俺は、サクラという幼女の言葉に、懸命に記憶を辿った。


だが暗黒神としての記憶に思い当たるものはない。

それでも、昔の俺を知っているかもしれない存在だ。無視する訳にもいかない。


(ミイ。この図形を地面に描けるか?)


転送陣の子局魔法陣のイメージを送ってみる。ごく簡単なものだから、大丈夫だろう。


(やってみます)



◇◇



わたし、ミカゲがこの地の鎮守となって2000年近くが過ぎた。


最初の1000年は苦労はあっても、穏やかな日々だった。暗黒神様と光明神様を戴く神聖帝国が、大地の全てを治めていたのだ。


やがて神々は大地の司を人間たちに譲ることとした。神々が直接人の世に干渉する事は少なくなり、これわたしたち土地神が、人々の相談に応じていた。


そしてある日。

わたしと暗黒神様とを繋いでいた(えにし)が切れた。


衝撃だった。

今まで受け取っていた暗黒神様の神力が、途切れてしまった事もさることながら、常に感じていた暗黒神様の気配が消え去ってしまったので。

気のせいか、他の神々の気配までもが薄くなってしまったように感じる。


それからの年月は、あまり思い出したくもない。


神聖帝国は分裂し、消え失せた。僅かに残った痕跡も、新たに興った国に押し込まれ、都市国家に、やがて隠れ里として滅びに向かっている。


他の土地神たちも力を失い、消え去っていった。


わたしは辛うじて力を残してはいるが、往年の姿を維持する事もできずに幼くなってしまった。


あと百年もすれば、わたしも消え去るだろう。


そう思っていた矢先、里の子供たちが迷子になってしまったと騒ぎになった最中、若い男女が里の近くまでやって来た。


そして暗黒神様の真印を示したのだ。


騒ぐ心を抑えて里まで呼ぶと、2人は地面に魔法陣を描き始めた。


そして、完成した魔法陣から現れる一団。

その中にいる幼い男の子を見て、わたしの自制心は切れた。



土地神は、神と言っても精霊に近い存在という事にしておいて下さい。

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