37 暗黒神、いろいろ考える その2
計画は完璧でも、その為には手頃な開拓地がいる。
「条件はスオナーデから、1日以上の距離で、あまり人が来ないところか」
「一応、人が住むのだから、水場の近くがいいですね」
付け加えるヒイに、尋ねてみる。
「ヒイたちは、住む場所を探して回ってたんだろ?いいところ知らない?」
ヒイたちは顔を見合わせた。
「住む場所が見つけられずに、暗黒神様にすがろうと思ったので…」
そりゃそうか。
いい場所が有れば、不確かな暗黒神復活にかけて、還らずの森になんて入らないよなぁ。
「別にみんなで住むような場所じゃなくて、いいんだけどな。本拠はこっちなんで家の2、3軒と小さな畑が作れればいい」
「なるほど。そういう条件なら」
再びヒイたちが、考え込む。
「スオナーデの東側の山の麓に、いい場所があったと思います。畑に出来る土地が少ない上に、岩が多くて開墾も難しいので諦めましたが」
「ああ、あそこ」
ユキが肯く。
「綺麗な池もあって、なかなかいい場所だった。岩だらけだったけど」
「本当に岩だらけでした」
フウも頷いている。
どれだけ岩だらけなんだよ、とツッコミたくなってくるな。
ダンジョンと反対側にあり、人も滅多に通らない。そもそも、道もない。という好条件に、早速確認してみる事にする。
神殿から4日。
スオナーデに行く道から、だいぶ東にずれて、時折覗く山の頂を目印に歩いたところ辺りに、目指す土地があるはずだ。
だが今回、出かけるのは俺じゃない。
行きたいのはヤマヤマだったが、みんな総出で止めるんだもんなぁ。
確かに俺ばっかり、出かけるのはよろしくないかもしれないが。
という事で今回の遠征は、ゲールとスシャルを中心にした、オーガとリザードマンの混成隊だ。
見かけが、だいぶイカつい。
ゲールには、石版に刻んだ魔法陣を渡している。
もちろん、転移陣の子局だ。
イカつい一行は、ノシノシと神殿を出発して行った。
さて、ゲールたちが目的地に着くまで、俺はヒマになったわけだが、実は懸念がもう一つあった。
「神託ってどうやるんだろうな?」
「神託、ですか?」
神殿での俺の定位置。2階広間の馬鹿でかい椅子に座った(ヒイの膝の上に座った)俺の独り言を、ヒイが聞き返した。
「うん。あ、もちろん受ける方じゃなくて、出す方ね」
「クラキ様のお言葉全てが、神託と言えば神託ですが、そういうのではないのですよね?」
フウの言葉に肯く。
「面と向かってじゃなくて、暗黒神の信徒全てに伝えるような神託をしたいんだよなぁ」
「それは。なぜまた、そのような?」
「そりゃあ、俺の望んでもいない悪行を俺の名でやろうとする連中が、多すぎるからだよ」
俺は溜め息混じりに言った。
いや、ホント。勘弁して下さいよ。
「神託で、俺が牲も望んでもいなければ、悪行も望んでいないと伝えれば、ちょっとは違うんじゃないかなと思って」
「なるほど」
納得するヒイとフウに対して、ユキは懐疑的のようだ。
「夢だと思って、無視されるのがオチ」
はい。
私も、そう思わないではないです。
ただ実際に被害が出ている以上、なにもしないでいるのも、ちょっとねぇ。
1人でも改心してくれれば、儲け物と思っている。
ただそれには、神託の方法がわからんとな。
ただ叫んでいたら、ただのアブナイ幼児だ。
小紋章や中紋章を手当たり次第に確認してみたが、それらしき魔法はない。かわりに、使えそうな魔法はそれなりに見つけはしたが。
ちょっとショックだったのは、普通に転移魔法があった事だ。
うん、そうだよね。神様だもんね。転移ぐらい出来るよね。
良いんだい。自分の魔力を使わない事に意義があるんだから。
「大紋章ってことは、ないよな」
あれ出すと、今の魔力だと確実にぶっ倒れるんだよなぁ。
他の紋章も数が多すぎて、全部調べ切れたわけじゃないしな。
「神託は、今後の検討課題にしとくか」
元公務員魂を発揮して、棚上げする事にしよう。
うん。




