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31 光の騎士、暗黒神を救う その4

農家の中の男たちは、そろそろ気合いを入れて警戒し始めようか、と思っていた。


男8人もいて、誘拐脅迫などということをしでかしながら、なんとも悠長な事だ。彼らとしては、準備にそれだけ自信があるという事だろう。


その自信が根拠がある事なのか、どうなのか。今から試されようとしている。


「おい。来たぞ!」


入り口脇の小窓から表を警戒していた男が、声を上げた。


「女が5人だ。そこの小僧の連れが2人。光明騎士もいる」


「随分早いな」


小屋の中央。テーブルに左手を載せて座っている男が呟いた。農夫のパルモと名乗っていた男だ。


「良かったな。迎えが来たみたいだぜ」


パルモは首だけ捻って後ろを見た。


そこには複雑な紋様の上でボールを抱えて座っている男児と、その男児を抱えるように座っている美しい女性がいた。


もちろんクラキとヒイだ。


「まあ、それで帰れるかどうかは分からんがね」


「帰れるよ」


男児が無邪気な声で言う。


「だって、僕が帰れたいんだモン」


男児の言葉に男たちが失笑していると、見張りの男が壁際から下がった。


「来るぞ!」


その声から数秒後。

入り口が勢いよく開けられた。


先頭には抜刀した金髪の女性。

頭上には光輝く小紋章が浮かんでいる。

つまり、いつでも奇跡が使えるという事だ。


「全員、動くな!」


リシュルが良く通る声で言う。


「あんたこそ動くなよ」


先ほどまでと同じ姿勢。

左手を机の上に置いた姿勢のまま、パルモが応えた。


「あいつらの座っている場所。それと俺の左手の置いてある場所を良く見てみな」


言われてリシュルたちがクラキたちの座っている場所の紋様を確認したところで、パルモはにやりと笑った。


「俺の左手の下にある石盤。これから手を離した瞬間。あの魔法陣が発動して、あいつらは死ぬ」


「なんだと!」


フウとユキが景色ばんで一歩前に出ようととする。

妙に平板な怒りに思えるのは、気のせいか。


「おっと。手を離さなくても、俺を殺せば同じ事だぜ」


「要求は、私の命か?」


リシュルが尋ねる。


「最終的にはその通りなんだが、まずはその物騒な紋章を消して、武器を捨ててもらおうか」


クラキの言葉に、リシュルは躊躇いなく小紋章を消して、剣を捨てた。


他の者も剣を捨てる。


リシュルはさりげなく前に出て、他の4人を庇う位置を取る。フウたちは半ば入り口から、押し出されそうだ。


「それで?」


「よし。抵抗するなよ?」


そう言ってパルモは、脇に控える男に目配せした。


男は、捨てられた剣を拾い集めると、その1本をリシュルの太腿に振り下ろした。


だがその切っ先は、リシュルの身体の手前で光輝く壁によって防がれる。


「抵抗するなと言ったろう!この2人がどうなってもいいのか?!」


その言葉にリシュルは肩をすくめる。


「私にはどうしようもない。これは光明神様の加護だからな」


「なんだと?」


「光明神様の加護は、私の意思とは関係なく発動する。私の意思と関係なくな」


「そんな事を信じろと?」


「まあ、信じられないだろうな」


そう言うとリシュルは男たちに背を向けた。


「好きに攻撃して見ろ。たまに、ただ肩を触ってみると良くわかるぞ」


リシュルに促されるまでもなく、男たちは攻撃を繰り出すが、ことごとく光の壁に阻まれる。


試しにリシュルの右肩に、そっと触れる者がいたが、それはちゃんと触れられた。


「まあこんな感じだな」


リシュルは、男たちの方に向き直った。


「光明騎士というのは、光明神から加護を与えられた者を言う。加護については、私本人にも制御不能だ」


「ば、馬鹿なことを言うな」


パルモが呻いた瞬間。


裏口の扉が吹き飛んだ。



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