29 光の騎士、暗黒神を救う その2
令和2年、最初の投稿になります。
本年もご愛読願えれば幸いです。
屋敷を出る際に代官たちと、どこに行くのかだの、護衛を付けるだの一悶着あったが、本気のリシュルの一睨で黙らせる事ができた。
聖光騎士などと言っても、所詮小娘。と侮る者がいたとしても、掌を返して認識を改めるような迫力であった。
実際、侮るところのなかったフウやユキにしても、背中に冷や汗をかく思いをしていた。
街中を急ぐ間に、情報収集に出ていた侍女の一人と合流し、5人の女性と2人の幼女は道を急ぐ。
農夫と出会った場所に近いスオナーデ市街地の東門で、警備兵に確認したところ、クラキたちはこちらから出た事は間違いがないようだった。
「さて。ここからどちらに向かったか」
気合いが入った為か、男言葉になっているリシュルが腕組みをする。
「おそらく南に向かったのでは」
ユキが言い、リシュルは興味深そうな表情で彼女を見た。
「理由は?」
「南以外は、農家も多く目撃され安い。以前見た時は、南側は空き家が多く、農作業に出ている人間もさほど見なかった」
「理屈は通っていますね」
メリアが肯く。
「どうせ虱潰しに当たるしかない。可能性が高い場所から当たってみるか」
そう言うと、リシュルの頭上に直径50センチほどの光の紋章が浮かび上がった。
「これは!」
「小紋章?」
フウとユキが驚く中、しばらく南側を見つめていたリシュルは、一つ大きく頷いた。
頭上の小紋章が消える。
「確かに、この先に悪意を持った集団がいるな」
「悪意?」
フウの疑問に、リシュルはフッと微笑み、口調を普段のものに戻した。
「悪意感知を使ってみたの。街中では、小さな悪意だらけで、使い物にならないんだけど、こういった場所では、ね」
「なるほど。奇跡ですか」
納得したようにフウは肯く。
その態度にリシュルは微かな違和感を抱いたが、それはすぐに消え去る。
「さあ、急ごう。クラキ君たちがどんな目にあっているか、わからないぞ」
何度か悪意感知を使いながら、進んで行くと農家の屋根が、荒れた畑の雑草の影から見えてきた。
ただ、その屋根の上に山羊が繋がれている。
リシュルがジェスチャーで、身を伏せるように指示する。
「多分、あの家に間違いありません。山羊もいたようですし」
道から外れ、荒れた畑に身を潜めてフウが囁く。
あれは、山羊がいる、と単純に表現していいのだろうか。
リシュルは、真剣に悩んだ。
ちなみに、農家への道の途中にも杭に窮屈そうに繋がれた、山羊が一頭見えていた。
一体、どうゆう事なのか。
「我々の接近を山羊に見張らせているのか?」
半信半疑でリシュルは呟く。
「だとすれば、まだ私たちはは見つかってないようですね」
メリアも首を傾げながら言う。
しばらく様子を伺ったが、農家に動きはないようだ。
「まずは敵情偵察といこうか」
リシュルはそう囁き、身を伏せたまま動き出した。




