第15話:次なる放送は、世界の果てから。
数日後。王立学園の卒業式は、かつてないほどに静か、かつ熱狂的に執り行われた。
主役不在のまま退学となった元王子と聖女については、もはや誰も口にしない。代わりに、学園中……そして王都中の人々が、ある一点を仰ぎ見ていた。
学園の西塔、その屋上。
そこには、真新しい放送用のアンテナ(魔力伝搬針)を背に、旅装を整えた私とカイルが立っていた。
「リリアーヌ様! 次回の放送はいつですか!」
「どこへ行っても、俺たちが支えてるぞ、リリアーヌ放送局!」
門の外に集まった数万人の民衆たちが、一斉にこちらに手を振っている。
かつて私を『悪役令嬢』と蔑んだ人々は、今や、私の生み出す情報の波を待つ『世界で最初のリスナー』となっていた。
「……リリアーヌ様。馬車の準備は整っています」
「ありがとう、カイル。でも、ただの馬車で行くのは、配信者として少々工夫が足りなくてよ」
私は、投げ銭によって完全に魔力が飽和した水晶石を、地面に向けた。
瞬間。
西塔の一部を構成していた巨大な魔石が、轟音と共に浮上を開始する。
「学園という、ここ(チャンネル)は、私の『放送局』ですわ。……どこへ行こうとも、私が歩く場所が放送の最前列になりますの」
塔ごと移動する、という規格外の魔法。
どよめく人々を眼下に、私は最後にカメラを自分に向けた。
「皆様。本日の放送は、ここまでですわ。……ですが、これは長い、長い物語の、ほんのプロローグに過ぎませんのよ」
私は、脳内に浮かぶ『システム画面』を見つめた。
そこには、私の物語を冷徹に監視し続ける、謎のゲージが表示されていた。
【現在の世界視聴率:0.1502%】
【警告:あなたのチャンネルの急成長を検知。他の『運営認定配信者』 3名が、あなたの動向を監視対象に入れました】
【運営より一言:『第1シーズン合格。おめでとう、リリアーヌ。だが本当の地獄はここからだ。次なる舞台、宗教都市バビロンで、その聖域を情報の炎で焼き尽くしてみせろ。さもなくば――即刻、アカウントを永久停止(BAN)する。』】
BAN。すなわち、この世界からの完全なる抹消。
私をこの世界に送り出し、ゲームのように弄ぶ『運営』の正体は、まだ分からない。
けれど、受けて立ちますわ。
「皆様、また次の放送でお会いしましょう。……真実よりも面白く、神話よりも残酷な、世界の果ての物語で」
リリアーヌ放送局、始動。
私たちは光り輝く塔と共に、夕日の沈む西の空――教会の総本山がある、未踏の領域へと向けて飛び立った。
第15話、お読みいただきありがとうございました!
第一部「学園断罪ショー編」、これにて堂々の完結ですわ!
悪役令嬢としての死(BAN)を免れ、自らの手で「放送局」を作り上げ、世界へと旅立つリリアーヌ。けれど、彼女を待ち受けるのは「他の認定配信者」という強烈なライバルと、理不尽な「運営」のルール。トップライバーへの道は、ここからが本番ですわよ!
次回から始まる第二部「宗教都市炎上編」でも、皆様を最高に熱狂的な物語でおもてなしすることをお約束いたしますわ!
もし「第一部、面白かった! 第二部も待ってる!」と思ってくださった方は、最後にチャンネル登録や評価(いいね・完結記念スパチャ)で、機材のメンテナンス費用をカンパしてくださいまし。
皆様の熱い支持(視聴率)こそが、第二部という名の「全世界ライブ放送」を支える唯一のエネルギーになりますのよ!
それでは、また次の放送(お話)でお会いしましょう!




