第10話:聖女(モノ)の正体を暴く、魔眼(カメラ)。
「ふ、ふざけないで……! 私は聖女ですわ! 神に選ばれ、人々を癒すために遣わされた……!」
会場に乱入した民衆の冷ややかな視線を浴び、エレンは狂ったように叫び始めた。
マルドゥーク司祭さえも、守りきれないと悟ったのか、彼女から一歩距離を置いている。その絶望の中で、彼女は最後の「奇跡」を見せようと、胸元のペンダントを握りしめた。
「皆様! 私の光を見てください! この光こそが、神の慈悲……!」
彼女から、目に眩しいほどの純白の光が放たれた。
一瞬、民衆たちの怒りが静まり、数人が「ああ、やはり彼女は……」と跪こうとする。
だが、その光が私の網膜に触れるより早く、隣に立つカイルが、私の魔石に小さな「銀のチップ」を埋め込んだ。
「これを。……リセット・フィルターだ。見かけの波長に騙されるな」
「ええ、助かりますわ、カイル」
私が新たな魔力を流し込むと、四方のモニターに映し出されていた映像が――一変した。
通常の視界では「純白の光」に見えていたものが、配信魔法の特殊解析フィルターを通すと、『ドロドロとした濁った赤色の粘液』となって、人々を侵食しているのがありありと映し出されたのだ。
「皆様! 壁を見てくださいまし! これが、聖女様が皆様に与えている『救い』の正体ですわよ!」
壁に映り出した地獄のような光景に、会場中から、そして王都中から悲鳴が上がった。
エレンのペンダントから放たれているのは、光ではない。
人々の脳を麻痺させ、無理やり自分に好意を持たせる『禁忌の魅了波』。しかも、それは周囲の人々の生命力を微量ずつ吸い取ることで発動している、呪いの一種だった。
『……うえっ、なんだこれ! エレンが映ってる映像、赤黒い汚物みたいだぞ!』
『吸われてる……俺たちの魔力が、あいつに吸い取られてる!』
『これが神の慈悲……!? 詐欺だ! 化け物め!』
「ひ……ひいいっ! 違う、これは、リリアーヌの呪いよ! 私の光を穢しているのよ!」
「いいえ。映像は嘘をつきませんわ。……さあ、そのペンダントの中身、皆様にお見せになってもよろしくて?」
私は魔力の手(遠隔操作)を伸ばし、エレンの壊れかけたペンダントを無理やり引き剥がした。
空中を舞うペンダントが、壁の映像でドアップになる。
砕けた宝石の中から這い出てきたのは――宝石を擬態した、小さな『魔界の蟲』だった。
会場は一瞬にして静まり返り、次の瞬間、激しい嫌悪の叫びが沸き起こった。
聖女の奇跡とは、魔物との小規模な契約に過ぎなかったのだ。
「司祭様。これが教会の『厳選した聖女』の正体ですの? ……それとも、教会そのものが魔物と手を組んでいると、理解してもよろしくて?」
私の問いかけに、マルドゥークはもはや答えることさえできなかった。
【通知:視聴者数 1,000,000人突破! 達成報酬『真実の魔眼』がランクアップしました。】
【通知:エレンのフォロワーが 0人になりました。称号『偽聖女』が付与されます。】
「さて……。次は、この魔物を買い与えた『資金の出処』を、皆様と一緒に洗っていきましょうか」
私は王家の紋章が入った重厚な机――その奥に隠された秘密の帳簿へと、視線を向けた。
王子の、本当の終焉が近づいていた。
第10話、お読みいただきありがとうございました!
ついに偽聖女エレンのメッキが剥がれ落ちましたわね。
なろう的な「ざまぁ」の中でも、特殊解析フィルター(カメラ)で「魔界の蟲」を白日の下に晒すという、視覚的にエグい暴露を描いてみましたわ。フォロワー0人、称号「偽聖女」。これほどまでに残酷でスカッとするステータス画面はありませんわね!
次回、第11話「血税の行方、ライブ追及。」。
この魔界の蟲……いわば「癒しの偽装機」を買うための資金。王家が隠し持っていた「裏金」の全貌を、リリアーヌが徹底的に生放送いたしますわよ!
もし「聖女の正体にスッキリした!」と思っていただけたら、最後にチャンネル登録や評価(いいね・応援スパチャ)をお願いいたしますわ。
皆様の応援が、リリアーヌの次の攻撃の手数を増やす、最強の「魔力チャージ(投げ銭)」になりますのよ!




