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エルグランデ  作者: 三南たかお
成長編
9/14

第08話 忘れていたこと

 

 明くる日、俺の魂が揺れ動いているのを感じた。魂が何か別のものに変化しようとしているような、自らを包む殻から抜け出そうとしているような、そんな窮屈な感じがした。

 しばらく魂が蠢いていると、一か所にできた割れ目から全体へと普及し、魂が枷から解き放たれる感覚に包まれた。


 アモンの「魔力探知」「解析鑑定」の精度が上昇し、「混沌龍(パハド・ニスタール)」のスキル効果が一部解析完了、一部行使可能。

 アモンは、スキル「並列思考」「神速思考」「魔法倍化」を開放した。

 スキル解放に伴い、「並列思考」「神速思考」「魔法倍化」「限界突破」を「鬼震豹魔」へと統合された。


「これは…一体?」


 解析鑑定の精度が上昇したと思ったら、女性らしき声が頭に響いてきた。魔力探知と思念伝達を開放した時は聞こえなかったのに、新たなスキルの解放と統合の情報がその声と共に一気に頭の中へと流れ込んだ。


「なんだ!?なんだ!?この声は!!」

「(パハド、お前にも聞こえたのか?)」

「あぁ聞こえたぜはっきりとな、だがこれは…」


 パハドも困惑しているようで、辺りをキョロキョロと見まわしている。だがここは俺とパハドしかいない精神世界、誰かに干渉されているとは考えにくい。

 俺が思考を巡らしていると、パハドの放った言葉に耳を疑った。


「…これは、オーラムの声だ」

「(オーラムって…お前が話してた創生龍オーラムか!?)」

「そうだ。大姉貴のオーラムだ…」

「(オーラムがスキルの獲得を教えてくれるのか?)」

「いいや、オレが生きてた頃は、ただ情報が頭に流れてくるだけだった。こんな声は無かったぜ。オレが封印されて寝ている間に、いったい何が起きたんだ…」


 疑問は残るが、考えても答えは出ない。一応、害はなさそうだし放って置いても問題ないだろう。


「(パハド、今は考えても仕方ない。いずれこの声についても調査をしよう、その時になれば答えは見つかるさ)」

「そ、そうだな」


 今はとにかく、解放されたというスキルの確認と練習だ。新しい力とはいえ、使い方を間違えればまた限界突破の時みたいに大惨事が待っている。まずは、解析鑑定で能力の確認だな。


「(解析鑑定!)」


<統合スキル>

「鬼震豹魔」

 並列思考:同時に複数のことを思考可能。

 神速思考:反射神経が向上。一秒にも満たない速度で思考可能。

 魔法倍化:魔法の威力・効果が倍増する。(2~3倍)

 限界突破:身体の耐久力を一時的に上限解除してステータスを指数関数的に上げる。


<終極スキル>

「混沌龍(パハド・ニスタール)」

 世界喰い(一部解析)

 ステータス偽造:解析系スキルに対して偽のステータスを相手に見せる。

 龍覇気(ドラゴンズオーラ):威嚇、混乱、気絶、命令から一つ選び、相手に効果をかける。

 混沌顕現(現在使用率2%)


 なるほど。この統合した鬼震豹魔は、接近戦闘に使えそうだな。限界突破以外を少し試してみよう。

 スキル発動、鬼震豹魔。

 スキルを発動して間もなく、目の前を落ちる木の葉がスローに見えた。視界に写る景色全てがスローになって、空を飛ぶ小鳥や揺れる木々の動きが手に取るように見える。それだけじゃない、それらすべてに対して解析鑑定をかける思考の余裕ができている。

 それでは、この状態で次の実験だ。俺は両手を左右にある二つの木へと向ける。そして…


「(鉄鋼弾(スティール・バレット)!)」

「(雷撃(サンダーボルト)!)」


 片方の木には、幹に数十センチ四方の大穴が空いた。もう一方の木は、幹が縦に割かれ内側から火花を散らしている。

 成功だ!予想通り、並列思考は異なる魔法の同時詠唱を可能にしたのだ。しかも魔法倍化の効果によって威力が普段よりも増している。これは様々なことに利用できそうだぞ、発射前の鉄鋼弾に雷撃を重ねるように同時詠唱してレールガン!なんてこともできるかも!


 よし、鬼震豹魔を解除して次の実験をしよう。龍覇気(ドラゴンズオーラ)、これはかける対象がいないと使えないのか?とりあえず、目の前に敵がいると思って威嚇を使ってみるか。


「龍覇気(ドラゴンズオーラ)!!」


 一瞬、全身から凄まじい風圧が発生し、周りの小石や枝を吹き飛ばした。すると魔力探知の範囲内にいた森の生物たちが一斉に気配を隠し、近くの鳥達は飛び去って行った。俺の強化された魔力探知は、ラカヴとの境目ぎりぎりにまで拡大している。少なくともその範囲の生物が気配を隠したということは、龍覇気(ドラゴンズオーラ)の効果範囲は魔力探知の精度が上昇するほど伸びるのか。

 これは、スキルの効果対象を絞る訓練をする必要があるな。このままだと、敵味方関係なく覇気(オーラ)に飲み込んでしまう。

 そう自己反省していると、お父さんが家から飛び出してきた。


「大丈夫かアモン!?今、一瞬とんでもない殺気が飛んできたんだが、近くにまた魔人でも現れたか!?」

「だ、大丈夫だよ父さん!そんな殺気は感じなかったよ?き、気のせいじゃないかな、アハハハハ…」

「そ、そうか。森の生物たちも一斉に気配が消えたと思ったんだがな…」

「そうかなぁ~、ほら少しずつ気配が戻ってきてるよ!きっと魔那が乱れたんだよ…」

「あぁ…そうみたいだな。一応、魔物除けの結界だけ貼っておくから、お前は中に入っていなさい」

「あ、あぁ。そうするよ」


 ふぅ、危なかった。

 何が危なかったのかと聞かれればよく分からないが、とにかく危なかった。威嚇したのが俺だとバレて、何か余計な心配させていたかもしれないし、今後そうならないとも限らない。ので、このスキルは二人には秘密にしておこう。ちゃんとステータス偽造で隠しておかないとな。

 とまぁ、新しく解放したスキルの練習も終わったことだし、明日からは、龍覇気(ドラゴンズオーラ)の効果対象の訓練と鬼震豹魔を使いながらの戦闘訓練だな。

 …そういえば、何でこのスキルって解放されたんだ?


「アモンがあのベラスカって魔人を倒したからだな!」

「(どういうことだよ?パハド)」

「アモンはあの魔人と戦って勝利しただろ?それで魂が成長してその最大容量が増えたんだ。そこに奴の魂が吸収されて、今まで蓄積していた魂と合わせてスキルの解放条件が満たされたってわけだ!」

「(おいおい、待て待て待て!俺、魂を吸収した覚えなんてないぞ!)」

「そりゃあそうだろ!自覚して魂を吸収出来たら、それこそ化け物だ。それに昔言っただろう、スキルは天性の才能みたいなものだって、お前はその才能が開花したんだ」


 才能が開花って言われても、俺はそんな才能今まで感じたこと無かったんだが…

 魂を吸収したって話もにわかには信じがたい。そもそも、俺はいつ魂を吸収したんだ?「今まで」って言ってたし、ずっとどこかしらのタイミングで魂を吸収してたってこと?そう考えるとちょっと怖くなってきた…


「何急に青ざめてんだよ?」

「(だって魂を吸収してたって考えると何か怖くって…)」

「大丈夫だ。人や魔人なら戦闘でみんなやってることだ。それこそお前の親父さんだって、あの強さだ。いくつもの魂を吸収していることだろうさ」

「(そ、そういうものなのか…?)」


 俺は、それが当たり前のことだと知って少し安心した。もしからしたら、自分だけが魂を喰らう化け物なのではないかと、心配しすぎてあり得ないことまで考えてしまっていた。


「(それで、その戦闘に勝利して強くなるとスキルが解放されたり新しく手に入ったりする仕組みはどうなってるんだ?)」

「まぁ落ち着いてゆっくり聞いてくれ。まずは、基本的なところからおさらいだな。お前たち人間や亜人、魔人は、魂の情報を蓄積し自身の魂の一部にすることで強くなる。どうしてかは知らんが、そうやってできてるんだよ。

 そして、魂を吸収できるのは命の奪い合い、つまり戦闘で勝利した時だけだ。双方に戦闘の意思があったことが重要で、無抵抗の殺人・虐殺、狩った獲物を食べる食事等では吸収できない。

 戦闘によって魂が成長するとその最大容量が増えて、空きができるんだ。そこに倒した相手の魂が身体から霧散してラキア粒子に変換される前に吸収することができれば、魂の蓄積完了だ。

 魂が一定以上蓄積されると、魂がそれを自身の一部にして強い魂へと生まれ変わる。その過程で進化することもあるな。生まれ変わった魂と一緒に解放条件の満たして秘めていた己のスキルが解放されたり、新しい強力なスキルが手に入ったりするわけだ!

 アモンの場合、今までの狩りの中で知力の高い魔物も何匹かいただろ?ケラトベアとか、ああいう魔物がお前を獲物ではなく敵だと認識していたおかげで魂を吸収できていたんだ。だが、スキルを開放するにはあと一歩足りなかった。そこで運よくあの魔人の登場だ。あいつの魂がお前の魂を生まれ変わらせるラストピースだったわけだ!お分かり?」


 そうかぁ魂の蓄積と進化か…俺もいつか更に上位の種族へ進化できるかのなぁ?そんな憧れる妄想の前に恐怖はすっかり消え失せていた。

 強い敵と戦って勝利すれば、強いスキルも手に入るかもしれないなぁ、ケラトベアの時も雷・電気耐性が手に入ってたし…あれ、そういえばあの時ってまだケラトベアを倒す前だったよな。何でスキルを獲得できたんだ?


「(なぁ、ケラトベアの時は倒す前なのにどうしてスキルが手に入ったんだ?)」

「それはな、獲得したのが耐性スキルだからよ」

「(耐性スキルだと何が違うんだ?)」

「耐性スキルは、少し特殊でな。厳しい鍛練や経験を乗り越えることでしか手に入らないんだ。お前の場合は、身体が竜人(ドラゴノイド)だから耐えて克服できたが普通の人間なら死んでたな。人間だったら、付与魔法でその魔法を弱体化させたり、強化魔法で自分の耐性を上げたりして、長い時間をかけて耐性スキルを身に付けるのが一般的だ」


 へぇーなるほどなぁ。俺はそういう経緯であのスキルを手に入れていたのか。

 パハドにいろいろと教えてもらった後だが、俺には一つ疑問が残っていた。


「(戦闘で勝利して、経験値みたいに魂を吸収するなら互いに殺し合いが始まるんじゃないのか?)」

「それはないな。なぜなら同族同士は魂の形がほとんど同じだからほとんど吸収しないんだ」

「(じゃあ、異種族同士ならスキルを得るための殺し合いが頻発しているってことか?)」

「確かに異種族同士なら魂の形が全然違うから、異なる魂が混ざり合って強くなるしスキルも手に入りやすい。自分とは異なる情報を大量に持っていて、取り込むことで魂に新たな性質が加わるからな。だがな、お前はスキルを得ようとする殺し合いで、魂が成長すると思ってんのか?」

「(確かに…)」

「重要なのは、魂が成長することだ。どれだけ必死に殺し合っても魂に空きができなきゃ意味ないんだよ。それにな、そんな邪悪な理由で魂が成長するほど、大姉貴は命の作り方を間違えちゃあいねぇのさ」


 …パハドの言う通りだ。もしそんな理由で魂が成長したら、とっくの昔に生物は死に絶えてる。神様がそんな欠陥を残して生命を作るはずないよな…俺の心配事は、取り越し苦労だったようだ。


「アモン?何をぼうっとしているの、アモン?」

「えっ?あぁごめん、少し考え事をしてて」

「椅子に座ってからずぅっと動かないんだから、心配させないでね」

「うん、ごめん。ちょっと訓練で疲れちゃったみたい」

「それならいいけど、はい、ご飯よ」


 そうしてテーブルに置かれたのは、いつもとは比べ物にならないほどの豪勢な料理の数々だった。

 普段は滅多なことでは食べられない仔羊の香草焼きと―森で採れる貴重な香草と香辛料、そして更に希少な仔羊を贅沢に使った一品―、金剛茸のチーズ焼き―エル山脈の頂上付近でしか採取できないダイヤ並みに希少な茸を牧場のチーズで焼いた一品―、山果実のコンフィチュール―山果実を短時間で煮詰めて作る保存食―だ。


「森でお父さんが全部採ってきてくれたのよ!」

「ありがとう父さん…でもどうして?」

「何言ってるんだ、今日はお前の誕生日じゃないか」


 そうだった…今日は俺の23歳の誕生日だった。連日、魔人の襲来や新スキルの練習ですっかり誕生日なのを忘れていた。


「あぁ、そうだったね。最近、何かと忙しかったからすっかり忘れてたよ」

「自分の誕生日は覚えておくものだぞ。じゃないと祝ってくれる人に失礼だからな」

「ごめん、父さん…来年は必ず覚えておくよ」


 誕生日を忘れるなんて、今まであったかな。毎年、誕生日は今日のように豪華な食事で祝うのが家族の約束だというのに。こんな自給自足の生活だから誕生日プレゼントなんて物はないが、誰かの誕生日は必ずこうやって祝ってきたんだ。

 まったく、自分で忘れておいて情けなく思える。ずっと自分の誕生日はあれだけ楽しみにしていたはずなのに、異世界に転生して死の恐怖が遠ざかったことで五体満足で生きていられる有難味が薄れてしまっていたようだ…

 思い返せば、前世で病気にかかったのも誕生日だったな…少しずつ前の両親が見舞いに来ることも減って、それから誕生日は誰からも祝われなくなった。死んだのも二十歳の誕生日前夜だった。俺の人生、何も成せないまま終わるのかと思いながら死んだんだったなぁ、それをパハドがこの異世界に連れてきてくれた。


 前世ではできなかった経験をたくさん積んで成長できたんだ。こっちでは、誕生日を23回祝われて、46回祝った。さすがに赤ん坊の頃は言葉にできなかったが、それでも二人は喜んでくれた。

 普通を享受できたこの23年間が、幸せでないはずがないんだ。

 毎日、自分の足で歩いて、自分の手で食事をとる。近くには両親が居て、呼べばいつでも返事が返ってくるし、自分を呼ぶ声が聞こえてくる。自分一人で出来ることだって増えた、もう全部誰かにやってもらう人生じゃないんだ。


 それなのに…両親に祝ってもらえる当(・)た(・)り(・)前(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)誕生日を漫然と迎えてしまった。

 そう考えていると、二人への申し訳なさで胸が苦しくなった。震える鼻息と熱くなるまぶたを抑えることができない。


「必ず…必ず覚えておくから、父さんも…僕の誕生日…忘れないでね…」

「どうしたアモン、泣いたりなんかしてぇ。当たり前じゃないか、お父さんもお母さんも一度だってアモンの誕生日を忘れたことなんてないぞ。だからもう泣かなくていいんだ、なぁ」

「うん…うん…」


 二人が背中をさすって、慰めの言葉をかけてくれる。

 その言葉が俺を慰めるためだと分かっていても胸の苦しみは増すばかりで、ますます涙は溢れる一方だ。


「そうよアモン、あなたが泣くことないのよ。あなたは私達に生きる希望をくれたんだから、生きているだけでお母さんは嬉しいのよぉ。だからね…アモン…」


「「23歳の誕生日、おめでとう」」


 *


 畳が敷かれた大広間の座敷。2本の丸い行燈が薄暗い部屋をぼんやりと照らしている。行燈の光に照らされて、座敷の上段に寛いで座る美女が一人。座布団の上で脇息にもたれて座り、煙管片手に鋭い眼光で虚空を見つめるその女、魔王ヴィクセン・ヴィヴェタ・ヴィーノは考える。

 自分の配下の命が今さっき消滅した。先行させていたその者は、自分の配下の中でも3本の指に入るほどの実力者、三剣魔の一人だった。

 自分の側近の一人が死んだというのに、ヴィクセンの表情はピクリとも動かない。


「ベラスカが死んだか…三剣摩の中で最も防御に優れたあやつが一撃で葬られるとは、レムリアの戦士依然健在というわけか…。あやつは少々戦いに純粋すぎた、敵を侮る奴ではないが、本気の敵を打ち負かそうとする悪癖があったからなぁ」

「ヴィクセン様…」

「…入れ」


 金箔が施された襖からする声に答え、入室の許可を出すと奥から着物を纏った蜂型の魔人がゆっくりと姿を見せた。人の見た目に近く顔立ちは美男子だが、頭からは蜂の触覚が生え背中からは四枚の羽、両手の指先から蜂らしい毒針が鋭く伸びている。部屋へ入ると主へ深々と頭を下げて正座で座る。


「ヴィクセン様、ご報告が。先刻、我らが首領ベラスカ様がお亡くなりになりました」

「あぁ妾も感じ取った。それだけか?」

「いいえ。ヴィクセン様、どうか我ら虫の衆一同、フプラド大陸侵略軍に御加え頂きますようお願い申し上げ奉り候。ベラスカ様の仇討ち、どうかこのヴェスペルめにお任せくださいませ」


 ヴィクセンはしばらく考えた後、煙管をヴェスペルに向けて命を下す。


「…良かろう。ではラカヴにて計画の指揮を執っている三剣魔の一人、ピテオンと合流し指揮下に入れ。だが、斥候させたベラスカがやられた以上、計画は大きく修正する必要がある。ピテオンに計画再開は40年後だと伝えるのじゃ。それと、ベラスカへの鎮魂歌(レクイエム)はお主一人で奏でて見せよ、今回の計画とは別件でな。そして見事仇を打ち倒し、魔王種へと進化した暁には新たな三剣魔としてそなたを迎えようぞ」

「ははっ!!!」


 部屋からヴェスペルが退出するのを確認すると、ヴィクセンはため息をこぼす。

 はぁ~、練りに練った計画がこれで振り出しではないか。500年前の敗戦をきっかけにラカヴからの侵略を考えたのは良いが、当時の減った戦力と弱った妾では、ラカヴへ立ち入ること叶わなかった。だからこうして配下を募り、力を蓄えて動き出したのに、この有様じゃ。だが焦るな…焦れば元の木阿弥じゃ、あぁでも魔化鋼も技術も待ち遠しい!!!

 くぅ腹立たしい、口惜しい、忌々しい!!!


「あぁ愛しの魔化鋼…そなたと妾の魔力、そしてレムリアの先進技術が一つとなれば、他の魔王どもを押しのけて世界の支配者となれるものを。待っておれ、憎きベラスカを打ち倒せし者よ。レムリアをこの手にしたならば、そなたの素っ首叩き切って壺に飾って生けてくれるわ!」


 ヴィクセンは、打掛の隙間から荒ぶる9本の白銀色の尻尾を漆黒へと変色させ、まだ見ぬアモンへの怒りを露にするのだった。



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