第二十二章:興行の惨劇(カタストロフ)
崩壊する王国。終わらない反乱。
サイラスは自らの内にある毒で道を切り拓き、旧き「見世物」たちの最期を見届けた。
「エスペランサ通り(希望通り)」を叫ぶ彼の魂は、絶望の炎に焼かれ、より黒く、より鋭く研ぎ澄まされていく。
恐怖が竪穴を支配した。この巨大な迷宮構造は、落下した者たちを強欲に飲み込み、苦痛を与える巣窟として君臨してきたが、今や自らの死の間際の激痛にのたうち回っていた。
長年、人々に娯楽を提供してきたこの象徴的な場所がなぜ崩壊しているのか、誰も理解できなかった。トゥルガルの生きた部位は、固有の激痛に悶えていた。
数時間に及ぶ電気ショックの後、世界中に隠されていた電源が爆発的な暴力を持って炎上した。それは長い時を経て初めて竪穴の底を照らし出し、踊る影と破壊のスペクタクルを映し出した。
底なしの闇の中で、発生した事態を嘲笑うかのような笑い声の合唱が響く。
「……カレウチェ(幽霊船)に連れて行かれちまえ。帆も底もねえコルベット艦め……。全部あんたのせいだぞ、調教師!」
サイラスは辛うじてそう言い放った。体の中は焼け焦げたようで、姿勢を立て直そうとするたびに激しい痙攣が走る。顔の「笑う仮面」は、無表情なまま彼の肌に張り付いていた。
「……不幸なガキめ。どんな汚い魔法を使いおった!? 私の偉大なるイメージが、ミミズごときに汚されてたまるか!」
調教師がやり返した。エレガントなその姿は、仮面を掴もうとした瞬間の姿勢を保っていたが、サーカス衣装は今や血と胆汁で汚れていた。
「……俺がジプシーに見えるか!? 魔法なんて使うもんか! そんなもん使ってりゃ、何年も前に他のクズ共と一緒に火あぶりにされてらあ!」
その告発に対し、サイラスは抗議した。魔法使いという疑いは、この世界では火刑を意味するからだ。
「……ならば『本』か!? 何かの本を使ったのか!」
怪人は、若者が自分に傷を負わせたという不条理な事実に耐えかね、幾重にも重なる獣のような咆哮を上げた。
「……本を読んだり、字を覚えたりする暇があると思ってんのか!?」
サイラスには、怪人がなぜこれほど理由を欲しがるのか理解できなかった。彼はただ、自分の成すべきことを続けたいだけだった。
調教師は動揺し、何百ものエコーを伴う独り言を漏らしながら、運命の悪趣味な冗談を疑うように右往左往していた。
サイラスは部屋を抜け出し、竪穴の端へ向かった。階の縁からは、エネルギー源の爆発によって侵食された構造体が遥か遠くに見えた。空気は突如として渦を巻き、混沌を喜ぶような忍び笑いを伴って灰を舞い上げた。
しかし、その狂乱のダンスは上層からも沸き起こっていた。生と死の歌が不気味なデュエットを奏で、竪穴の各階を照らし出す芸術的な暴発。それは「見世物たちの反乱」だった。
「……反乱だと。この無節操なカサガイ共が、反吐が出るような真似しやがって! 主催者はどこへ行ったんだ!」
サイラスは怒りに震えた。祖父が築き上げたものを守るため、一刻も早く上へ戻らなければならない。
困惑したまま通路の中央に立ち尽くす調教師を置き去りにし、彼は突き進んだ。
サイラスは可能な限り速く駆け上がったが、そこで目にしたのは惨状だった。空気は濁り、腐敗と忘却の臭いは、戦う肉体から漂う金属的な血の匂いに飲み込まれていた。
「……下衆なクズ共め! ここはお前らのサーカスじゃない!」
サイラスは、肉片を纏った最初の衛兵たちを見て叫んだ。
若者は迷わず躍り出た。戦わねばならないことは分かっていた。周囲では、侵略者たちと「見世物」と呼ばれる化け物たちが、松明の光の中で血みどろの争いを繰り広げていた。
「……殺せ! 全員殺せ! 自由な太陽と空のために!」
ボロを纏った者たちが狂乱状態で叫び、深淵の化け物たちに突撃する。
サーカスは燃え、何らかの理由のために戦う者たちの残骸が撒き散らされていた。
「……沈めてやる、不届き者め! 俺は毒だぞ!」
若者は叫びながら、ボロを纏う者たちを殴りつけた。衛兵たちは超自然的な敏捷さで回避したが、彼らは若者の体を覆う液体に気づいていなかった。その液体は、拳が触れる場所を次々と焼き溶かしていった。周囲には凄まじい苦悶の合唱が響き渡る。視線がサイラスに集中した。侵略者たちには恐怖と怒りが、一方で「見世物」たちは満足げな笑みを浮かべた。彼らは、戦う気力すら失った「ミミズ」たちを利用すべきだと理解していた。
「……捕まえたぞ」
ミミズたちの檻の脇から、おぞましい声が響いた。巨人が圧倒的な怪力で鉄格子をこじ開けるのを見て、ミミズたちは恐怖に震えながら身を縮めた。
「……や、やめ……」
一人が声を絞り出した瞬間、巨人は彼を掴み上げ、ボロを纏う者たちに向かって叩きつけた。辺りは一瞬で血の海と化した。
「……怪物め! 野蛮な!」
ミミズたちは多頭の獣が振るう暴力に、恐怖の声を上げた。
「……黙れ! あのガキと同じことをするんだ!」
巨人は無慈悲に命じた。その体からは汚れを焼き払う液体が滴り始めていた。
「……お前らもだ! そいつらの奇妙な皮を焼き尽くせ! 殲滅するんだ!」
声は天井から響いた。上空から巨大な生き物が飛び降り、地面を揺らした。骨でできた八本の脚、昆虫のように節のある肉と骨の体。それは周囲のすべてを叩き潰した。しかし、蟻のように群がる黒服の衛兵たちが、その巨大な蜘蛛を制圧しようと試みる。
「……さっさと動かねえと……!」
だが運悪く、黒服の衛兵たちは巨大な蜘蛛の首をへし折ることに成功し、巨体は糸の切れた人形のように転がった。
「……何を待っている!? 行け!」
スカベンジャー(屍肉喰らい)が咆哮し、ミミズを衛兵の群れに投げ込んだ。
他のミミズたちも、生き残るために命じられるまま走り出した。地上は血みどろの戦場だったが、「見世物」たちは理解していた。ミミズたちが、あの無敵に見える衛兵たちの「皮」を腐食させるまで耐え忍ぶしかないことを。奴らが無防備になれば、復讐を存分に楽しめる。
「……ソロモンの財産に触れて生きて帰れると思うなよ! くたばりやがれ、ノラ犬共!」
サイラスは必死に疾走したが、押し倒された。しかし、彼を襲った者たちは、自らの肉体が溶け、焼けつく感覚に悲鳴を上げて離れていった。
「……邪魔だ! 誰一人容赦はしねえ!」
若者は混沌の中を突き進み、打撃を浴び、自らも打撃を受けながら、後に続く無数の絶叫を「見世物」たちが沈めていくのを背に受けた。
「……どけ、どけ! こんなところで構ってる暇はねえ!」
サイラスは侵略者の人混みに阻まれ、怒りと絶え間ない打撃の中で、無差別に拳を振るった。頭の中で自分の笑い声がエコーするのを感じ、彼は安堵した。だが、彼は気づいていなかった。顔の仮面が変質し、まるで仮面をつけていないかのような、異様な一体感を帯びていることに。
「……あの忌々しい奴を焼け! 焼き尽くせ!」
遠くから狂ったような合唱が聞こえた。それは、ある「重金属の塊」を駆り立てる声だった。
肉と金属の合体したその獣は、鈍重ながらも正確に目標へ向かって進んできた。その四肢には火炎放射器のようなホースが備え付けられていた。
予告もなく、その獣は味方も敵も区別せず、すべてを炎で包み込んだ。悲鳴を上げる暇もなく、肉の焼ける音だけが響く。
「……最後の一人まで焼き払え! 徹底的な清掃だ!」
ボロを纏う者たちの熱狂的な叫びが響く。彼らは、自分たちの仲間さえも炭化した彫像に変えられていることを無視していた。
若者はここにはいられないと悟った。だが、この卑劣な行為の張本人を見つけるには、こいつを越えていくしかない。
その時、サイラスの目に竪穴の鉄格子が映った。危険な賭けだが、この状況を脱する唯一のチャンスだ。
「……臆病者め! 捕まえろ! 逃がすな!」
ボロを纏う者たちが叫ぶが、彼らは自分たちが挟み撃ちになっていることに気づいていなかった。
反対方向へ走るサイラスを炎が追い、多くの侵略者を焼き尽くした。到達寸前、サイラスは体を細く変形させ、鉄格子の間を通り抜けて岩肌にぶら下がった。必死に次の足場を探したが、手が滑り、さらに侵食された岩へと飛び移った。
「……くそっ、また落ちるのか!」
指が滑り、岩を引っ掻くだけで掴みきれず、壁に激突した。その衝撃で生じた亀裂を、サイラスは必死に足場として利用した。その上では、炎があらゆる方向へ噴き出していた。
怪物は突進を繰り返し、壁を傷つけ、ついにその階の壁が最後の手向けを告げるかのように崩壊した。怪物は壁を突き破り、その淡い光と共に暗黒の底へと消えていった。
「……バカなインコめ……。所詮は淡水育ちだ……ここがどこか分かってねえ!」
サイラスは溜息をつき、笑い声を感じた。だが、それは彼自身から出たものではなかった。それは悲劇に彩られた絶え間ない笑いを放つ「仮面」から生まれていた。
若者はそれを気に留めず、ただこの空間から抜け出し、張本人と対峙することだけを考えていた。
サイラスは縁まで這い上がり、疲労に耐えながら再び動き出した。
「……君か……。若いの」
聞き覚えのある声がした。それは疲れ果て、苦痛に蝕まれた声だった。
「……初めて君を見た時、数時間で死ぬだろうと思ったよ。衛兵は誰からも好かれないからね……。だが、運命は私に意地悪な冗談を仕掛けたようだ」
それは「蝶」の成れの果てだった。時間は残酷で、敵はさらに容赦なかった。彼はボロボロになり、巨大な羽は引き裂かれ、壁に張り付いていた。
「……俺に、何かできることはあるか?」
サイラスは、蝶の残骸に憐れみを覚えた。
「……無理だろう。私はただ、休みたいだけだ……。私のショーは、もう終わったよ」
蝶は、先ほど怪物が落ちていった縁へと近づいた。
「……私のショーの輝きは、誰にも奪わせない。これを作った奴らに……トゥルガルに、マエストロに、全員に教訓を与えてやってくれ……」
男は振り向いた。その黄色い瞳で、最後にもう一度サイラス(あるいは今やサイラスであったもの)を見つめ、前へと踏み出した。そして、竪穴の闇の中へと消えていった。
「蝶」の投身自殺。それは、かつてのサーカスの終焉を告げる象徴的なシーンとなりました。
自らの汗でラテックスを溶かす能力を得たサイラスは、もはや竪穴の法則に縛られない存在になりつつあります。
しかし、彼がつけている「笑う仮面」が放つ笑い声は、彼の意志なのか、それとも仮面に宿る何かなのか……。
次なる標的は、この惨劇の元凶。ソロモンの名のもとに、サイラスの復讐劇が加速します。




