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犬飼さんは目立ちます!!  作者: 猫踏み三年
第六章 犬飼さんはエリアを開拓します

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第5話 農業開始

 ウルの牧場に、新しいメンバーが出来た。生クリームを搾れるクリーム牛、そして牛乳を搾れる乳牛が合計で六体いるのだ。


 そのため一つ問題点が現れる。牛たちの食事である。そろそろ採取などで得てくるものでは足りなくなる、そのため今度は農業に手を出すことにしたのだ。


 そして農業で野菜を作ることで子供達に渡せる野菜も増え、ウルも料理に使えるものが増える。利点があるのだ。


 そして、ジー様という新しくテイムした亀のモンスター、戦いは苦手であるが、庭師のスキルや植物や育成においてはウルのメンバーで一番だろう。


 お年寄りであり、ネイアとも仲良くしており、庭を二人であれしようこれしようと会話をしているのをウルは知っている。欲しいものがあれば取ってくると伝えているため、まだ考え中なのだろう。


 そして、ジー様によれば農業の話をした時に、子供たちと一緒に面倒を見ると言われたのだ。農業も突き詰めればかなり植物の面倒を見ないといけないのだが、ある程度サボっていても、農作物は取れるのだ。


 そうでもないと、農家のプレイヤーは毎日ログインしていないもいけなくなるのだ。最も農家プレイヤーは分担して面倒を見ていたり、住民を雇ってまめに面倒を見る人がほとんどであるが、それをウルは知らない。


 現状、ウルの土地はまだまだ使えていない場所がほとんどである。領主が気前よく渡してくれた土地の権利書の全てを牧場にしたら現実の中規模の牧場になってしまうのだ。


 神社もこの先大きくするつもりではあるので、ある程度余裕を持って農場を決めていく。


 まずはたらふく食べても大丈夫なよう、牧草と小麦を育てることにしたようだ。


 小麦は東の農家たちも作っており、牧草は南で育っている。自分の農地でも育てることは出来そうだと考え、ウルは牧草と小麦を持ってジー様に聞きに行ったところ、ジー様とネイアに太鼓判を押された。


「毎日わしが水魔法で水を与える。それでよかろう。」

「まあこの子が無理ならあなたが雨乞いの舞でもして雨を降らせればいいじゃない。」

「その舞は知らないのですが。」

「あら。なら今度教えるわ、雨乞いの舞と日照りの舞は農家に必須じゃない。」

「そうですけど。他の農家の人が困りません?」

「そんなの聞いてばかりでも仕方ないじゃない。一回雨乞い無料でするって言っておやりなさい。それにあなたの力でできるのは自分のエリアだけよ。この町に雨を降らせることはできないわ。」

「そうなんですか…それにそんな舞もあるんですね」

「それはそうよ、巫女には神降ろしと雨乞いや日照りを起こすことでお金をもらっているのよ?」

「そうなんですか。」

「ええ。まあそう難しい舞ではないから。そして農場を作るならほら、あれを作りましょうよ。」

「わしもあれは大好きじゃ。」

「え?もしかしてあれですか?」


 そういうと、ウルはアイテムバッグからあるものを取り出す。


「神聖は申し分ない、私が要るしジーさん?まあ亀の管理人が要ることだし。あなたももうそろそろ欲しいと思ったんじゃないの?」

「そうですけど。でもできるんですかね。」

「ええ。あなたには神器があるじゃないの。それで一発よ。後は舞と聖水、神聖さは私が居るからなんとかなるわね。できることならあの聖獣見習いのクマを進化させれば完ぺきね。」

「わ、わかりました。それでは頑張ります。」

「ええ。私の大好物だし、みんなも大好きでしょ?」


「シヴァ様の果物の果樹園を作りましょ。」


 事の発端は、シヴァから貰っていた果実であった。神聖なエネルギーを豊富に含んだ食べ物であり、ネイアやワン太たちの大好物であった。

 かなりの量をお土産として貰っていたが、それでもたびたび与えているため、在庫に底がつきそうだった。


 食べた果物の種は残っていたため、どうしようかとネイアに相談したら二つの案を言われた。一つ目はシヴァの元へ行きもう一度貰うこと、

 ウルは断固反対した。あの時はウルの選択肢がシヴァの琴線にハマり、面白がってくれた時の御茶請けとして貰ったのだ。もしもう一度欲しいと言いに行ったとしたら簡単に倒されるだろうと想像していた。


 ではとネイアは次の案を言ってきた。簡単に言うと果実を育てることであった。ウルの称号にはネイアに聖樹に聖獣などの加護、そしてなによりアルテミスの寵愛があるのだ。通常では育てられないものも育てやすいのだ。


 そして神社が作り出す聖の結界はウルのエリア全体に効果を及ぼす。聖獣や神獣、神の加護以上で効果は増していく。ウルの神社は建物自体は質素なほうではあるが、聖エネルギーに関してはかなりのものではあるみたいだった。


 そこでしっかり管理できる農家が居るなら果樹園を作ろうとネイアと二人で約束して準備だけ進めていたのだ。


 神社の裏にある広すぎる場所はウルがちょくちょく作っていた土でいっぱいになっており、鑑定結果にも栄養満点の土と書いてあった。


「ジー様?それで種を撒けばいいんですか?」

「いや、まずはプランターに種をまき、小さな苗を作る。よいしょ。」


 ジー様が何かを念じていると、地面から木の枝がニョキニョキ生えていき、それがだんだんまとまっていくとプランターのような形に変わっていくのだ。


 しばし呆然としていたウルであったが、我を取り戻すと、ふかふかのつちを入れていき、種をゆっくりと乗せていく。



「後は聖樹の近くで育ててワシが良いといったら果樹園に植えるのじゃ。」

「わ、わかりました。」


 農場に果樹園、ウルのエリアはさらに豊かになっていく事にウルは驚きながらも楽しみに顔を緩めるのだった。


 ウルは喜んでいたが、思い出したかのように。

「あ。牧草はどうしよう。」

「それはジャックに渡しておきなさい。ワシとあの子たちでやっておく。農地はできておるのか?」

「え?まずは私たちでやりましょう。」

「それならさっさとやりに行く!私も手伝ってあげるから行くわよ!」

「は、はい。」


 ネイアに首を掴まれ、ジー様は植物の根で器用にネイアの身体にしがみついたまま、農場の方へ走っていくのだった。


「なにしてるのー?行っていい?」

「ダメだ!ウルさんが何かやってるんだ。後で聞きに行こう。世話の途中だろ?」

「うん!お世話する!」


 牧場の近くでたびたび爆発の音が聞こえて、子供たちは気になっていたが、土にまみれ、疲れているウルを見つけると、子供達は、とれたての牛乳をあげるのだった。




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