第18話 ダマルの力
ダン!ダン!
太鼓の音に乗り、シヴァから教えて貰った踊りを踊りながら先へ進むウルと、その後をついていく一行であった。
「ワン太。ウルちゃんの踊りってなんだかいいわね。」
「ワン!」
「当たり前だろって顔をしているわね。でもずっと一生懸命にやっている子は少ないのよね。だからずっと気になってしまうのかもね。」
「ワン?」
「ウルちゃんしか知らないからわからないわね。ワン太はいい人にテイムされたわね。」
「チュン!」「チラ!」「モー!」「くあ!」
「ええ。みんなも幸せね。」
ウルはひたすら大きい音をかき鳴らしながら踊っている上、近くにいるとジャンヌたちにもダメージが入るため、会話には入れずに何を話しているか、わからない。最も、一生懸命踊っているため、どちらにしてもウルは会話を聞くことはできないだろう。
破壊の踊りは絶大な効果があり、ウルはもう50体近くのモンスターを倒している。HPが低く、羽が壊れると落下して死ぬ虫系モンスターに破壊の踊りは理にかなっていた。
HPを減らし続け、すべての部位にダメージを与え、破壊する効果があるが、普通のモンスターの場合、HPを全損させる前に攻撃されてしまうのだが、虫モンスターは攻撃する前に倒れてしまう。
一通り倒した後、ウルは踊るのをやめた。
「はあ。はあ。一応倒せますね。」
「ええ。まるで殺虫剤みたいにどんどん倒していたわね。」
「ええ。殺虫剤ですか??」
「あまりにもぽんぽん虫が倒れるから、ついね。」
「シヴァ様に怒られちゃう…もっといい使い方しないと。」
「いいんじゃない? シヴァからしたら虫も普通のモンスターも倒すことに大差ないだろうし。」
「確かにそうですね。シヴァ様がダマルをかき鳴らしたらすべてのモンスターはひとたまりもないですよね。」
「ええ。プレイヤーも一撃でしょうね。」
「そこまで…そうですよね。」
「でもマジックシルクワームは居ないですね。どこにいるんですか?」
「えっと、ここらへんに居ると思うけど? アイテムバックに入っていない?」
「えっと…あれ?マジックシルクの糸がありますけど。いつの間に。」
「そうそう。マジックツリーっていう木が生えているんだけど、そこの葉についている蚕がマジックシルクワーム。」
「マジックツリーというのは?」
「その名の通り、魔力が宿っている木ね。魔法の杖に最適ではあるけど。弓には適さないわ。」
「そうなんですね。神楽鈴の持ち手にいいかもしれないですね。」
「それこそ聖樹だったりのほうがいいんじゃない?」
「木の枝くれますかね? お話しできるので気が引けます。」
「まあ、龍の鱗みたいに案外さらっと取れるものだったりするかもね。聞いてみてみるのもいいわね。」
「はい。」
「だいぶ集まっているだろうから、帰る?」
「いえ。薬草などもあるみたいなので、色々採取してから帰ります。」
「調薬をやっているんだっけ? それならここはいいところかもしれないわね。」
ウルは採取をすることにした。今まではオブロン北の林に生えている薬草などを使っているポーションしか作っていなかったが、大森林では低級ポーションを作れる上薬草、上魔草がたくさん生えているのだ。
ジャンヌはずっと採取しているウルに質問を投げかける。
「ウルちゃんは低級ポーションは作ったことがないの?」
「えっと…アミンさんに素材を貰って二度作ったことありますけど。いつもはポーションのみですね。」
「作れないっていう人もいるけど。ウルちゃんは結構上手いのかもしれないわね。」
「いえ…。作れるようになるまで作り続けたので、失敗回数を含めたらとんでもない数作っています。」
「そうなの? ここに来ないと取れないからアミンはよく取れたわね。」
「伝手があるっていっていました。私はあんまり知らずに使っていましたけど。今度お礼をしないと。」
「そうね。美味しい料理とかいいんじゃないかしら?」
「そ、それでいいんですかね。毎回ごはん欲しいって言われて作っていますけど。」
「ええ。マリーさんから聞いているわ。子供たちがウルちゃんのご飯を毎回ねだって困っているって。」
「そうなんですよね。嬉しいんですけど、そんな大したものを作っているわけではないので。」
「料理人の腕の見せ所じゃない? 序盤の食材で子供たちを喜ばせるって凄いことだと思うわ。」
「そうなんですかね?」
「そうよ。私は料理得意じゃないから凄いと思うわ。」
「あ、ありがとうございます。」
「今度私にも食べさせてほしいわ。何か料理用の素材を買ってくるから。」
「ええ。いいですよ。ジャンヌさんには毎回お世話になっているので。作りますから。」
「いいの? 楽しみにしているわね。」
「はい!」
料理を作る約束をしたウルは、時間いっぱい薬草などの素材をアイテムバック一杯になるまで取るのだった。




