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犬飼さんは目立ちます!!  作者: 猫踏み三年
第五章 犬飼さんは友達を作ります

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第17話 シンシア大森林浅層

「いいんですか? 昨日は行かないと言っていましたけど。」

「ウルちゃんと久々に冒険したくなってね。伏姫とか、新しい友達ばかり遊んで寂しいわ。」

「ええと…。」

「嘘嘘。ちょっとウルちゃんが今どれだけ強くなったか見たくなったのよね。」

「そうですか。私っていうよりはワン太達が強くなりましたよ?」

「そうね。第二進化もしているみたいだし。テイマーとしても活躍しやすくなったんじゃない?」


 ウルたちは、話しながら北の森へ向かっている。リンネルから北は、かなりの広さの草原が広がっており、そこを抜けないと大森林へは行けないのだ。

 モンスターも場所によってはノンアクティブで攻撃をしない限りこちらを敵視しないモンスターばかりであり、雑談をする余裕があるのだ。


「モンスターと戦わない道もあるんですね。」

「そうよ。昨日言った情報屋から聞いたのよね。こういう情報も知っているから使うプレイヤーも多いのよ。」

「確かに、役立つ知識ですから、他のところも知りたくなります。」

「でしょ? 前に住民から情報を教えろって来たらしいわ。」

「え? 確かに住民も知らない情報持っているかもですね。」

「ええ。住民とプレイヤーで違いがあるのかって検証したいから率先して住民には情報をあげるようにしているみたいね。」

「そうなんですね。」

「ええ。そろそろ着くわ。大森林の浅層はダンケル周りと同じレベルの強さだから絶対勝てるわ。」

「そうみたいですね。」

「でも一つだけ、中層へは行かないこと、私たちがわかるように境界はできていないけど。モンスターは第四の町へ行くエリアより強いから連戦になったら負けるわ。」

「そうなんですね…。とりあえず奥へは行かないようにします。」

「それがいいわ。まずは行ってみましょう。」


 ウルたちは森の前に来た。途方もない大きさの木が生い茂っており、大森林というのを見ただけで感じさせた。ウルが見た森より数十倍は大きいだろうと肌で感じていた。


「ワン太。帰り道覚えておける??」

「ワン!」「ちゅん。」「くあ!」


 ウルの発言に三体が大丈夫と答えてくれたため、帰り道に困ることはなさそうでウルは心が落ち着いた。


 森の中はずっと木が続いており、何の音もない静寂だった。


「この森ってマジックシルクワーム以外にどのモンスターがいるんですか?」

「ええ。籠りキノコとか? 後は軍隊蛾とかとにかく気持ち悪いモンスターが多いわね。」

「う。うう。」

「まあ、すぐ帰れるからとりあえず戦うだけ戦いましょ?」

「モー!」「ちら~…」


 仲間から行くぞと言われたウルは、気持ち悪さを抑えて先へ進む。


 少し歩くとモンスターが出てきた。



「え? む。無理かもしれないです。」

「まあそうだけど、気持ち悪いだけで強くないわ。ほら!」


 ウルの目の前に現れたのは10体以上の蛾だった。手のひらより大きい蛾が列を為してこちらへ飛んでくる。

 ジャンヌが手に持ったいしころを散弾のように投げると、半分以上の蛾にぶつかった。そのダメージでHPが8割削れ、地面に落ちて落下ダメージで倒してしまうほど弱かった。


「ほ、本当に弱いんですね。」

「そうなの。嫌がらせみたいな見た目にしているだけで、虫が苦手ではないプレイヤーにはいい的なのよね。」

「ジャンヌさんは平気なんですね。」

「まあ田舎に住んでいたらこういう虫なんて何回も会うからね。」


「でも苦手だからってこの先行かないとですよね…シルクが取れていないですし。」

「他の人が取れるから、そこまで気にしなくてもいいわよ?」

「うーん…どうしよう…」


 ウルは何かこの現状をどうにかできる方法を考えていた。虫のHPが低いため、攻撃を当てるだけで勝手に倒れてくれるのだ。ジャンヌは石を使っていたが、ウルにその戦いはできない。弓のアーツ不知火でも半数も削れないだろう。闇魔法もあまり使っていないから範囲攻撃などないのだ。


 その中で、一つだけ思いついた策があった。


「ジャンヌさん。一つ方法がありました。やってみていいですか?」

「そういうのはどんどんやりましょう。間違っていても私やワン太たちがどうにかするわよ。ね?」

「ワン!」

「ありがとうございます。」



 ジャンヌから了解を得たので、早速アイテムバックにしまっていたものを取り出す。


 ウルが取り出したのは、あのイベントでシヴァから貰ったダマルであった。太鼓のように念じたら音が出る上、そのダマルの音で踊れる舞があるのだ。


 一つはすべてのものを治し、成長を促す 【成長・再生の踊り】

 そして、自分以外のすべてのものにダメージを与え続ける【破壊の踊り】


「それは?」

「ダマルといって。昨日話したシヴァ様から貰った神器なんです。」

「神器って。凄いものを持っているわね。」

「そうなんです。この太鼓を使って虫を全滅させます。」






 乱暴なウルの作戦が、今始まるのだった。


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