#06光る子供たち
首の後ろに現れる、小さな赤い光。
この世界では、それは「種」と呼ばれていた。
一定の年齢になると目覚めるもの。
そして多くの人は、発芽する前に取り除くことを選ぶ。
「あなたが、あなたでいるために。」
そう教えられてきた少女リビアは、
十五歳の誕生日を迎えた頃、自分の首の後ろに小さな光を見つける。
それは恐ろしいものなのか。
それとも、失ってはいけないものなのか。
一人の少女が、自分自身と世界の価値観に向き合う物語。
第六章
あの夜から。
私は、何度もインターネットで調べていた。
紅い月が来る前に発芽した人。
予定とは違う時に光り始めた人。
私と同じような人が、どこかにいるのではないかと思った。
何度も検索した。
言葉を変えて。
何度も。
でも。
見つからなかった。
まるで、そんな人は存在しないと言われているみたいだった。
私だけが世界から切り離された様な、そんな気がしていた。
でも、別の言葉で検索した時にたくさんの他の情報が出てきた。
「弱い光を宿したまま生きる人」
そこには、知らなかった世界が広がっていた。
私は、一つずつネットの記事を読んで拾っていった。
「光があるだけで、周りの目が変わった。」
「何もしていないのに、怖がられるようになった。」
「昨日まで友達だった人が、少しずつ離れていった。」
そんな言葉が並んでいた。
私は画面を見つめ、胸の奥が苦しくなった。
だって…。
その人たちは、何もしていない。
誰かを傷つけたわけでもない。
悪いことをしたわけでもない。
ただ、私と同じように首の後ろに光があるだけだった。
(どうして?)
どうして、そんなに恐れられるのだろう。
私は考えた。
(光る種を、持っているから?)
でも…その人たちは、何も変わっていない。
笑うことも。
悲しむことも。
誰かを大切に思うことも。
全部、普通の人と同じだった。
私は、首の後ろに触れた。
小さな赤い光。
これが知られたら。
私も同じように見られるのだろうか。
仲良しのミカエルも。
クラスのみんなも。
(今までと同じように接してくれるのだろうか?)
(それとも…私を見る目が変わってしまうのだろうか?)
画面には、たくさんの言葉があった。
種を持つ人たちを守るための制度。
危険を防ぐための決まり。
発芽する前に、取り除くことをすすめる社会。
それは、誰かを守るために作られたものだった。
それはきっと…誰かを傷つけるためではなかった。
でも、私は思った。
(本当に守っているものは何なのだろう?)
不安をなくすため?
危険をなくすため?
未来を予測できるようにするため?
そのために、何か大切なものを見失ってはいないだろうか….。
父の言葉を思い出した。
「取ってしまえば、大丈夫だ。」
父は、そう信じていた。
私のことを心配していた。
母も、私を守ろうとしていた。
二人は間違いなく、私のことを大切に思ってくれている。
だからこそ、余計に分からなかった。
もし、大切な人を守るために。
(大事な何かを、失う選択をするなら?)
それは本当に正しいことなのだろうか....。
ふと、あの老婆の姿を、思い出した。
一度、取り出した種を、もう一度、取り戻した人。
あの時の、とても哀しそうな表情。
あの人は、一体何を失ったのだろう。
そして、彼女は、何を取り戻したのだろう。
私は、大量に散らかって漁っていたネットの画面を閉じた。
暗くなった画面に、自分の顔が映る。
赤い光が、小さく揺れていた。
その時、ふと思った。
本当の怪物は。
人間の中にいるのかもしれない。
そう思った。
でも…すぐにそれは、『違う』と思った。
(いや、違う。)
(そんな単純なことじゃない。)
人間は…怖いものから、自分を守ろうとしている。
危険をなくしたい。
不安をなくしたい。
大切なものを失いたくない。
その気持ちは、きっと誰にでもある。
だけど、その結果。
大切なものまで切り捨ててしまうことが、あるのかもしれない。
種を取り除くこと。
それは、恐怖をなくすための選択。
未来を守るための選択。
(でも…。もし、その中に、自分でも気づかないまま失っているものが、あるのだとしたら?)
私は、もう一度首の後ろの光を見る。
小さな赤い星。
(怖い。)
自分の中に怪物がいるみたいな気がした。
最早、自分自身が怪物なんじゃないかとも思った。
(さっき見たネットの記事の影響なのかもしれない…。)
そう自分に言い聞かせて、冷静さを取り戻した。
でも、それだけではなかった。
これは、私が今まで生きてきた時間と、これから選ぶ未来につながっているものなのかもしれない。
....と半ば確信に満ちた答えが、赤い光とは別の光が、自分の心の中に宿っていた。
夜の部屋。
静かな暗闇の中で。
私は、初めて思った。
種が、怪物なのではない。
そして、人間だけが怪物なのでもない。
怖いものを消そうとする気持ちが自体が、時として、大切なものまで消してしまうことがあるのかもしれない。
その答えを、私はまだ知らなかった。
ただ…赤い光だけが、そこに何かを伝えるかのように、やさしく柔らかな光を持って、ゆっくりとろうそくの様に静かに揺れていた。
※本作品は、AIを創作パートナーとして迎え、対話を重ねながら制作しています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
『夜光種』は、ひとつの小さな違和感から始まった物語です。
もし、自分の中にあるものを「消す」ことで、
今の自分を守れると言われたら。
それは本当に、自分を守ることになるのだろうか。
そんな問いを、リビアと一緒に探していけたらと思っています。
今後ともお楽しみいただけましたら幸いです。




