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第6章 お茶会をお見逃しなく

「「「「「「「!?」」」」」」」


今……破劇者が、喋った!?


「エミール……Bossの目、すごく怖い……」


「俺たちの後ろにいろ、アイリーン」


「うん……」


次に、こいつはどう攻撃を仕掛けてくる?


突撃か、フェイントか、それとも不意打ちか?


俺は頭の中で必死に考え、Bossが取りそうな攻撃手段を、どうにかいくつも予測した。


けれど、予想に反して……


あの狂ったようなBossは、周囲に散らばっていた球体の破片を再び集め、それを一つの茶会用テーブルへと作り変えた。


続けて、そいつは中央に置かれた深褐色の椅子に腰を下ろし、まるで紳士のように俺たちへ手を振りながら、テーブルのそばにある空いた椅子へ好きに座れと誘ってきた。


……


は?


待て、どういう意味だ?


「エミールくん……次はどうすればいいの?」


「少し考えさせてくれ、マリー……あいつは今までのBossとは違う。俺も迂闊には動けない……」


先に俺たちを油断させてから、突然不意打ちを仕掛けてくる可能性を考えると……


よし。


「俺が先に様子を見に行く。全員、ここで待機していてくれ。リン、アイリーン、お前たちもだ。俺についてくるのは禁止だ」


ここは、死なない俺が先に出るべきだろう。


「でも、ダーリン……」


「エミール、私も……」


「大丈夫だ。自分が何をしているのかは、ちゃんとわかってる。だから、あまり心配しないでくれ」


リンとアイリーンも、一緒にこの危険を冒そうとするだろうとは思っていた……


リヤだけは、心配していなかった。


俺がどうしてこんな決断をしたのか、彼女はわかっている。だからこそ、今も飛び出したい衝動をこらえて、俺の指示どおりその場に留まってくれているんだ。


この場にいる中で、傷を負っても死なないのは俺だけだ。


なら、俺が先に出るのが一番確実な選択だ。


「ふぅ……」


「カエルくん、少しでもおかしいと思ったら、絶対すぐに私たちのところへ逃げてきなさいよ」


「わかってるよ、レイ」


……


行くぞ。


「……?」


俺だけが席に着いたのを見て、そいつはただでさえ不気味な顔に、なぜか困惑したような表情を浮かべた。


「それで?俺に、お前の午後の茶会に付き合えって言いたいのか?」


俺はそいつの正面にある木の椅子へ腰を下ろし、自分から声をかけて問いかけた。


シュッ――


「僕の――時間は――ずっと――午後六時で――止まっている。だから君は――僕と一緒に――午後のお茶を――飲まなければならない」


次の瞬間、Bossは俺に一番近い椅子の前に、一瞬で現れた。


そいつは首をかしげたまま、ゆっくりとその首を俺の目の前まで伸ばし、顔に悪意を含んだ満面の笑みを浮かべた。


なっ……!?


こいつ、いつの間に俺に近づいたんだ!?


「……時間が六時で止まっているから、お前の茶会に付き合えってことか?」


「その通り!」


「そこは夕食じゃないのか?六時ならもうすぐ夕食の時間だし、菓子を食べすぎたら太るだろ……」


それに、今はまだ朝早いし、俺はさっき朝食を食べたばかりなんだけど……


食べすぎて、マリーが作ってくれた美味しい朝食を吐き戻すなんて絶対に嫌だ。


「……」


「カエルくん、何やってるのよ!?もしあいつを怒らせたら、終わりなんだからね!」


あ、悪い……


そこまで考えていたら、つい口に出てしまった……


さっき聞いた瞬間からツッコミたくなっていたせいで、思わず口から漏れた一言が、場の空気を一気に凍りつかせた。


俺の言葉を聞いたBossはその場で硬直し、背後にいる仲間たちも、怯えと心配が入り混じった視線を俺へ向けてきた。


「ふふ……ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……」


「おいおいおい!今のは俺が悪かったから、そんなふうに狂ったみたいに笑うなよ!怖すぎるだろ!」


Bossは突然フリーズしたかのように、抑揚のない笑い声を延々と漏らし始めた。


「茶会……六時――は――茶会――の時間!六時――は――茶会――しか――しては――いけない!お茶を飲もう、お茶、お茶、茶茶茶茶茶茶茶――」


六時以外の時間に茶会を開いている人たちに謝れよ?


しかも、こいつは同じ言葉に引っかかったまま、何度も繰り返している……


まさか、声帯か何かが壊れているのか?


心の中ではずっと全力でツッコミ続けていた。


けれど、俺の体は死にたくないという本能に従い、顔を押さえて狂ったように笑うBossから少しでも離れようと、じりじりと身を後ろへずらした。


「ダーリン、なんかまずそうだよ、早く戻って!」


「了解。……って、なんで立ち上がれないんだ!?」


「「「「「「!?」」」」」」


まるでこの木の椅子に強力な接着剤でも塗られているかのように、どれだけ力を入れても立ち上がれなかった。


今の俺は、完全に椅子へ固定されてしまっていた。


「はは……終わったな」


「茶会、菓子!」


Bossはどこからともなくティーポットを取り出すと、「これは確認ではなく通知だ」とでも言いたげな勢いで、まだ湯気の立っている紅茶を精巧なティーカップへ注いだ。


そのあと、そいつはティーカップを俺の目の前へ押し出し、首をかしげながら、期待に満ちた視線を向けてきた……


何がしたいんだ、こいつは?


この袋の鼠状態の俺が紅茶を飲んで、自分の目の前で惨たらしく死ぬのを期待しているのか?


趣味が悪いぞ、このBoss!


「エミールくん、それを飲んではだめです!」


「そうよ!中に変なものが混ぜられているかもしれないじゃない!」


「……マリー、リヤ、こうなったらもう、腹をくくるしかない。リヤ、このあと何か見え――」


「お茶を飲め!」


「はいはいはい、少し落ち着いてくれないか?飲む、今すぐ飲むから!」


焦っても熱い豆腐は食べられないぞ、小悪党。


もう少しだけ待ってくれても、俺が逃げられるわけじゃないだろ……


けれど、Bossが怒って他のみんなに手を出すのが怖かった俺は、仕方なく目の前のティーカップを掴み、そのまま一気に飲み干した。


「はぁ……」


「おおっ!?お前は男の中の男、本物の男だぜ!エミール兄貴!」


うるさい、コリン!


こんなことなら、お前に代わってもらえばよかった!


「エミール、体の調子はどう……?」


「ん?体の疲労感が、なんか……消えた?」


「え?どういうこと……?」


俺に聞かれても、俺にもわからないぞ、アイリーン。


死ぬ覚悟でこの紅茶を飲んだのに、結果はまさかの無事。


しかも正直、この紅茶……意外と普通に美味い?


「これ、いったい何なんだ?」


「ひひ……ひひひひひひひひ!飲み終わった?よし、よし!」


「だから、俺が今飲んだものは何なんだっ――」


ドン――――――!


そいつはまたどこからともなく菓子の皿を取り出し、ドンッと音を立てて、俺の目の前のテーブルに叩き置いた。


「菓子、食べろ!お茶――には菓子!」


「食べる、食べるから!頼むから、いちいち頭をこっちに伸ばしてくるな!すごくプレッシャーがかかるんだよ……」


どうやら、今回も逃げられそうにない……


仕方なく、俺は小さくて可愛らしいクリーム入りのパイを一つ選び、口へ運んだ。


お……?


美味いな、これ!


「これ、結構美味いな。口の中で溶ける感じだ」


その味は確かに、少し驚くくらい美味しかった。


けれど俺の口から出てきたのは、まるでグルメ番組の司会者が形容詞をすべて使い果たしたあと、どうにか絞り出したような、哀れな言葉だけだった。


「ひひ……ひひひひ!食べた!食べた!茶会を――開いたら、僕たち――は――友達だ!」


いやいやいや、俺はお前と友達になるつもりなんてないぞ?


お前、怖すぎるんだよ。


「そして――参加――しない者は……」


Bossはついさっきまで声を上げて笑っていたのに、今度は突然静かになり、茶卓から少し離れた場所にいるリンたちへ視線を向け、凶悪な眼差しを浮かべた。


あっ!


まさか、全員が茶会に参加すれば、ここを安全に通過できるのか!?


バキッ——————!


Bossの体から、倍以上の数の手足が一気に生えた。


しかも、それぞれの手にはありとあらゆる刃物と、鍋蓋のような盾が握られていた。


「みんな、気をつけろ!あいつ、そっちに突っ込むぞ!」


「きゃああ!!!」


次の瞬間、そいつは巨大な蜘蛛のように身を伏せ、リンたちの方向へ高速で突進していった。


そのせいで、もともとBossの見た目を怖がっていたアイリーンは、思わず悲鳴を上げてしまう。


くそっ!


動けよ、この足!


俺はあいつらを助けに行かなきゃいけないんだ!


「どうして――参加――しない!茶会、茶会茶会茶会……」


「うるさいわ!口を開けば茶会茶会って、相手があなたと茶会をしたくない可能性を考えたことはないの?」


リヤは荊棘でBossの余分に生えた手足をしっかりと拘束し、さらに自分の剣へ荊棘を絡ませると、それを鈍器のようにBossの顔面へ叩きつけた。


ガァン―――!


まるで鋼鉄同士がぶつかったような音が響く。


どうやら、このBossは面の皮が厚いだけじゃなく、かなり硬いらしい!


「——————!」


Bossは完全に怪物の姿へ変わったあと、言葉を話す能力すら失ってしまったようだった。


攻撃を受けてもまるで痛くも痒くもない様子で、奇声を上げながら力任せに地面を叩きつけ、そこに巨大な穴を穿った。


こんな攻撃力、かすっただけでも彼女たちは死ぬぞ!


くそ……


こんな時に、どうして体が動かないんだ……


「『炎爆』!えっ……私のスキルが効いていないのですか?」


Bossの左肩に目に見える火花が散った直後、激しい爆発が起きた。


けれど、そいつは倒れるどころか、マリーの爆発を受けても表皮に傷一つついていない。


うわうわうわ……


こんな馬鹿げた硬さと攻撃力で、俺たちにどう戦えっていうんだ!?


早くどうにかして抜け出さないと、彼女たちが大変なことになるかもしれない……


「ひゃあっ――!『睡眠』、『目覚め』、『睡眠』、『目覚め』、『睡眠』……」


「——————……」


お?


アイリーンの制御スキルは効いているのか!?


Bossの動きが遅くなり始めた!


その間にも、そいつの全身の毛穴からは、真っ赤な血が絶えず噴き出していた。


「アイリーン、そのままスキルを使い続けろ!お前のスキルはあいつに効いてる!」


「ひゃああ――!気持ち悪い、こっちに来ないでください!『睡眠』、『目覚め』……」


う、うーん……もしかして、俺の声が聞こえていないのか?


彼女は俺の叫びにはまったく反応せず、そのまま制御と攻撃を何度も繰り返し、Bossをどんどん衰弱させていった。


そいつの動きも、次第に鈍くなり始めている。


「ダーリン!あいつ、さっき茶会って言ってたよね?テーブルの上にあるお菓子とお茶を全部片づけてみて!お茶とお菓子がなくなれば、茶会は終わったってことになるから、席から離れられるかもしれない!」


リンはそう叫ぶと、すぐに自分の周囲へびっしりと光の剣を召喚し、降り注ぐ雨のようにBossへ撃ち放った。


「——————————!」


もともとアイリーンの制御スキルで押さえ込まれ、ふらついていたBossは、身を裂かれるような悲鳴を上げ、光の剣による衝撃で体を激しく震わせた。


「あむあむ……げほっ、げほげほげほ!」


急いで食べすぎたせいで、むせた!


「ごくごく……」


幸い、ここには喉を潤せるお茶もある。


俺のたゆまぬ努力の末に、ついに……


「全部のお菓子を食べ終わったぞ!」


茶会万歳!


おお、本当に立ち上がれるようになった!


よくやった、リン!


「悪い、遅くなった!みんな、怪我はないか?」


「かすり傷くらいよ。カエルくん、これからどうするの?」


「俺が攻撃する。効くかどうか試してみるよ。レイ、援護とフェイントを頼む」


「OK、任せて」


「じゃあ、行くぞ!」


シュッ―――


俺は大剣を振り上げ、そのままBossの体へ向けて一刀を振り下ろした。


「え?」


「「「「「「え?」」」」」」


けれど今回は、リヤが攻撃した時のような、金属同士がぶつかるような音は鳴らなかった。


そいつはまるでゼリーみたいに、俺の一撃であっさり真っ二つになり、そのまま地面に倒れて動かなくなった。


それを見て、俺たち七人はそろって困惑した。


アイリーンとリン以外の攻撃はほとんど効いていなかったはずなのに、俺は一撃でこいつを倒してしまったのだ。


「戦闘……終了?」


「嘘でしょ……さっき私が攻撃した時、あいつはそんなに弱くなかったはずなのだけれど?」


「そう言われても、俺だってどう説明すればいいのかわからないんだが……」


リヤは悔しそうに、真っ二つになったBossの死体のそばへ歩み寄り、そいつが消える前に、歪んだ体へもう一度剣を振り下ろした。


ガァン――!


「……?どうしてエミがさっきBossを攻撃した時は、まるでウェディングケーキを切るみたいに簡単そうだったの?」


「たぶん、俺が茶会に参加して、勝利条件を達成したからじゃないか?まあ、いいだろ。とにかく俺たちはもう勝ったんだし、細かいことは気にしなくていい。リン、こっちに来てくれ」


リヤがどうしてわざわざウェディングケーキに例えたのかは、ひとまずツッコまないでおこう……


俺は足元まで転がってきた宝玉を拾い上げると、それをリンの背中にある編織者の紋章へそっと押し当てた。


「今度はどんな新しいスキルを手に入れたんだ?」


「私の新しいスキルは『透過』だよ。対象の物体を、他の物体にすり抜けられるようにできるみたい」


リンは木の椅子の破片を拾い上げると、それに『透過』の効果を付与した。


すると次の瞬間、その破片は彼女の手をすり抜けた。


地面に触れても止まることなく、そのまま俺たちの視界から消えていった。


「これ、他人に使うにしても自分に使うにしても、かなり慎重に扱わないとまずいな……地面の下まで落ちたら終わりだぞ」


「うん……物体をすり抜けている最中に、私が急に『透過』の効果を解除したら、何が起きるんだろう……はぁ、なんかこの新スキル、すごく扱いづらそう」


「はは……今はあまり考えすぎるなよ。せっかく新しいスキルを手に入れたんだし、もう少し喜んでもいいだろ。今日はこのまま、もう何階層か奥まで攻略しよう」


「うん、ダーリンに任せるよ。行こ、ダーリン」


残り、あと四十階層……


ふぅ……


この先、いったいどんなBossが俺たちを待っているのだろうか。


それに、もっと気がかりなのは、父さんが今どうなっているのかだ。


あの人はまだ、第七十階層で俺を待っているのだろうか。

【キャロリン – プロフィール更新】


キャロリン


紡がれた物語 - アリス(Alice)


編織者スキル

——————

『時間魔法』

『大きさ変化』

『無害化』

『探し物』

『幻影輪舞』

『光魔法』

『危機感知』

『透過』*New!


【武装化】発動条件 - 愛する人を守りたいという想い & 愛する人を守るための勇気


【武装化】スキル -『愛と希望の物語(Alice’s Last Wonder)』


【武装化】スキルの効果 - (使用者が死に至る寸前に限り、自動発動する)使用者の判断と想像力に応じて形態を変化させ、発動ごとに一度だけ、使用者の死という結末を覆す奇跡を起こす。

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