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02-編織者たちの交響曲【Side:キャロリン】友であり、恋のライバルでもある

「うわぁ……俺たちがいない間に、またそんなに色々あったのか?」


「あの時、私もその場にいられたらよかったのに……」


夜、私たちはダーリンの家でたくさん美味しいものを注文し、セレイアたち三人と、【武装化】の発動条件をどう見つければいいのか悩んでいるコリンとアイリーンの二人も呼んで、新しい仲間の加入をみんなで祝うことにした。


「そういえば、コリンとアイリーン。あなたたちの課題はどうなりましたか?」


指導者さんにそう聞かれて、私も二人が順調なのか少し気になった。


「正直、まったく手がかりがない」


「私も同じです……」


「あははは……そっか。落ち込まないで。これからは一緒に悩んでくれる新しい仲間が三人も増えるんだから」


「はぁ、毎日くだらないことばかり考えている男子と同じ分類に入れられると思うと、なんだかすごく屈辱なんだけど……」


私がそう言うと、レイはすぐに顔を押さえ、心底うんざりしたようにコリンを見た。


「あ?誰がくだらないことばかり考えてるって?」


「あんたのことよ!あんた、毎日エミールっていうカエルくんとつるんで、栄養のない馬鹿なことばかり考えてるんでしょ?しかも周りの女子をずっといやらしい目で見てる、まさに女性の敵……みたいな噂、もうとっくに私のクラスまで届いてるんだから」


「栄養のない馬鹿なことって何だよ?世の中に女好きじゃない男なんているわけないだろ?俺は自分の本心に従って、ありのままの自分をさらけ出してるだけだ!」


「悪く言えば恥知らずってことでしょ?あんた、本当に救いようがないわね!」


「お前、今俺と喧嘩したいってことか?受けて立つぞ?俺はお前みたいなチビなんて怖くないからな」


「誰がチビよ!?いいわよ、やってやろうじゃない!」


うわうわうわ、どうして急にコリンとレイが喧嘩し始めてるの?


「二人とも……ここはエミール君の家ですから、彼の家で騒ぎを起こさないようにしてくださいね?」


マリー……!


早くその二人を止めて!


「本当に戦いたいなら、明日、模擬戦を申請すればいいと思いますよ」


そっちじゃないいいい!


場所を変えて喧嘩する提案をしてどうするの!?


「マリーちゃん、ナイスアイデア!おい、チビ。明日、俺とタイマンだ」


「ふん。あんたこそ、薬でも用意しておいたほうがいいわよ。絶対に私がボコボコにして帰らせてあげるから!」


「どっちがボコボコになるかは、まだわからないだろ?」


「「ふんっ……」」


二人の交わる視線がバチバチと音を立てているようで、リビングにはかすかな火薬の匂いが漂い始めた。


「マリーさん、どうして二人を止めないで、むしろ火に油を注いでるの!?」


「ふふ、だってそのほうが面白そうだから」


そんな理由で模擬戦を勧めたの!?


「はいはい、あなたたち二人、喧嘩したいなら帰りなさい。夕食中にぐちぐち言わないでください。うるさいです」


「「はい……」」


やっぱり指導者さんが口を開くと、ようやく二人は一時休戦してくれた。


ただ、最後まで二人はお互いを睨み合っていて、そばにいた私とアイリーンさんも思わず苦笑してしまった。


「夕食を食べ終わったら、何かゲームでもしないか?うちにはゲーム機があるし」


ダーリンは二人の間の空気を和ませるために、みんなでゲームをしようと提案した。


「カエルくんの家にゲーム機あるんだ?いいじゃんいいじゃん、私はロールプレイングゲームがしたい!」


「俺は格闘ゲームがやりたい!」


「「あ?」」


……


また始まった。


あの二人、本当に色んな意味で相性が悪いんだね……


     ◇


ダーリンの仕切りで、私たちはいろんなジャンルのゲームを順番に遊んだ。


少しずつ、あの二人も喧嘩しなくなって、意識を全部ゲームに向けるようになっていった。


うーん……


ご飯をいっぱい食べたあとに、ずっと座りっぱなしなのも健康によくないよね。


それでお腹が出てきたら可愛くないし……


うぅ……


せめてダーリンの前では、一番可愛い自分を見せたい。


よし、少し外に出て歩いてこよう。軽く運動しなきゃ。


「ダーリン、私ちょっと近くを一周してくるね。すぐ戻るよ」


「もう夜だから、気をつけてな」


「へへっ、大丈夫~」


胸の奥がぽかぽかする。


彼に心配してもらえていると思うだけで、自然と口元が緩んでしまった。


——————


お?


近くに公園もあったんだ?


デートにちょうどよさそうな場所じゃん!


決めた。次はダーリンも誘って、一緒に来よう……


キィ……


キィ――――


視線の先には、少し前に席を外していたセレイアさんが、一人でブランコに座っていた。


横顔を見る限り、どこか寂しそうに見える。


「あ……」


彼女も私に気づいた。


「こんばんは……」


「こんばんは……」


それに、私と話す時の彼女は、どこか妙にかしこまっているような気がした。


「セレイアさん、どうして一人でここに座ってるの?」


「何でもないわ。ただ、少し外の空気を吸いたくなっただけ。そうしたらこの公園を見つけて、昔のことを思い出して……気づいたら、ここに座っていたの」


「おお?昔のこと?よかったら聞かせてもらってもいい?ちょっと気になるな」


「そ、その……昔、エミ……エミールと一緒に遊びに来た時のこと……」


ああ、ダーリンが言っていた気がする。


彼とセレイアさんは、小さい頃から知っている幼なじみなんだって。


ただ、ある日突然セレイアさんが別人みたいに変わって、それから二人は一緒に遊ばなくなったらしい。


「ごめんなさい、キャロリン。それと……ありがとう」


「えええ?どうして急に謝るの?」


「あなたも、エミールから聞いているでしょう?私がずっと、彼に対してひどい態度を取り続けて、彼の夢まで踏みにじってきたことを。そのことについては、本当に申し訳ないと思っているの……」


「……」


「私には、本当に他に選択肢がなかった。どうしても自分の目的を果たすためには、ああするしかなかったの。できることなら、私だって彼のそばで、その夢を支えてあげたかった……でも、あなたは私の代わりに、彼のそばにいて、その夢を支えてくれた。だから、本当に感謝しているの……」


ああ、この子……


きっと、ダーリンのことが好きなんだ。


少なくとも、彼女との会話からは、ダーリンを悪意で邪魔しようとしている気持ちなんて、まったく感じられなかった。


「セレイアさん、ダーリンや他の人に、自分が何のためにそんなことをしているのか、ちゃんと話そうとは思わなかったの?」


「私だって話したいわ。でも……どうしても駄目なの。口にしたら、事態はもっと複雑になってしまう。この件は、私一人で背負うしかないの」


一人で背負わなければならない責任……


彼女は本当に、指導者さんとよく似ている。


「でも最近……正確には、さっき【仙境】にいた時、私は初めて変化を見たの。だから思わず考えてしまった。私の努力は、本当に報われるものなのか。この件は、私がそこまで多くの大切なものを犠牲にしてまで続ける価値があるものなのかって」


「変化……?どういうこと?」


「私の知る限り、あなたとエミールは、あの時あの場所で【仙境】にいるはずがなかったの」


……?


どういう意味?


「でも実際には、あなたたちは本当に【仙境】に現れた。指導者さんも、あの三人の最低な男たちを懲らしめてくれた。あれは私がまったく予想していなかった出来事で、私が初めてはっきりと気づいた変化だったの」


「なるほど……?」


「理解できなくても構わないわ。とにかく今の私はもう……自分がこのまま続けるべきなのかさえ、わからなくなっていて、諦めたい気持ちさえあるの。ああ、これから先、私はもう彼にひどい態度を取ったりしない。もちろん、指導者さんに対しても同じよ。そこは安心して。まずは彼女を観察して、彼女が何をしようとしているのかを見極めてから、これからのことを決めるつもり」


「わかった。私はあなたを仲間だと思っていいんだよね?」


「もちろんよ。私はいつだって、あなたたちの仲間だから」


それなら、安心だね。


「ふふ、それなら問題ないね。一人でそんなに寂しそうに座っていたから、何かあったのかなって心配しちゃった」


「ごめんなさい、心配をかけてしまって……あなたは、もしかして私を探しに来てくれたの?」


「ううん、そこまでは違うよ。ただ、ちょうどお腹いっぱいになったから、少し散歩しようと思って外に出たら、偶然あなたに会っただけ」


「そうなのね」


「うん」


「……」


「……」


今さら気づいたけれど、私は彼女のことをほとんど知らないし、彼女と話せる話題もあまり持っていなかった。


だから大事な話が終わった途端、私たちは二人揃って沈黙してしまった。


「キャロリンさん、その……」


「はい!何かな、セレイアさん?」


彼女のほうから話題を振ってくれた!


助かった~。


「エミールは……今、幸せなの?」


「……わからない」


「え……?」


「彼は少し前に、ご両親を亡くしたばかりだから。今の彼が本当に幸せなのか、私にもわからないの」


私がそのことを口にすると、セレイアさんも悲しそうに顔を伏せた。


「でも、約束する。私が必ず、彼に心から幸せだと思ってもらえるように、何倍も頑張るから」


「そう……それなら、いいの……」


「じゃあ、セレイアさんは?あなたは今、幸せ?」


「え?私?」


突然の問いかけに、セレイアさんは少し固まり、それから顔を上げて私を見つめた。


「今のあなたの表情と背中を見ていると、心の中がすごく孤独そうに見えるの。だから、心配になったんだ」


「……」


「それに、私だって、人が誰かを好きかどうかもわからないほど鈍くないよ。あなた、ダーリンのことが好きなんでしょ?しかも、どうしようもないくらい大好きで、抜け出せないくらいに」


「……!?いいえ、そんなことは……」


「そんなことがないなら、どうして今、泣いてるの?」


「え?」


彼女は信じられないというように自分の目元をこすり、そこで初めて、自分がいつの間にか涙を流していたことに気づいた。


「セレイアさんって、強がりなツンデレなんだね~」


「うぅ……」


「だからね、セレイアさん。あなたが彼のことをどう思っているのか、私に教えて。大丈夫、怒るつもりなんてないから」


「私……私は彼が好き。子どもの頃から、ずっと好きだったの。七歳の誕生日に彼がくれた貝殻のブレスレットは、もう身につけられなくなってしまったけれど、それでも今もちゃんと小さな箱の中にしまってある。だって、あれは私と彼の大切な思い出だから!」


セレイアさんは諦めたように、胸の中に溜め込んでいた想いを一気に吐き出した。


「昔から、私は彼のことを優しい人だと思っていたの。私がぐしゃぐしゃに泣いている時でも、彼はいつもそばで慰めてくれた。だから私は、本当に彼のことが大好きなの……」


うん、それでいい。


あなたに足りなかったのは、自分の本心と向き合うことだったんだ。


ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!


「「え?」」


セレイアさんの右手の甲から、碧色の粒子が爆発するように溢れ出した。


その粒子はゆっくりと彼女の身体へまとわりついていく。


これは……


【武装化】!


「身体が……ふわふわする! もしかして、これが……?」


「そうだよ! セレイアさん、【武装化】の発動に成功したんだよ!」


「えええっ!? 本当に!?」


碧緑色の光が収まると、彼女の髪は長くなっていただけではなく、艶やかで淡く輝く金色へと変わっていた。


それだけじゃない。


彼女の身には、荊棘と青い薔薇をあしらった格好いい鎧まで纏われていた。


その姿は、まるで童話の中から現れた薔薇の騎士みたいだった。


挿絵(By みてみん)


今の彼女は、戸惑ったように私を見つめていた。


「もしかして、【武装化】の発動条件って“自分に欠けているもの”なのかな!?すごいよ、セレイアさん!早く戻って、このいい知らせをみんなに伝えよう!」


「えっと、少し待って。このまま鎧姿で街を歩いたら、間違いなく余計な注目を集めてしまうわ……【武装化】はどうすれば解除できるの?」


「わからないなぁ?私はいつも“武装解除”って念じたら、【武装化】が勝手に解けるよ」


本当に嘘じゃないよ……


適当に言っているように聞こえるかもしれないけど、私はいつもそうしているから。


「試してみるわ……」


シュゥゥゥゥ――――


セレイアさんの鎧は碧緑色の粒子となって消え、彼女は元々着ていた普段着姿へ戻った。


「成功した!ありがとう、キャロリン!」


【武装化】が解除されたことに気づいた彼女は、すぐに嬉しそうに私の両手を握り、その場でぴょんぴょん跳ねた。


ぷっ……


もしかすると、これが本当のセレイアさんなのかもしれない。


「どういたしまして!【武装化】成功、おめでとう!早く戻ろう。みんな、絶対びっくりするよ」


「うん!それと、キャロリン……さっきは私と話してくれて、本当にありがとう……」


「へへっ、どういたしまして~。それとね、もしあなたがこれからもダーリンを追いかけたいなら、私は別に構わないよ?」


「え……???」


「実は前に、彼が模擬戦で相手に首を斬られた時、『超再生』のおかげで何とか生き返って、その流れで初めて【武装化】を発動したの」


少し前のことなのに、今でも彼の首が斬り落とされたあの光景は、はっきりと目に焼きついている。


「あの時、自分の恋はもう叶わないんだって思った瞬間、胸の中がいくつにも砕けてしまったような気がした。だからね、あなたが私と彼が付き合っていることを知った時に感じた、どうしようもない無力感や絶望も、私にはわかるんだ。だからこそ、あなたにも彼へ気持ちを伝えてほしいって思ってる」


「……」


「でもセレイアっち、一つだけ先に言っておくね?あなたが彼の恋人になるのは構わない。で!も!正妻は絶対に私だから!」


ふふん、正妻感たっぷりの発言!


これが正妻の余裕ってやつだよ!


「その話は一旦置いておきましょう。キャロリン、模擬戦で彼にそんなひどいことをしたのは誰?」


待って、どうしてそこに食いつくの?


「えっと?隣のクラスのグリックだよ。アイリーンと同じクラスの男子。前に模擬戦会場でちょっと揉めたことがあって……」


「わかったわ。明日、私が彼に会いに行く」


ひぃ!


その言葉を口にした時、セレイアっちの全身から、息が詰まるほどの殺気が溢れ出し、目つきも鋭く研ぎ澄まされていた。


明日、誰か一人は絶対に終わる……

【セレイア – プロフィール更新】


セレイア


紡がれた物語 - 長髪姫(Rapunzel)


編織者スキル

——————

『囚われの檻』

『荊棘魔法』

『体力剥奪』


追加スキル - ???


【武装化】発動条件 - 自分の本心と向き合う *New!


——————————


【設定や用語の概要更新】


【武装化】- 自身が編んだ物語を装備として具現化し、物語そのものが持つ能力を最大限に引き出す究極のスキル。【武装化】の発動条件は人によって異なり、いずれも非常に厳しい。また、基本的には精神的な成長を経ることで、初めて【武装化】を扱えるようになる。

【■■■】■■■■■■、■■■■■■■■■■■■■■、■■■■■■■■■■。

→【武装化】の発動条件は、自分に欠けているものを自覚し、それと向き合うことだ。

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