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第10章 清算

「はは、本当に成功した……あとは、皆に任せたよ……」


皆を救った英雄(アリス)は、【ナフィラの毒】から回復したばかりだというのに、皆へ親指を立ててみせた。


その後、彼女は満足そうに笑いながら、意識を失った。


「リン!?」


「心配しないでください、エミール。キャロリンは疲れて気を失っただけです。彼女の傷は、もう私がすべて治しました」


「そうだったのか……急に眠るみたいに倒れたから、本当にびっくりした……」


「それにしても、『|愛と《Alice's》希望の(Last)物語(Wonder)』ですか……?本当にすごいですね」


「リンが死にかけた時にだけ、強引に生き延びる道を切り開いてくれるものらしい」


「つまり、もしキャロリンがいなければ、私たちはさっき全滅していたということですね……」


フローラさんは、草地の上で穏やかに眠っているリンを見下ろした。


その表情には安堵がにじんでいたけれど、それと同時に、自分の無力さを悔やんでいるような、複雑な苦笑も浮かんでいた。


「彼女がすべてを私たちに託してくれた以上、私たちは全力でその期待に応えましょう。彼女が目を覚ましたら、皆で改めてきちんとお礼を伝えればいい」


「華恋……ええ。すべてが終わったら、誰一人欠けることなく、皆で一緒に彼女へお礼を言いましょう。きっとそれが、彼女にとって何よりのお礼になるはずです」


そこでフローラさんはようやく張り詰めていた表情を緩め、わずかに安堵したような微笑みを浮かべた。


「そして今は……」


続けて、フローラさんは再び空へ視線を向け、私たちの敵をまっすぐ見据えた。


そうだ……


俺たちにはまだ、やらなければならないことが残っている。


「ふん、あの妙なスキルが【神器】の効果にまで影響を及ぼせるとはね?まあいい。多少の起伏があってこそ、脚本は面白くなる。だが……そんな奇跡が、二度も起きると思うな!」


トレイズは再びマントの下から蔓の杖を取り出し、俺たちへ狙いを定めた。


さっきの毒霧で、もう一度俺たち全員を行動不能にするつもりだ。


ヒュン――!


「同じ攻撃が二度も通用すると、本気で思っていらっしゃるの?」


【ナフィラの毒】から回復したクロエは、すでにあの蔓の杖を警戒していた。


トレイズが再びそれを構えた瞬間、彼女は誰よりも早く、蔓の杖へ向けて発砲した。


「……忌々しいエルフめ!いや、貴様……まさかナーシャなのか!?どうしてお前まで……」


弾丸が蔓の杖に命中した衝撃で、トレイズは体勢を崩しながら数歩後ろへ下がった。


彼はクロエを見つめ、なぜか驚愕に満ちた表情を浮かべている。


その様子は、まるでクロエの姿の中に、かつて自分が知っていた誰かを見出したかのようだった。


トレイズがよろめいた一瞬。


その隙を突き、風魔法で自分自身を撃ち出した魔王リリカが、すでにトレイズの右側へ回り込んでいた。


「『全元素虹彩砲撃』!」


「……お前も過去の経験から学べないタイプのようだね!」


まずい。


また、あの攻撃を反射する盾だ!


魔王リリカの魔法砲撃は盾に命中した直後、そのまま真っ直ぐ彼女自身へ跳ね返されてしまった。


「アンナ!」


「うん」


「何だと!?」


皆の体力はまだ完全には戻っていなかった。


けれど、竜族であるアンナは、常人とは比べものにならないほどの体力を持っている。


アンナの機動装甲に備わった機械の翼から蒼い粒子が噴き出し、次の瞬間、彼女もまたトレイズの真正面に現れた。


相手の注意が反撃に向いている隙を突き、アンナは自分の周囲に浮かぶ数枚の大盾を操ると、下から上へ思いきり振り上げ、トレイズの手にあった盾を弾き飛ばした。


「攻撃を跳ね返せるのが、自分だけだとでも思ったの?」


灰色の魔法術式がリリカの目の前に現れた。


それは彼女へ跳ね返ってきた魔法砲撃を強引に吸収し、そして……


「『倍化反撃』!」


先ほどの魔法砲撃より二倍も大きい『全元素虹彩砲撃』が、別の黒い魔法術式から、再びトレイズへ向けて撃ち返された。


轟――!


「ぐおおおおっ!」


「感謝するなら、あんたの主人(ロロック)にしなさい。あいつのペット(【魔王】)のおかげで、唯が私にこのスキルをくれたんだから」


魔法砲撃はトレイズを吹き飛ばし、そのまま地面へ叩きつけ、凄まじい威力の爆発を巻き起こした。


「……待って。何か、手応えがおかしい」


「リリカ、あなたの砲撃が彼に命中する直前、また元の威力にまで落とされたように見えました。いえ、砲撃そのものの大きさまで一緒に小さくなっていたようです」


ナセフィンはずっと、トレイズの一挙一動に注意を向けていた。


そして彼女には、砲撃が命中する直前に、トレイズがまた何かをしたように見えたらしい……


「そんなのあり……?まさか、まだ何か切り札を隠してるっていうの?」


「それはあの男に聞くしかありません。リリカ、あの煙塵を吹き飛ばしてください。爆発で生じた煙が邪魔です。万が一、彼がまたこっそり何かを仕掛けようとしても、こちらからは見えません」


「オッケー♪」


あらゆるものを引き裂くような暴風が、トレイズが叩き落とされた場所を席巻した。


けれど、トレイズは何事もなかったかのように、俯いたままその場に立っていた。


『全元素虹彩砲撃』を正面から受けたにもかかわらず、彼の身体にはわずかな傷がいくつか刻まれ、マントや服が破れた程度でしかなかった。


「気をつけろ!あいつ、また新しい武器を取り出したみたいだ!」


煙が晴れると、目ざといシェラさんが、トレイズがボロボロになったマントの下に新たな【神器】を忍ばせていることに気づいた。


今度の彼女は慎重に動くことを選び、周囲に大量の氷の剣を生み出して、トレイズへ撃ち込んだ。


けれど、それらの氷の剣も、リリカの魔法と同じように、トレイズには何の効果も及ぼせなかった。


彼女の氷の剣はなぜか、さっきの『全元素虹彩砲撃』と同じように、大きさも威力も削られていた。


最後には、トレイズにかすり傷をつける程度の威力しか残っていなかった。


「ふふ……ふははははは!面白い。お前たちは本当に面白いよ!こうなったら、俺も全力でお前たちの期待に応えないとね」


トレイズは手に古びた本を持ち、狂気を宿した目で俺たちを見つめていた。


「せっかくお前たちがそんなに大勢いるんだ。俺も援軍を呼ばせてもらうよ?」


彼はクロエの狙撃をかわすと、ゆっくりとその本を掲げ、目の前に巨大な黒い魔法術式を構築した。


「『上級雷魔法・雷槍』!」


「その程度の攻撃じゃ、あまりにも貧弱だ!」


彼はもう片方の手に持った秤を、自分の前へ掲げた。


その結果、姫川さんの雷槍に変化が起きた。


雷槍が、目に見える速さで小さくなっていく。


それだけじゃない。


雷槍の飛ぶ速度まで、同時に明らかに遅くなっていた。


トレイズに命中した数発の雷槍も、本来の威力を発揮するどころか、まるでくすぐる程度の力しか残っておらず、彼にぶつかった瞬間、そのまま消え去ってしまった。


まさか、さっき彼女たちの攻撃が効かなかったのは、全部あの秤のせいだったのか!?


「来い!ここからは、万物の真なる裁定者がお前たちの相手をしてくれる!奴らはお前たちを平等に、一人残らずこの星から抹消してくれるだろう!」


空にいくつもの黒い裂け目が開き、そこから外見の異なる黒い怪物たちが何体も這い出してきた。


四本脚の蜘蛛のようなもの、頭部が槌のような形をしたもの、それに宙に浮かぶ眼球の怪物まで、次々と中から溢れ出してくる。


「ん?あれは創造主の【創造派生体】じゃないのか?」


「違う!あれは【湮滅異構体】よ!創造主の【創造派生体】なら、あんなふうに全身から高密度の瘴気を漏らしたりしないわ!」


唯さんは意外にもその怪物たちを知っているようだったけれど、パネルを凝視していたラミリスは、すぐに彼の予想を否定した。


あれはもっと恐ろしく、もっと危険な未知の生物だ。


「どうしてお前たちは、あまり驚いていないように見えるんだい?ふふ、こいつらは文明を抹消するための掃除屋だよ?もう少し慌てた方がいいんじゃないか?」


トレイズが怪訝そうな表情を浮かべたその時、俺たちの周囲にもまた、いくつもの異なる裂け目が開いた。


そして、中から【湮滅異構体】とよく似た外見の怪物たちが、無数に飛び出してくる。


けれど、その怪物たちは【湮滅異構体】とは外見が少し違っていた。


新たに現れた怪物たちの身体は、まるで美しい銀河のように、かすかな星の光を瞬かせている。


一方で、【湮滅異構体】の体表は生命の気配をまったく感じさせない黒に近く、そのうえ、トレイズの瘴気でさえ比べものにならないほどの瘴気を漏らしていた。


それに……


奴らは俺たちを標的にするどころか、むしろ俺たちと【湮滅異構体】の間に立ちはだかり、俺たちを守っている。


突然現れたその怪物たちを見て、トレイズは茫然と俺たちを一瞥し、また怪物の群れへ視線を戻した。


目の前に突然、怪物の群れが現れたせいで、俺たちは全員その場で固まってしまった。


いったいどっちが味方で、どっちが敵なんだ!?


頼む。


まさか全部敵だなんて、言わないでくれよ?


唯さん?


頼むから、次にどうすればいいのか早く教えてくれ……


「ようやく見つけたぞ、ヴァリエン(裏切り者)!!!」


「な……!?」


トレイズの背後に、淡い青色の転移門が現れた。


全身が広大な銀河のように微かな光を瞬かせる人型の怪物が、門の中から飛び出し、そのままトレイズへ襲いかかる。


その怪物は腕を一気に伸ばし、鋭い刃へと変形させると、トレイズへ致命的な横薙ぎを放った。


突如として放たれた必殺の一撃に、トレイズはすぐさま幽青色の炎をまとった長槍を引き抜き、どうにかその一撃を受け止める。


「ぐっ!?貴様はいったい何者なんだ!?」


「この名をその頭に刻め、罪人。我が名はフロシア……」


その腕が再び変形し、鎌となってトレイズの喉元へ振るわれた。


トレイズは長槍でどうにかその一撃を受け止めると、すぐさま人型の怪物から距離を取る。


初めてだった。


トレイズはその攻撃に、骨の髄まで染み込むような圧迫感を覚え、思わず全身に冷や汗を浮かべていた。


「そして、我が主イソリオンの唯一の使い魔だ!」


鎌が通り過ぎた場所には、まるで空間そのものを引き裂いたかのように、虚無の星空が現れていた。


「イソリオンの使い魔?ああ、思い出した!まさか……貴様、あの小さな星空スライムか?はははは、本当に?原初魔獣のくせに、人の言葉まで覚えたのか?」


「まずは自分の命の心配をすることだな!ご主人様、ママ、エリシア……一応、ラミリスも数えておこう。お前はあまりにも多くの者を死に追いやってきた。その罪、今こそ償ってもらう!」


フロシアは唯さん、魔王リリカ、フローラさん、そしてラミリスを順番に見つめた。


その一瞬だけ、彼女の視線に滲んでいた殺意がわずかに薄れ、この上なく優しいものへと変わる。


けれど、彼女が再びトレイズへ視線を戻した時、その優しさはまた、骨の髄まで凍りつくような憎悪に塗り替えられていた。


「はっ!最弱で最も役立たずだった原初魔獣ごときが、俺に何ができるっていうんだ?現実を見ろよ、下等生物!」


「——————……ッ!!!」


フロシアは理性を失ったかのように、トレイズへ向けて人ならざる咆哮を上げると、再び翼と爪を変化させて襲いかかった。


トレイズも負けじと、幽青色の炎をまとった長槍を振るい、さらに他の【神器】を繰り出しながら、フロシアと激突した。


     ◇


【創造派生体】は、目の前にいる同類らしき【湮滅異構体】に噛みつき、俺たち全員を群れの中心で守ってくれていた。


そのおかげで、俺たちは今こうして、混乱しきったこの戦場を観察するだけの余裕を得られている。


「……」


唯さんは、目の前で全力で戦っているフロシアを見つめ、思わず考え込んでいた。


「唯さん、彼女は……?」


「あの方こそが創造主だ。だが……あの方があそこまで怒っている姿を見るのは、俺も初めてだ」


「むしろ、あいつが怒りで我を忘れることなんてあるの?私の知っている冷静な創造主とは全然違うんだけど……それに、あいつに名前があったことの方が驚きだわ!私はあいつとあれだけ長く付き合ってきたのに、真名なんて一度も教えてもらったことがないのよ」


ラミリスもその声を聞いて俺たちの近くへ寄ってきて、俺たちと一緒に、創造主とトレイズ(ヴァリエン)の決闘を見つめた。


創造主の一撃一撃が、大地を揺るがし、空を引き裂く。


その威力は、ラミリスが全力で戦っていた時の力さえ、はるかに凌駕していた。


「そうだ。さっき一体の【創造派生体】が、これを口にくわえて私に渡してきたのよ」


ラミリスは異次元から一本の茶色い鹿の角を取り出し、どこか緊張した様子で俺たちの前へ差し出した。


「ラミ、これは何なんだ?」


「ど……どうやら、【イデンナの角】っていう【神器】みたいなのよ……」


「「……」」


「二人とも、そんな目で私を見ないでよ。私だって呆然としてるんだから。あいつ、まるでどこかの青い猫型ロボットみたいに、ひょいっととんでもないものを取り出して、そのまま私に押しつけてきたのよ……」


もしかして、過去のどこかの時代では、こういう【神器】は卸売りで量産されていた道具だったのか?


まさか、こんな近い距離でそういうものを観察できるなんて……


「あの方は、君にその角を使わせたいんだろうな。どんな効果があるんだ?」


「『解析』……周囲にいる者の傷と体力を回復できるみたい。それから、えっと……豊穣の祝福みたいな効果もあるのかしら?どの程度まで回復させられるのかは分からないけど。だから……使う?それとも使わない?」


「……あの方が俺たちに託してくれたものなら、ありがたく使わせてもらおう」


唯さんは苦い顔でしばらく考え込んだ後、それでもラミリスに【イデンナの角】を使わせることに決めた。


「はいよ。じゃあ、この場にいる皆を対象にして、そのまま魔力を流し込んで……うわあっ!!!」


【イデンナの角】が、眩しくも温かな強い光を放ち、俺たち三人は慌てて手で目を庇った。


その直後、身体の奥から無限の力が湧き上がってくるような感覚がした。


同時に、長時間の戦闘で溜まっていた疲労感までもが、一瞬で跡形もなく吹き飛んでいく。


「ふああ……よく寝たぁ。身体が軽い!えっ?まだ終わってないの!?」


目を覚ましたのは、疲れ果てて眠っていたリンだけじゃなかった。


さっき【ナフィラの毒】で倒れていた者たちも、次々と起き上がっていく。


「うわああああ!俺の腕が生えてる!?」


さらに驚くべきことに、腐敗によって千切れ落ちていたカズの両腕までもが、奇跡のように元通りになっていた。


そのあまりの光景に、カズは思わず悲鳴を上げてしまった。


「うわ……これ……本当に?」


「ラミリス、それはいったい何なんですか!?いくらなんでもすごすぎますよ?このままだと、私の【聖女】キャラがその角に完全に食われちゃうじゃないですか!」


フローラさんが冗談めかしてラミリスに文句を言うと、他の皆もその声につられて集まってきた。


「その角……ちょっとヤバすぎない!?」


ちょっとどころじゃないだろ、リヤ?


フローラさんの『上級治癒』と『復元』は、ある程度の体力を回復させたり、傷を完全に治したりすることしかできない。


それなのに……


それは、疲れ果てて気を失っていたリンを、そのまま全快させてしまった。


現代医療の分野で考えれば、それこそ正真正銘の医療の奇跡だ……


「話はひとまず置いておきましょう、皆さん。戦闘はまだ終わっていません。気を緩めないでください」


「そうは言ってもさ……ナセフィン、アタシたち、今さら何ができるの?」


星野は困ったように空を指さし、どう手を貸せばいいのかまったく分からない様子だった。


片方は、あらゆる【神器】を使い、全身に瘴気をまとって戦うトレイズ。


もう片方は、腕を軽く振るうだけで大地を引き裂く創造主……


二人の戦いは、あまりにも規模が大きすぎる。


俺たちのような普通の人間が無理に介入すれば、間違いなく戦闘の余波に巻き込まれてしまう。


「……まずは、あの【湮滅異構体】たちを倒すことから始めましょう。数を減らせれば、多少なりとも創造主の助けになるはずです」


「そうだな。少なくとも、あの戦いに直接介入するよりは、生き残れる可能性が高そうだ……」


ナセフィンの号令を受け、俺たちはすぐに動き出し、戦場にいる【湮滅異構体】たちの掃討へ向かった。


ああ、そうだ。


頼むぞ、リン。


ここからは引き続き残業をよろしくな?


ほら、そんな恨めしそうな目で見ないでくれよ……

【設定や用語の概要】

——————————

【湮滅異構体】

多種多様な形態を持つ、黒い宇宙の怪物。

身体構造はいずれも生命体の猟殺に特化した無機質生命体(仮)であり、全身から濃密な瘴気を放つ。

宇宙に存在するあらゆる生命体にとって最も致命的な存在であり、文明が一定の段階まで発展すると、突如としてその星に現れ、文明そのものを抹消する癌細胞(Cancer)のような存在。


【創造派生体】

創造主によって創り出された、使い魔や助手に近い怪物。

外見は【湮滅異構体】とほとんど変わらないが、その体表は銀河のように光り輝いている。

「もっと……もっと効率よくしなければ。

私単独では、すべての世界を守ることなんてできない。

もしご主人様が本当に無事に転生できたとしても、その星が【■■■■■】に目をつけられてしまったら……

私は……

これ以上、考えるのが怖い。

もしまたご主人様を失うことになったら、私は……私は……

……

そんなことを起こさせないためにも、せいぜい利用させてもらうぞ――お前たち癌細胞を」


【イデンナの角】

原初時代に自然と豊穣を司っていた神の頭に生えていた、鹿角のうちの一本。

その内部には尽きることのない膨大な生命力が宿っており、豊穣をもたらし、活力を与え、傷を癒やすこともできる天然の【神器】。

「安心して、イデンナ。

ご主人様はもう、ナーシャを別の世界へ逃がしてくれた。

イソリオン様の死は、彼女の心にあまりにも深い傷を残してしまったけれど……

使徒たち……あのバンシーたちが、あなたの代わりに彼女を見守ってくれる。

だから……

あなたは先に、ゆっくり休んでいて。

もしこの世に本当に奇跡というものがあるのなら、きっと……

うん。

その時はどうか、あなたたちがもう一度、再会できますように。

慈愛深くて、優しくて……

誰よりも皆を愛していたイデンナ姉さん」

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