3話 旅立ち
「石」について話そう。無論、ただの石についてではない。我々の魔法の使用を助けてくれる性質を持つ特別な石だ。石を通ずることでで所持者の能力を引き出してくれる性質を持つ。私はその石に紋章石と名付けた。だが、世界に紋章石の数は少ない。そのために、効果は落ちるものの紋章石あるいはそれの砕けたものから晶石が作られるようになった。そして、これにより魔法を扱うものの数が少しずつ増え、日常生活で魔法を使うものも珍しくはなくなった。
一方で、この書を読む君たちはすでに知っているだろうが石が引き出してくれる力は同じ等級であっても所持者の素質・能力などにより異なる。君たちが強くなるためには、適性がある石を各々使用することをお勧めする。
―マクスウェル魔法基礎論2章より抜粋―
「さて、準備は大丈夫ですか?そろそろ出発しますよ。」
「不安と緊張で心の準備がまだ十分にできてはないですけど出発には問題ありません。」
「なに、アダラトまではあなたも通ったことのある道ですし、あなたの実力なら道中で獣や暴漢に襲われようが何も心配になる必要はありませんよ。まずはアダラトの町ですね。日用品の買い出しにし町内の南側にしか行ったことはなかったでしょうけど、あの町の北側には闘技場がありまして、定期的に腕自慢の人が集まる武術大会が開かれるのですよ。知っていますか?」
「えぇ。買い物のときに噂で何度か聞いたことがあります。なんでも季節ごとに開かれる大会で特に夏の大会が規模が大きく周辺地域だけでなくアルベスタ王国中から参加者が集まってくるとかですね。」
「えぇ。そしてちょうどいいことに四日後開かれるようです。といっても、今は春ですから、夏ほど強い人が集まってくるわけではないのですけどね。そしてレイウェル。あなたにはその武術大会に出てもらいます。」
「私がですか?興味はありますが大丈夫なのでしょうか?」
「夏ならともかく春ですから特に不安はないでしょう。優秀な治癒魔法の使い手も用意しているようですし、やりすぎなければ問題ないでしょう。」
「やりすぎなければ?」
「えぇ。四日後開かれる大会ならあなたとまともに戦える人はそうはいないでしょうからね。優勝も問題はないでしょう。」
「はぁ。それがわかっているのでしたら私が出る意味はあるのでしょうか?」
「ありますよ。あなたが実際に戦うことで一般的な戦士の戦い方やレベルを知れる。優勝すれば賞金で旅の資金が得られる。さらに知名度が上がることで便利になることも増えるでしょう。まぁ知名度は上がっても便利なことだけでなく厄介ごともそれなりに来るので完全に良いこととは言えないのですけどね・・・」
「わかりました。師匠がそういうのでしたら参加してみます。やりすぎなければよいのですね?」
「えぇ。私があなたに課す条件は、1、相手にけがをさせない。2、暗器は使用しない。3、石の使用は昨日渡した6等級技晶石のみ。の三つですね。もし万が一あなたが負けそうな場合ではこの限りではないので自身の命を守ることを最優先してください。」
「わかりました。どこまでできるかわかりませんがやってみます。」
「えぇ。期待していますよ。さて、まずはアダラトの町へ行くことからですね。行きますよ。」
「はい。」
二人の慣れ親しんだ山奥の家を旅立ち、徒歩で一日半の距離にあるアダラトの町へと向かった。
「さて、無事にアダラトの町につきましたがもう昼下がりになりますし、まずは宿を探しましょうか。旅に出ている間はまず町に着いたら宿屋を探すことをお勧めします。なければ野宿をする場所か泊めてくれる民家を探すといいでしょう。お金を払えば泊めてくれる民家もありますし、倉庫や馬小屋などを貸してくれる人もいます。野営の準備をする手間が省けることと屋根や壁があるということは意外に大きいですからね。お金に余裕がないとき以外は渋らず借りるといいです。」
「なるほど。ひとまず今日は前に泊まった三日月亭で大丈夫でしょうか?」
「えぇ。行きましょうか。」
町に入り、以前泊まったことのある宿屋「三日月亭」へと向かう。
「いらっしゃい。久しぶりに見る顔だね。泊まりかい?」
40半ばに見える女将がはつらつと聞いてくる?
「えぇ。一部屋借りたいのですが、空いていますか?」
レイウェルが訪ねる。
「運がよかったね。あんたら二人で満室だね。三日後の武術大会があるからね、今の時期は人が多くなるのさ。武術大会目当ての観光かい?」
「いえ、この子に出場させようとおもいましてね。」
「あらあら、大丈夫かい?けがはしないように気を付けるんだよ?特にあんた、きれいな顔をしてるんだ、顔への傷はするんじゃないよ。」
「ははは、心配ありがとうございます。自分にできる限りでかんばりますよ。」
「そうかい。まぁ結果を楽しみにしとくよ。さて、手続きをしないとね。何日とまって行くんだい?」
「とりあえず4日から7日くらいの予定でお願いします。」
「あいよ、ならとりあえず二人一部屋4日分を前金で銀貨1枚と小銀貨6枚だね。小銀貨16枚でもいいよ」
「では銀貨と小銀貨で。」
「毎度あり。じゃあこれ鍵。部屋は2回の左奥だよ。203号室。飯が食いたくなったらそこの食堂その都度かいな。」
「はい。ありがとうございます。では、短い間ですがよろしくお願いしますね。」
二人は部屋に入り、荷物を置いた。
※補足説明
主人公現在地
アルベスタ王国 アダラトの町
人口4000人ほど。砂糖の生産・季節ごとに行われる武術大会が有名。
貨幣について
アルベスタ王国及び周辺国では金銀銅貨及びそれらの小貨が主に流通している設定です。一番価値の低い小銅貨が10円程度の価値。10枚で上の貨幣と同価値であり、小銅貨(10円)→銅貨(100円)→小銀貨(1000円)→銀貨(1万円)→小金貨(10万円)→金貨(100万円)となっています。
なお、貨幣の価値は目安であり、作中で多少増減があります。




