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勇者:????(仮)  作者: ちきん
第二章
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【番外編】 嵐の王様ゲーム2

三、四日後とは何だったのか……。

本当に申し訳ありませんでした!

「――栄えある第四代王はっ!この俺だーーーーーっ!!」


引いた割り箸を宙へ回転させるように投げ、それを再び掴んでその手を前へ突き出すラエン。いつも思うが、その無駄な動作は一体何なんだ……。後、うるさい。


「ふはは、さっきはヒアスに美味しい役を取られてしまったが、次は俺のターンだ!――王は1番の胸を揉む!」


「あっ、1番は僕だね」


「なん……だと……!主人公補正はハーレム要員にまで及ぶのか……!」


「でも、ある意味良かったんじゃない?ユーリア様に知られたらとんでもないことになっていただろうし」


「それもそうだな。よし、じゃあ俺はアクトの胸を揉みしだくぜ!」


「お手柔らかにお願いするよ」


……なんだこれ……?

まあ、とにかく、第四回目の王様ゲームは男が男の胸を揉むという一部の人を除いた得をしない絵面を見ることとなった。

なお、後日『胸を揉むならわたくしのにしてください』とユーリアがラエンの元へ押しかけていた。



「――また僕が王みたいだね」


五回目、またアクトが王のクジを引いた。こいつは先の件があるので油断ならない。…まあ、警戒したところでどうしようもないが。


「うーん、じゃあさっきの命令の口直しも含めて軽いものにしようか。3番と4番が三分間見つめ合う」


……警戒していた割には比較的軽いものが飛んできたな。今回は俺に当たらなかったし。


「3番は私です」


リーネが割り箸に書かれた『3』という数字を皆に見せる。このメンバーの中で一番安心できる。


「……4番は私です。はぁ、相手はお兄様が良かったです……」


遅れて番号を宣言したのはヒスイ。その顔は露骨に残念がっていた。

悪いが近親相姦はお断りだ。というか、兄妹であろうがなかろうがヒスイを恋愛対象に見ることは絶対にない。顔は結構好みだが、性格に難がある。俺はもっと大人しめの性格がいいんだ。


「あはは……」


ヒスイの言葉に乾いた笑い声を上げるリーネ。そいつの言うこと一々真に受けなくていいんだぞ?


「――それじゃあ二人共今から時間を計るよ。よーい、スタート!」


アクトの掛け声と共に見つめあう二人。

……少しばかり近くないか……?


「……こうして見ると、やっぱり二人はそっくりだね」


俺に向かって小さな声でこっそりとそう告げるアクト。

確かに、リーネとヒスイは似すぎているよな。顔、身長、髪型と色々とそっくりだ。まぁ、ヒスイにとっては嫌なことらしいけど。


「でも、ヒスイ嬢の胸はリーネ嬢に負けてるよな」


そこに、ラエンの横槍が入ってくる。しかもヒスイの気にしていることを、割と大きな声で。

当然、その言葉はヒスイの耳にも入ったようで、ヒスイの顔が引き攣っている。それでも、リーネから顔を逸らさないのは流石といったところか。……いや、むしろリーネのことを睨んでいないか?リーネも苦笑いを浮かべているし……。


「……おっ、二人共、三分経ったからもう終わりにしていいよ」


アクトが、手にしていた懐中時計を眺めてそう告げる。

……結構高そうな時計だ。やはり金持ちは違うな。…この馬鹿でかい屋敷を持っている俺が言えたことじゃないけど……。


「お兄様!お兄様は少し小ぶりの方が好きですよね!」


アクトの言葉を聞いた瞬間に、ヒスイが有無を言わせない雰囲気で詰め寄ってくる。どう考えても先程のラエンの発言のせいだろう。全く、毎度毎度余計なことを言ってくれるな。


「俺「の最近のムーブメントは足、しかも生足だ!だから、胸の大きさなんて関係ないさ」……」


俺の言葉に師匠が全然似ていない声真似を、さも俺が発言したかのように被せる。

まぁ、師匠が横槍を入れてくれたおかげで有耶無耶に――


「そうなのですかお兄様!じゃあこれからできるだけ丈の短いスカートをお兄様の前では穿きますね!」

「へぇ、そうなのか。俺はてっきりヒアスはおっぱい星人なんだと思ってた」

「そういえばヒアスってたまにサーシャさんのこと見てたよね。あれはこっそりとサーシャさんの足を見ていたからかぁ……」


――ああ、そうならないとは分かっていたさ。こういう時に絶対悪乗りする男共がいるからな。というかアクトは勝手に話を作るんじゃない!


「ヒアス!?あたしのことをそんな目で見ていたなんて……。言ってくれれば触らせてあげたのに」


おい話を拗らせた張本人。これ以上場を引っ掻き回すんじゃない。あといい歳して身体をくねらせるな。


「あーもう!さっさと再開するぞ!」


目の前にあったクジの入った筒を引ったくって、王様ゲームの続行を促す。

ここは一旦話を流すべきだ。というか、付き合っていたら俺がもたない。


『王様だ~れだっ!』


第一回目以来の全員での掛け声。


「フフ……ついに来たわ!あたしの時代が!」


げっ、このタイミングでよりによって師匠かよ。これは間違いなく一波乱あるな。


「そうね、何にしようかしら……」


チラ、とこちらに視線を向ける師匠。完全に俺を巻き込む気満々だ。だがしかし、今回は王様ゲーム。俺を特定して指名することはできない!


「じゃあ、3番がこの水飴を指で掬って5番の人に食べさせる。……はい、よろしくね、ヒアス」


「なっ……」


師匠が取り出した水飴が入っているであろう小瓶を手渡される。

何故俺が3番ということがバレたんだ……!?


「なんで番号を知っていたんだという顔ね。そんなの簡単なことよ。さっき戻したそれぞれのクジの場所を覚えていただけよ。王、3、4、そしてあたしがさっき引いた1番のクジをね。いやぁ、ヒアスがクジを混ぜずに差し出すもんだから、クジを把握しやすかったわ」


だから今回は一番初めにクジを引いたのか。自分が王のクジを引くために。

…なんでこんなことにまで本気出してんだよ……。はぁ、今回は俺の落度もあるし、いちゃもんをつけるのは止めにしておくか。まあ、いちゃもんをつけたところでどうなんだって話だけどな。


「分かったよ。……で、一体誰が5番なんだ?」


「私です!お兄様!!」


俺に今にでも飛びかかってきそうな勢いで答えるヒスイ。よりによってお前かよ……。

これもまたただじゃ済まないな。……まあ、たまにはヒスイに付き合ってやるのもいいかもな。こんなに嬉しそうな表情は滅多に見れないし。喜ぶ理由が少しアレだが。


「あ、水飴が空になるまでやれとは言わないけど、せめて半分になるくらいまではやってね。そうじゃないと面白くないし」


師匠が今思い出したかのように言う。

半分ね。この小瓶を見る限り半分とは言っても、二回、多くて三回やれば簡単に半分はいってしまうだろう。それくらい小さな小瓶だ。……高級品か何かか?だとしたら少し味わってみたい気もする。


「じゃあやるから口を開けてくれ」


ヒスイが俺の言う通りに口を開けたのを確認してから小瓶の蓋を開け、中に入っている水飴を指で掬い、垂れないように気を付けながらヒスイの開いた口の中へ入れる。


「んっ……」


ヒスイが口を閉じ、口内の俺の指を噛まないようにし、舌で水飴を舐め取る。

自分の指がどうなっているのかは見えないが、ヒスイの舌が執拗に絡み付いてくる。もうここまでされれば掬った水飴はもうないだろう。

一旦ヒスイの口内から指を出そうと手を引くが、その行為はヒスイの両手によって阻まれてしまった。


「……ヒスイ、手を離せ」


「ひあでふ」


俺の指を咥えたまま答えるヒスイ。その間も指を舐め続ける動作は忘れない。

……まあ、こうなることは大体予想がついていたがな。


「そう言わずに離せ。指がふやけるだろうが」


別に指がふやけるぐらいはどうでもいいが、このまま放置するわけにはいかない。ヒスイを調子付かせることにもなるし、何よりもまず外野がうるさい。


「………………」


無言で指を舐め続けるヒスイ。どうやら、人の願いを聞き入れる気は一切ないようだ。これは少々強引に行くしかないな。

咥えられている指を舌を押しのけるように動かし、その直後に指を奥へと突っ込む。その際、ヒスイの喉を傷つけないように細心の注意を払う。まあ、中がどうなっているのか分からない時点で注意を払ってもあまり意味がないように思えるが。


「んぉっ……!」


俺の指が奥に入ったことによってヒスイが嘔吐(エズ)く。その拍子に口が開き、掴んでいた手の力も緩んだので、その隙に右手を勢いよく引き抜く。

引き抜いた指を見ると、ヒスイの唾液が万遍なく付いており、照明に照らされて光っている。どうやらまだふやけるまでには至っていないようだ。


「……ケホ、お兄様、いきなり何するんですか……」


咳き込みながらこちらを睨んでくるヒスイ。睨むってことは相当苦しかったのか、あれ。


「お前が人の言うことを聞かないのが悪い」


「普段〇ェラさせてくれないんですから指〇ェラくらいしたっていいじゃないですか!」


「逆ギレすんなよ。というか、させたことないしこれからもさせることはねぇよ」


あとその単語は少しばかり危険だからあまり連呼しないでくれ。


「ではイm「はいこの話題しゅーりょー!」――むぐっ!?」


水飴を再び掬った指をヒスイの口内に入れ込んで半ば無理矢理黙らせる。

更に危ない単語をぶち込んでくんじゃねぇよ。あまりやり過ぎると伏字先輩でも対応しきれなくなるんだから。


「――で、次はどうする?時間的にはもういい時間だが……」


ヒスイに指を咥えさせつつ窓から外の様子を窺う。もうそろそろ日が落ちる時間だ。


「そうねー、あたしはもう十分楽しんだから終わりにするかどうかは他の人に委ねるわ」


お茶菓子を摘まみながら師匠が答える。そういや始める前に準備していたな。誰も手を付けなかったからすっかり存在を忘れていたけど。


「じゃあもう上がりでいいんでない?俺も十二分に遊んだしさ」


次いでラエンが答える。相変わらずの適当さが滲み出た返答だ。

ラエンがこう答えたってことは、アクトも無条件で終了賛成派だろう。


「そうですね。私もそろそろ御夕食の準備の手伝いをしにユナさんの所に向かうつもりでしたし……」


リーネが立ち上がり、軽く服装を整える。

ユナの手伝いをするのが最近のリーネの趣味らしい。なんでも勉強になることが多いんだと。……ユナに変なことを吹き込まれていないといいがな。


「じゃあ終わりだ終わり。というかヒスイはいつまで俺の指に食いついてんだ。いい加減離せ」


「ああっ――」


チュポン!と小気味いい音を立てて指が抜ける。

ヒスイが俺の指を名残惜しそうに見詰めてくる。どんだけ欲求不満なんだお前は……。

これからは今までよりも多く構ってやるか……?いや、そんなことをしても付け上がるだけだろうし、今まで通りでいいか。

そうして、嵐のような王様ゲームは終わりを告げた。できれば、もう二度とやりたくない。それが、王様ゲームを体験した感想だった。いや本当に。


「あれ?そういえば何か忘れていなかったっけ……?」


部屋を後にし、皆して廊下を歩いている時にふと頭を過る。


「さあ?俺が知るわけないだろう」


俺の独り言のような言葉に、ラエンが答える。

まっ、大切なことならばその内思い出すだろう。そんなことを思いながら、食堂へと歩みを進めたのであった。



「――はっ!……あれ?私は一体……?皆は?ていうか暗い!」


照明が消された暗い部屋の中に、一人の少女の言葉が木霊したのであった……。

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