タイトル未定2026/07/20 20:40
仕事を終え、マンションに帰ったマスターは大門と晩御飯を食べた後、日課の一キロ弱の道のりのジョギングをしていた。
日中は動くと少し汗ばむ気候だったが、日が落ちると気温がグッと下がり寒さを感じる。
寒さにジョギングを躊躇してしまいそうになるが、走っていれば体温が上がりマンションに着く頃には、暑いくらいだった。
ジョギングを終えマンションに戻り、大門マスターの順番で風呂に入った。
マスターが風呂から上がり、リビングに入ると、ソファーに座っていた大門が待ち構えていたように、マスターにプリントを渡した。
大門からプリントを手渡されたマスターは、プリントの文字を目で追いながら言った。
「来月、修学旅行なんですね」
「テーマパークに行くんだ。班で自由行動をするから、何に乗るか決めているんだ」
「何に、乗るんですか?」
「それが……女子に丸投げしちゃった」
マスターは、呆れて笑ってしまった。
「班は、何人ですか?」
「男子は僕と游太君。女子は三人。五人の班で行くんだよ」
「游太君と同じ班で、良かったですね」
「うん!だからさ、当日まひろちゃんに、『抜けるよ』ってこっそり言ってから、游太君と一緒に女子と別行動をするんだ」
「まひろちゃん……?」
「同じ班の女子。背が高くて、勉強スポーツ何でもできて、学級委員をやっているんだよ」
自分のことのように誇らしげに言う大門の言葉を、マスターは静かに聞いていた。
大門は、大きなあくびをした。
「あぁ……眠くなっちゃった。僕、寝るよ。おやすみなさい」
「おやすみ」
大門はリビングから、出て行った。
……まひろちゃんか。大門が、好きな女の子ですね。
マスターは、静かに微笑んだ。
手にしていたプリントを、マスターはもう一度目で追った。
マスターはリビングの壁に吊るしたカレンダーの十一月の日付に丸をして『大門修学旅行』と書いた。
修学旅行のプリントを、キッチンの冷蔵庫に磁石で貼り付け、寝室に向かった。
ベッドの枕元の上にある台の上に、充電器につながれた携帯をマスターは抜き取った。
昼間流花が送ったラインを、マスターは既に読んでいた。
忙しくて、返事をまだ送っていない。
もう一度、ラインに目を通す。
マスター『昨夜は、すみませんでした』
流花『ゆっくり、マスターと過ごしたいです』
流花が送ったラインを、マスターはしばらく眺めた。
……修学旅行……か。
マスターは文字を入力して、送信をした。
『来月、大門が修学旅行に行きます。ボク達も泊まりがけで、出かけませんか?』




