タイトル未定2026/07/20 20:54
宿屋に着き部屋に入ると部屋の明かりがついていて、畳の上には二組の布団が敷かれていた。
マスターと流花はどちらともなく顔を見合わせ、照れ笑いをした。
マスターは、流花を抱き寄せ長いキスをした。
マスターの唇は流花の耳元から首筋へ這うように動いた。
流花は小さく震えた両手で、マスターの肩を掴んだ。
「……マスター、待って……汗をかいているから、大浴場に行ってきます」
流花は慌ててマスターから離れ、大浴場に行く支度をすると、部屋から出て行った。
大浴場は思いのほか広くて、誰もいなかった。
流花は髪の毛と身体を洗い、広い湯船に浸かった。
貸し切り状態の湯船の中で、流花は天井を見上げた。
マスターと泊まりがけで出かけると言うことは、どう言うことなのかわかっていた。
マスターと一夜を共にする覚悟は既にできていた。
しかし、マスターに抱かれた流花は躊躇をした。
怖くなったとか、恥ずかしくなったわけではない。
マスターに溺れて行く自分が少しずつ見えてきて、とまどってしまった。
マスターの側に、ずっといたい。
でも、マスターに依存する生き方はしたくなかった
流花が部屋を出た後、マスターも大浴場に行った。
髪の毛と身体を洗い、湯船に浸かった。
……まだ、早かったかな。
やんわりと拒まれた流花にマスターは、少しだけ後悔をした。
浴室を出ると、持ってきたグレーのスウェットに着替えたマスターは、大浴場を出て部屋に戻った。
部屋に戻ったマスターは、布団の上で仰向けになった。
流花は、大浴場に行ったきりだった。
マスターは、布団の上で携帯を眺めた。
昼間海岸で、戸惑う流花に耳打ちをして『せ〜の』の掛け声とともにインカメで撮影をした写真を見て、マスターは笑いながら言葉にした。
「……バカだなぁ」
インカメで流花と一緒に撮った写真は、マスターと流花が不細工な顔をして撮った写真だった。
マスターは、一人海岸沿いで波と戯れる流花の写真を眺めていた。
仰向けの体制から起き上がり、布団の上であぐらをかいたマスターは、携帯を操作していた。
携帯を操作していると、大浴場から流花が帰ってきた。
流花の姿を見たマスターは、吹き出した。
「……なに?」
「同じような、スウェットだから」
マスターは、グレーのスウェット。
流花は、水色のスウェットを着ていた。
「本当だ」
小さく笑いながら流花は、使用済みのタオルを干したり、着ていた服をハンガーにかけた。
布団の上であぐらをかいていたマスターは、やっと落ち着いた流花を呼んだ。
「おいで」
マスターに呼ばれた流花はマスターの側に行った。
マスターの側で膝をついた流花の手をマスターは自分の方へ引き寄せ、あぐらをかいていた足元に流花を座らせた。
マスターは流花の背後から手をまわし、流花の手に自分の携帯を持たせると、背後から流花を抱きしめ一緒に携帯の画面をのぞき込んだ。
「うわぁ~私、凄いブスぅ〜」
流花は、声を上げて笑った。
流花が手にしていた携帯をマスターは取り、携帯をホーム画面に戻し布団の上に置いた。
膝の上に流花を乗せたマスターは、流花を自分の方へ向き合わせた。
マスターは、流花の顔を両手で挟んだ。
「一緒に不細工な顔をしたのに、マスターの顔は、何処か可愛いくてズルい」
マスターは、自分の額を流花の額にあてた。
「ズルいって……流花の不細工な顔、可愛いよ」
「マスター、全然褒め言葉になっていません」
流花の言葉に笑ったマスターは、流花の額から頬にかけて口づけをした。
布団の上に流花をそっと仰向けに倒して、流花が逃げ出さないように、マスターは流花の両手をしっかり握りしめた。
流花の上に上に覆いかぶさると、流花を抱きしめてキスをした。




