タイトル未定2026/07/20 20:51
抱きしめていた流花をゆっくり離したマスターは、流花をじっとみつめた。
「今日は、少し変ですよ」
マスターにじっとみつめられ、全てを見抜かれていると感じていた流花だった。
「ずっとマスターの側にいるんだよ。夫婦と間違えられたし、変にもなるよ」
流花の言葉に、マスターは笑った。
「流花、初めて出会った日のこと覚えていますか?」
流花は、じっとマスターをみつめた。
「ボクはずっと流花を見ていたのに、流花はボクに無関心でした。今でも覚えています。『あの……私の顔に、何かついていますか?』って、流花は言ったんですよ」
「だって……そう思ったから。マスターそんなこと、よく覚えていますね」
「覚えていますよ。あれは、ショックでしたから」
当時のことを思い出したマスターは、沈みがちに言った。
そんなマスターを励ますように、流花は言った。
「初めて出会った日のこと、覚えているよ」
「そうなんですか!」
マスターは、手のひらを返したように声を上げた。
「マスターはカウンターの中にいて、黒いベストに、黒いネクタイをしていて……」
「いつもの格好じゃあ、ないですか」
マスターは、呆れて言った。
「スイがマスターのことが好きだったから、素っ気ない態度をとっていたけど……」
「けど?」
「ほんとはね……。初めて見る、バーテンダー姿のマスターにドキドキした。あまりにも衝撃的だったから、私の中ではいつまでも『マスター』なんだ」
マスターは、笑顔になった。
「本当に、素直じゃないですね」
「マスターもでしょ。スイに、barに連れて行ってもらえたから、マスターと出会うことが出来た。スイに感謝しなくちゃ」
マスターは流花の額に、そっとキスをした。




