タイトル未定2026/07/20 20:45
たきこが帰っていき、マスターはカウンターの中で、売り上げの計算をしていた。
流花は、ホールの掃除をしていた。
計算が終わった、マスターは奥の部屋で仕事着から私服に着替え、店内に戻った。
マスターが店内に戻ると入れ違いに、流花が奥の部屋に行った。
マスターはカウンターの冷蔵ケースからビールを取り出した。
ビールをカウンターの上に置くと、グラス二つを持って、客が座るカウンター席に座った。
グラスにビールを注いでいると、私服に着替えた流花が来た。
マスターは流花に向かって、ビールを注いだグラスを軽く持ち上げた。
流花はハンドバックを椅子の上に置くとマスターの隣に座り、ビールを飲んだ。
流花は、思い出したように言った。
「彼女募集中」
ふいに言った流花の言葉に、マスターは笑いながら言った。
「流花に、立候補します」
声を上げて笑う流花に、マスターは軽くキスをした。
マスターは手を伸ばし、流花の唇にそっと触れながら言った。
「今度の週末、何処に行きたいですか?」
「静かな所で、マスターとゆっくり過ごしたいです」
「良いですね」
「私、場所を探してみます」
マスターは流花を抱き寄せ、何度も唇を重ね合った。
唇を離すと流花は、隣の椅子に置いたハンドバックから携帯を取り出した。
携帯に入っていた一枚の画像を、マスターに見せた。
マスターは流花の携帯を受け取り、画像に釘付けになった。
「私の両親と、真ん中が私」
「えっ、真ん中のぶさ……」
マスターは、慌てて言うのをやめた。
マスターが何を言おうとしたのか察した流花は、マスターが言おうとした言葉を引き継いだ。
「真ん中の、不細工な子供が私」
思わずマスターは「ヤバっ!」と言う顔をして、流花は声を上げて笑った。
マスターはもう一度画像をじっくり見て、静かに言った。
「流花のご両親、初めて見ました。お父さん、やさしそうな方ですね。お母さんはキツい顔立ちですが、綺麗な方ですね」
「私が幼い頃に、両親は離婚をしたから、父親のこと全く知らなくて」
「この写真は?」
「母親が、唯一持っていた写真」
マスターは手にしていた流花の携帯をカウンターに置いた。
流花を抱き寄せ、流花の耳元でそっと言った。
「ボクは、流花を絶対離しません。週末、二人きりで過ごしましょう」
マスターに抱かれながら、流花は大きく頷いた。




