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第二話 少女アリア

 外に出たリリィは、ある森の中にいた。


「‥‥‥ここ、どこ?」


 完全に迷子である。

 噓でしょ!?私さっきまで街にいたはずなのに‥‥‥どういうこと!?

 それはリリィの天性の不幸属性のせいだった。ライラといた時からリリィは二日に一回は別の人の使い魔からいじめられ、方向音痴すぎて一人で出かけたが最後。一生戻ってこれないのだ。


「ま、いつか出られるでしょ」


 そいうえば‥‥‥どうしたら魔力は戻るのかしら。あーあ、これも全部人間のせい‥‥‥。

 人間を憎む気持ちがどんどん増えてく。リリィは人間不信になりかけていた。


「ふんふふ~んっ」


 どこからか鼻歌が聞こえて来た。

 女の子?どこから‥‥‥?ちょっと行ってみようかしら。そう思いながらリリィは歌声とは逆方向に向かって行った。



「また迷子になったわ‥‥‥」


 この森にいると、あることを思い出す。

 ‥‥‥昔、森の中に使い魔の集落があった時、私は上手く魔法が使えなくて、周りの使い魔からもバカにされていた。それが嫌で集落から逃げ出して、結果的にライラに拾われることになったんだけどね。

 モヤモヤが心に溜まっていく。良く分からない感情‥‥‥。何か‥‥身体が言うことを聞かない。


 ———負の感情を溜めすぎてはダメよ。暴走してしまうから


 いつかのライラの言葉が脳によぎった。段々と意識がなくなる。

 あぁ、思い出した。暴走した使い魔を人々はこう呼ぶ‥‥‥『堕ち魔』と。



「ふーんふんふん♪」


 少女が鼻歌を歌いながら、草むらを駆け回っていた。


「ふんふ―――‥‥あら?もうお日様が西にいるわ。早く帰らないと、また―――‥‥」


 フゥーッ、フゥーッ

 どこからか、荒い息づかいが聞こえてきた。


「何かケガをしてる子がいるのかしら」


 少女は聞こえてきた方向に向かっていった。


「―――!」


 そこで見つけたのは、黒い猫だった。

 

「ニャアアアアアアッッ」


 少女と目が合うと、黒猫は飛びかかってきた。


「ひゃあっ」


 バンッ

 音と共に黒猫は吹っ飛んだ。そのまま転がり、気絶してしまった。

 

「あわわ、やってしまったわ」


 少女は驚きのあまり、黒猫にビンタをしていたのだった。



 ―――お前は弱いんだから言うことくらい聞けよ!


 反抗したら、殴られた。


 ―――私達のために的になってよ。そのくらいしかアンタに出来ることはないんだから


 断ったら鞭で叩かれた。

 痛い、やだ。助けて、誰か‥‥誰か!


「‥‥‥‥‥ッ」


 目を覚ますと、見知らぬ部屋にいた。あれ、私‥‥‥確か堕ち魔になって‥‥

 訳が分からず辺りを見回していると


「あら、目を覚ましたのね!」


 さっきの少女の声が聞こえた。


「叩いて気絶させてごめんね。んふふ、そんなに警戒しなくても良いのに」


 毛を逆立てて唸っていた私は、相手に敵意がないのが分かると、唸るのをやめた。

 叩く?そういえば、何かに吹き飛ばされた気が‥‥‥。

 シレッと恐ろしいことを言う少女は、ボサボサの黒髪だった。


「そう言えば!あなた白猫だったのね!始めに見た時は黒猫だったから、ビックリしたのよ」


 黒猫‥‥‥?まさか堕ち魔の時、黒かったの?


「大丈夫なら、あなたの飼い主を見つけなくちゃ―――」

「アリア!!」


 突如ドアが開かれたと思ったら、女の子が入ってきた。

 アリア?この子の名前かしら。あとこの人は年齢的に姉か妹?それにしては何か雰囲気が‥‥‥


「お前はまた約束を破ったわね!帰ったら必ず家中の掃除をしろと言ったでしょ!」

「そ、そんな事、言われてな———」

「うるさい!お仕置きだ。とっとと来い!!」


 どこから出てきたのか、使用人だと思われる人達がズルズルと少女を引っ張って行った。でも、約束を破ったのだから仕方ない‥‥でもあの子はそんな約束もしてないって‥‥‥でも家庭で色々よね‥‥‥。


「‥‥‥あら、何かしらこの汚い猫は。まさかアリアのペット?‥‥‥アハハハハ!白猫と言ったら不吉の象徴じゃない!あいつにピッタリね!」


 笑う女の人の服装は、少女とは違う‥‥豪華に宝石を盛り付けたドレスだ。こんなにも違うことがあるのね。

 それにしても‥‥今の時代は白猫は不吉なのね。昔は白猫は幸運の象徴だったのに‥‥‥。


「‥‥‥無視しないでもらえる?最悪。この猫何なの?さすがあいつのペットだわー‥‥‥あ!そうだ!んふふ、これであいつも泣くわよね!」


 そう言うなり、私の首元を掴んでどこかに連れていかれた。


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