第64話 巨人の肩の上で
食堂やまもとの決起集会があった翌日。俺と夏樹は、いつものように森岡高校へ向かっていた。毎日見ても変わらない校門までの長い上り坂を前に、俺は朝から軽く絶望している。一方、隣を歩く夏樹は鼻歌でも歌い出しそうなくらい軽い足取りで坂を上っていく。
……何なんだこいつ。同じ人間とは思えん。
「創ちゃん、遅いよ?」
「坂が悪い」
「坂のせい?」
「全部坂のせいだ」
俺が真面目に答えると、夏樹は楽しそうに笑った。
「創ちゃん、読書時間削って坂を登る特訓をしなきゃならないんじゃない?」
「特訓するくらいなら毎日エスカレーター設置を要求する」
「学校なのに?」
「学校だからだ」
そんなくだらないことを言いながら歩いていると、すれ違う生徒たちが次々と夏樹へ声を掛けていく。
「おはよう! 広瀬さん!」
「おはよう!」
「夏樹、おはよー!」
「おはよう! 今日も頑張ろうね!」
男子も女子も関係なく笑顔で話しかける。夏樹はその全員に笑顔で返事をし、しかも一人一人ちゃんと名前を呼んでいた。
「おはよう、佐藤さん!」
「木村君、おはよう!」
「昨日ありがとうね、中村さん!」
……よく覚えてるな。
俺なんか、話したことがあるかどうかすら怪しい。女子はほとんど名前で呼び合い、男子は少し緊張した様子で「広瀬さん」と挨拶している。それでも夏樹は分け隔てなく笑顔を向け、ちゃんと相手の名前を呼んで返す。
名前を呼ばれた男子はみんな、何とも言えない幸せそうな顔になっていた。中には「今日一日頑張れる……」みたいな顔をしている奴までいる。
……天に召されそうな顔って、本当にあるんだな。
学校一の美少女なんて言われながら、妬みや嫌味とは無縁なのは、こういうところなんだろう。
見た目だけじゃない。人との接し方そのものが自然なんだ。
「創ちゃん?」
気付けば夏樹が俺の顔を覗き込んでいた。
「どうかした? さっきからジロジロ見て。どっか寝癖付いてる?」
「いや? 寝癖は大丈夫だ。それに見てない」
「嘘だ! 見てたよ? また何かどうでもいいこと考えてたんでしょ?」
「何で俺の考え事はどうでもいいことなんだ! 世界平和について考えてるかもしれないじゃないか!」
「創ちゃんがそんなこと考えるわけないじゃない。創ちゃんは手の届かないことまではしないよ。その代わり、手の届く範囲なら――」
「広瀬さん!」
言葉は途中で遮られた。声のした方を見ると、西海と川村がこちらへ歩いてくる。そういえば少し前、この二人が揉めていたような気がする。
……まぁ、仲直りしたんだろう。興味もないので、それ以上考えるのはやめた。
「おはよう。相変わらず今日も綺麗だね」
西海が爽やかな笑顔を浮かべる。
「おはよう、西海君、川村君。お世辞はいいよ! そんなことないから」
「そんなことあるよ。朝から広瀬さんと話せるなんて今日はついてる」
……どんな会話だよ。昭和の恋愛ドラマか。
「そろそろ定期試験だけど、勉強は捗ってる?」
「あー……そうだったね。まだ本腰は入れてないけど、毎日授業の復習くらいかな?」
「そうなんだ! 前回のテストも広瀬さんは成績良かったよね? 俺より順位は上だったんじゃない?」
「どうだったかな? 毎回自分のことで精一杯だから、他の人の順位はあんまり覚えてないよ」
「いや、確か俺より上だったよ。広瀬さんが七位で、俺が八位。その前は六位と九位、その前は九位と十一位だったかな」
……そんなことよく覚えてんな。
「そ、そうなんだね! よく覚えてるね?」
「そりゃそうだよ。俺、頑張ってるからね」
「か、川村君は?」
「……僕はそこまで成績がいい方じゃないからね。時々ランキングに入る程度さ」
「意外だろ? こいつ文武両道のイメージだけど、勉強はそうでもないんだ」
「そんなことないと思うよ。みんな得意不得意があるだけだし。それに私の場合は環境が特殊だからね」
「環境が特殊?」
「あ……ううん! 気にしないで!」
慌てて誤魔化す夏樹。特殊な環境というのは、試験前になるとうちへ入り浸ることだろう。こいつは理系で分からないところがあると、俺が読書していようが何だろうが関係ない。分かるまで質問攻めだ。特に数学。あれだけは勘弁してほしい。
「どうせ、山神に教えてもらってるんでしょ?」
聞き慣れた声が飛んできた。振り返ると柴田さんと山本さんが歩いてくる。
「あ! 直美! 萌! おはよう!」
「おはようございますです! 夏樹ちゃん!」
「おはよう。ついでに山神もおはよう」
「おはよう。俺はついでかよ」
「山神君! おはようございますです!」
「山本さん、おはよう。今日も元気だな」
俺も自然と笑顔で返す。すると夏樹と柴田さんが同時に怪訝そうな顔をした。
何だよ。笑っちゃ悪いのか。
「うぉ! 山神君が笑った! 珍しいですね! 今日は季節外れの雪ですね!」
山本さんまで失礼だった。
「あのなぁ……俺だって笑うくらいするわ!」
「そうでもないよ? 創ちゃん、いつも能面みたいな顔してるし」
「そうね。ポーカーフェイスのつもりかもしれないけど、『興味ありません』って顔に書いてある時点でポーカーフェイスじゃないもの」
「好き勝手言いやがる……。ポーカーフェイスのつもりじゃないわい!」
「興味ないですって顔してるのは否定しないんですね。コミュ障拗らせてますね〜」
「俺はコミュ障じゃない! ……と思う」
「興味がないことには一切見向きもしないんだから、コミュニケーションに問題がないと言い切ることはできないわね」
「……だから言い切ってないだろう」
柴田さん、最近遠慮というものを完全に置いてきた気がする。
「あ、西海君、川村君、おはようございます」
「山本さん、柴田さん、おはよう。今日も相変わらずかわいいね」
「あ……ありがとうございます」
「容姿に対して何かを言うのはセクハラよ。今後一切やめてほしいわ」
山本さんは突然褒められて戸惑い、柴田さんは露骨に眉をひそめる。
「そんなこと言うなよ。同級生だろ? 褒めたんだから喜んでよ」
「無理よ。訴えないと言っているだけありがたいと思ってほしいわ。今回は厳重注意で許してあげるけど、次はないわ」
「厳しいなぁ。俺は普通だけど、川村が言ったら変わるんだろ? どうせ見た目がいい奴に褒められるのは嬉しいもんなんだろ? ほら、川村も褒めてやれよ」
「ちょ……そんな言い方」
夏樹が何か言おうとした瞬間。
「相手にしちゃ駄目よ、夏樹」
柴田さんが静かに制した。
「見た目だけで人を判断するのは、人として何かが欠落しているわ。山神を見習うといいわ。見てくれは悪くても、少しでも話した人は彼を信用するもの」
「ちょぉぉぉぉい!」
思わぬ流れ弾が飛んできた。
「誰の見てくれが悪いって?」
「確かに……創ちゃん、見た目には全然気を使ってないもんね。朝の準備もすごく早いし」
「朝の準備?」
西海がそこだけ反応する。
「あ、う、うん! 家が隣だから時々一緒に登校するんだけど、いつも準備が早いんだよ!」
「確かに、山神を見た感じ時間は掛けてなさそうね」
「そうですね。山神君、髪もボサボサですし服もヨレヨレです。もう少し見た目に気を使った方がいいですよ?」
「お前らなぁ……」
俺はため息をつく。
「実際、自分が思ってるほど他人は自分を見てないんだよ。心理学では『スポットライト効果』って呼ばれてる。人は『みんな自分を見ている』と思い込みがちだけど、実際にはそこまで注目されてないっていう研究結果がある。だから俺は、その分の時間を他のことに使ってるだけだ」
「創ちゃん、それも本からの受け売り?」
「そうだよ。だいぶ前に読んだ本に書いてあった。俺は取り込んだ知識で、すぐ実践できるものはなるべく試すようにしてるんだ」
胸を張って答える。すると、西海が小さく笑った。
「所詮は本の知識だろう?」
その笑みには、どこか嘲るような色が混じっていた。
「過去の人間が書いたものじゃないか。そんな過去の遺物を取り入れたところで、今を生きている俺たちより前へ進めるものじゃない。そんなことをやっているなんて、ナンセンスだよ」
「それは、つまりどういうことだ? 今を生きている人間からすると、過去に書かれたものには価値がないってことか?」
俺がそう聞くと、西海は待ってましたと言わんばかりに口角を上げた。
「その通りだ。俺はいつも未来を見ているんだよ。過去にとらわれても仕方がないじゃないか。テクノロジーが進化して、AIの開発もどんどん進んでる。そんな時代に、AIもスマホもなかった頃の知識を取り入れても無駄だろ?」
「でも、山神君の本の知識に助けられたことも沢山ありますよ?」
山本さんがすぐに俺をかばう。
……いや。表情を見る限り、本気でそう思ったから言っただけだな。
「どんな内容だったかは知らないけどさ。俺に聞いてくれても解決できたと思うぜ? 今はAIに聞けば大体のことは一発でわかるんだから。本の知識なんて、もうナンセンスだよ」
「AIって便利だよなぁ」
思わず素直な感想が漏れた。
「ちょっと! 山神!納得してないで言い返しなさいよ! あなたの今までの生き方を否定されてるのよ?」
柴田さんが俺を睨む。俺は頭を掻いた。
「いや……。別に否定されたからって、何とも思わないし」
「はぁ?」
柴田さんだけじゃなく、夏樹まで呆れた顔になる。
「だって、人はみんな違う考え方を持ってるだろ?昔読んだアドラー心理学の本にも似たようなことが書いてあったんだ。人は『自分の課題』と『他人の課題』を分けて考えろって。つまり、『課題の分離』だ」
俺は苦笑いしながら説明する。
「課題の分離?」
柴田さんが小さく呟く。
「そう。それぞれの人生は、それぞれ本人が選ぶものなんだ。俺が本を読むかどうかは俺の課題。西海がAIを使って生きるのも西海の課題。相手の生き方を無理やり変えようとしたり、評価に振り回されたりする必要はないって考え方だ。だから、西海が俺をどう思おうと自由だし、それで俺が本を読むのをやめる理由にはならない」
俺は肩をすくめた。
「……」
西海は一瞬だけ黙り込んだ。
「考え方は人それぞれだよな。俺は別に西海の考え方を否定しようとは思ってないぞ。そういう生き方を選んだなら、それを誇ればいい。ただ、西海に言われたからって俺が本を読むことをやめることはない」
「ふん。ま、そうやって過去の遺物にすがっていればいいさ。俺は最先端のテクノロジーを使って未来を向いていくぜ」
西海は俺の考えを鼻で笑う。西海にどう思われようがどうでもいいけど。
「誰への何のための宣言よ……」
柴田さんがぼそっと呟く。その一言が妙にツボにはまりそうになったが、何とか耐えた。
「でも。私は創ちゃんの考え方の方が好きだよ」
全員の視線が夏樹へ向く。少し俯きながら、それでも真っ直ぐ言葉を紡いでいた。
「前に創ちゃんが教えてくれたんだ。『巨人の肩の上に立つ』っていう有名な言葉があるって」
「きょじんの……うえにたつ?」
山本さんの語彙力が急激に低下した。ことわざや歴史上の人物が出てくると毎回こうなる。処理能力が追いつかないらしい。昔のパソコンか。
「私も聞いたことがないわ。説明して」
柴田さんがこちらを見る。
「……はいはい」
俺は小さくため息をついた。
「これはアイザック・ニュートンっていう物理学者の有名な言葉なんだ」
「ニュートンって、リンゴの人ですよね!」
山本さんが勢いよく食いつく。
「そう。そのニュートン。ニュートンは、『私が遠くを見ることができたのは、巨人の肩の上に立っていたからだ』って言ったと伝えられてる」
「どういう意味?」
柴田さんが聞く。
「昔の偉大な学者や研究者たちが積み上げてきた知識があるから、自分はその続きを見ることができるってことだ。数学も科学も医学もそうだけど、誰もゼロから始めてるわけじゃない。先人が残した知識を学んで、その続きを研究する。だから人類は進歩してきた」
「つまり……昔の知識があるから今があるってことね」
「そういうことだ。ニュートンほどの天才ですら、『全部自分の力です』なんて言わなかった。むしろ先人に感謝してた」
俺は頷き柴田さんにそう伝える。夏樹が嬉しそうに笑う。
「ね? すごい考え方でしょ? ニュートンほどの天才でも、偉大な先人たちが積み上げてきた知識の上に立つから、自分もさらに先を見ることができるって言ってるんだもん。だから、本を読むことも、昔の人たちから学ぶことも、決して間違いじゃないんだよ」
「まぁ実際、生成AIだって、膨大な過去の知識を学習して、その組み合わせから答えを返してくれてるわけだしな。効率よく知識を得るのか、俺みたいに回り道しながら本を読むのか。その違いくらいだろ」
俺も苦笑しながらそう伝えると、夏樹は満面の笑みで頷いた。
「うん!だから私は創ちゃんが好き」
…………は?
「「「「え?」」」」
その場の声が見事に重なった。柴田さんまで口を開けて固まっている。西海も川村も目を丸くしていた。
「え!? あっ!」
夏樹の顔が一気に真っ赤になる。
「ち、違う! 違うの! そういう意味じゃなくて!創ちゃんみたいに、回り道をしながら色んな人の考え方を知るっていう方法が好きってこと!」
両手をぶんぶん振り回しながら慌てて訂正する。
「……そうだよな?」
俺まで妙に焦ってしまった。
「びっくりしたぞ」
「もう! 本当にそういう意味じゃないから!」
夏樹は耳まで真っ赤に染めていた。
「そうだよな!? 広瀬さんが山神を好きになることなんてないはずだから」
西海が笑いながら言う。すると柴田さんが冷たい目を向けた。
「なんであんたが夏樹の考えを言い切れるのよ」
「俺じゃなくてもそう思うさ。ぼさぼさ、よれよれ、不愛想な陰キャだぞ? 好きになる方が珍しいじゃねぇか」
西海は肩をすくめる。
……おぉ。結構な悪口を真正面から言われたな。ここまで来ると、逆に感心するレベルだ。
「……」
「……」
「……」
妙な沈黙が流れた。
何だ?
俺が三人の顔を見ると、夏樹、柴田さん、山本さんが揃ってじっと俺を見ている。
「創ちゃん、何か言い返さないの? 悪口言われたよ?」
「何でお前が怒ってるんだよ」
俺は首をかしげた。
「悪口といっても、ほとんど事実だからな。俺は陰キャではないとは思ってるけど」
「そりゃ怒るよ! 目の前で私の……」
「私の?」
そこで夏樹の動きが止まった。
ぼんっ、と音が聞こえそうなくらい、一気に顔が真っ赤になる。
……熱か?風邪でも引いたか?いや、頬だけ赤いな。リンゴ病か?
ちなみにリンゴ病は正式名称を伝染性紅斑という。昔読んだ本に――
「あぅ……」
俺がどうでもいい知識を思い出している間に、夏樹はしゃがみ込んでしまった。やっぱり体調悪いんじゃないか?
「夏樹、大丈夫か?」
俺が声を掛けようとすると、山本さんが先に駆け寄り、夏樹の頭をよしよしと撫で始める。
「山神君はあーですから、仕方ないですよ」
「俺の何が仕方ないんだよ!」
「今はAIとかスマホと思った方が楽です」
「わー。人外扱いされた」
俺が軽く抗議しても、山本さんは「うんうん」と何かを悟ったように頷いているだけだった。さっぱりわからん。
「あんた、本当に腹が立たないの?」
今度は柴田さんが聞いてきた。
「と言われてもな。さっきも言ったけど、ほとんど事実じゃん。それに、夏樹だけじゃなく、人に好かれようって努力を一切してないんだから、好意を持ってもらえるなんて思ってないぞ」
少しだけ考えて付け加える。
「もちろん、嫌われないようにしようとは思ってるけどな」
無意味に人を傷つけたり、失礼なことを言ったりはしたくない。でも、だからといって積極的に仲良くなろうともしてこなかった。夏樹たちみたいに、お互いを思いやって、助け合って、時間をかけて信頼関係を築いてきたわけじゃない。
……まぁ、努力したから必ずそうなれるとも限らないけど。
「これは駄目ね……」
柴田さんが額に手を当てた。
「何が?」
「色々よ」
説明になってない。
「はっはっは!」
西海が腹を抱えて笑い出す。
「ほんと、しょーもないな、お前! そんな身なりしておいて努力してるのは陰キャに見えないようにすることかよ! どっからどう見ても陰キャじゃねぇか!」
「西海君! 言い過ぎですよ!」
山本さんが俺の前に立つ。
……そうだよな?俺、陰キャじゃないよな?いや、ちょっと自信なくなってきた。
「学校の三大美少女がこぞってコイツの周りにいるってことは、何か弱みでも握られてるのか? 言ってくれたら俺が解決できるかもしれないぜ?」
「マジか!?」
俺は思わず一歩前に出た。
「実は俺にもよく分からないんだ! マジで困ってたんだよ!」
「……は?」
西海が完全に固まった。
何でだよ!!
俺からの相談の可能性もあるじゃねぇか!俺が相談してくるとは一ミリも思ってなかったって顔してんじゃねぇよ!
こいつら、意味もなく俺の周りに集まるから目立って困ってたんだ。西海が解決してくれるっているなら丸投げしてしまおう。
「創ちゃん!!」
「山神君!!」
「山神!!」
三方向から声が飛んでくる。振り向くと、夏樹、山本さん、柴田さんが、ものすごい形相でこっちを見ていた。
……あれ?何で?
「困ってるってどういうことよ!!」
「そうですよ! 私たち、山神君を困らせるようなことほとんどしてないじゃないですか!」
「三大美少女に囲まれているんだから、むしろ喜んでほしいものだわ」
三人とも言ってることは違うのに、怒っているという点だけは見事に一致していた。
……これはまずい。俺の長年の経験が警鐘を鳴らす。ここで言い返したら火に油だ。
逃げよう。
「ちょっ! マジで何で俺が怒られてるんだよ!」
俺は踵を返して全力で走り出した。
「西海! マジで頼む! 俺の相談に乗ってくれ!」
「えっ!? お、おい!」
完全に巻き込まれ事故を食らった西海の声が後ろから聞こえる。
「創ちゃん! 待ちなさい!」
「逃がしません!」
「ちょっと!何で走るのよ!待ちなさい!」
三者三様の声を上げながら、三人が一斉に追いかけてくる。何でこいつら朝からこんなに元気なんだよ……。校門へ向かって全力疾走しながらそんなことを考えていると、後ろからクラスメイトたちの笑い声が聞こえてきた。
「おーおー!三大美少女に追いかけられるって名誉なことだな!」
「朝から修羅場かー?」
高原と三浦が追いかけられる俺を見てのんきなことを言ってやがる。
「そんなこと言ってねぇであいつらを止めてくれ!」
「「出来るわけねーだろー」」
そう言うと、二人は何事もなかったかのように二人で会話を再開し始めた。
なんて薄情な…。
俺が理不尽に追いかけ回されていると、巨人が廊下に立っていた。




