二十二話
森が雪化粧をする冬、私とカイルが付き合ってからひと月が過ぎようとしていた。
付き合ったからといって何かが変わるということもなく、私とカイルはいつも通りの時間を過ごしていた。
まあ、二人きりの時は少し座る距離を縮めるくらいなものだ。
そんなカイルは今領地である炭鉱へ視察へ行っていてあと二、三日は帰ってこない。
ジェルには散々「寂しいの?お熱いね~」と茶化された。
屋敷前の落ち葉を掃きながらため息をつく。
手が冷たくなり、はあと息をかける。
不意に指を見ると透けている。
掌を目に当てると見えるはずのない前の景色が見える。
「…どうして?」
---その時、炭鉱では。
「噂じゃアンタ恋人がいるんだろ?どうして父親じゃなくアンタがここへ来たんだ?」
「はあ、逃げてきたんです。どう接していいかわからず。父さんに無理言ってこの炭鉱へ。」
「じゃあなんだ?もしかしてうまくいってねぇのか?」
「ええ、まあ…相手がまだ成人ではないですし…ごり押しはいけない気がして。」
「そんなの関係ねぇよ。帰ったら抱きしめてキスや『愛してる』の一つ言ってやりな!!」
「…はい…」
ぬるいコーヒーを飲みながら休憩していると地面が揺れ始める。
「やばい!!地震だ!!崩れるぞ!!!!」
-----その日の夜、寝ていると久々にメールが現れた。
美女さん…手が透けたのと何か関係があるのね…
「ええ、あのね、私が勝ってにこの世界に住まわせていることを神様にバレたの…」
えっ!?この世界に来た理由って神様に選ばれたからじゃないの!?
「ごめんなさい…あれは嘘なのよ…このことを知った神様は今すぐにでも地球の輪廻転生の輪に入れようとしているの。だからね、少しずつ透けてこの世界の貴方は消えてしまうことになるわ。」
そんな…せっかくカイルと…
「ごめんなさい…しかも、今いる世界であかかわった人達の記憶から貴方の記憶は一切消えてしまうの…ごめんなさい、ごめんなさい」
そう美女さんの声が遠くなり、目が覚めた。
「…消える…私が、消えるの?また・・・消える。」
手を見ると今は透けてはいなかった。
「近いうちに、透けて消えてなくなるのね。カイルになんて言おう…」
ドタドタと階段を駆け上ってくる音がする。
「大変!!アケミ!!大変!!」
「カイルが視察に行った炭鉱が地震で崩れたんだ!!」
ドア越しに放たれた言葉に真っ青になる。
「まさか…そんな…」
アケミは飛び出し、階段を駆け下りる。
「アケミちゃん待って!!一人で行くのは駄目だよ!!」
「退いてください!!」
アケミはフォッカとジンを押しのけ、走って屋敷を出た。
走って走って町へ出、そのまま右へ曲がってきた馬車にひかれてしまった。
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「まさか…カイルもアケミちゃんも…いなくなるなんて…」
屋敷へ帰って来たのはあちこちにあざのできた二人の亡骸だった。
四人は泣きながら二人を見ている。
【泣くのは一旦やめてください。】
突如女のひとの声がして四人はハッと前を向いた。
向くと半透明な美女の姿があった。
次回最終話




