二十一話
段々と秋が深まり霜の降りる季節になってきた。
どうやらこの世界の気温や季節は日本と同じらしい。
私は少々黄昏ながら窓を眺める。
理由は簡単だ、またルゥナたちのみで舞踏会へ行ってしまったのだ。
本日は見張りのためにフォッカさんも家にいるが行きたい気持ちに変わりはない。
「…フォッカさん…」
「だめですよ、いくらお願いされてもこの家から出すわけには参りません。貴方のことです、ひとたび家から出たらエプロンドレスでも舞踏会へ行くつもりでしょう。」
「…ッチ、ねえフォッカさん。お話ししましょうよ。」
フォッカさんの隣に密着するように座る。
「な、なんですか。」
「フォッカさん、数日前にジンおじ様の部屋に入っていきましたよね?」
「……」
「フォッカさんの入った後、覗いたらフォッカさんおじ様がお気に入りのツボ、誤って割ってましたよね?そのあとでまた部屋をのぞいたらおんなじ形のツボがあったので少し可笑しいな~っておもったんですけどあれは…?」
「…はぁ…黙っててくださいよ?」
「というとは?」
「…馬車を出しましょう…ドレスに着替えて来てください…」
見事フォッカさんの弱みを突き、舞踏会への切符を手に入れたアケミは小躍りしながらドレスに着替え、馬車で会場である他の貴族の屋敷へ向かった。
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「ねぇ、見てあの素敵な人」
「…どこのドレスかしら…」
「なんでも、身分が高いので名前は伏せるんですって!」
「道理で見たことない女性だとおもった。」
「可愛らしいわね~」
誰か目を引く女性が居るのか、会場にいる男も女もコソコソと話している。
身分の高い人ならばツテを作っておいた方がいいと思い、カイルは噂をされている女性を探す
。皆その女性には近づかず、遠目から見ているだけなのですぐにわかった。
淡い黄色のドレスにハーフアップにしている髪の毛、初めて見る後姿のはずなのに胸が早鳴る。
「お嬢さん。私と踊りま…」
振り向いたお嬢さんの顔を見て目を見開き、固まる。
「…あ、けみ?」
アケミはゆっくりと優雅に頷く。
誰にやってもらったのか、完璧に化粧が施しているアケミからは普段の愛らしさからは見られない色香があった。
「美しい人、どうか私と踊ってはくれませんか?」
アケミはゆっくりとほほ笑み、私が差し出した手を取る。歌が始まり、二人は踊りだす。
「…アケミ、何故ここにいるんだ?」
「フォッカさんに連れてきてもらったのよ。メイクもフォッカさんが。」
「はあ…家で待ってろと言ったのに…」
アケミはペロッと舌を出して「ごめんね」と笑う。
「丁度良かった…私はアケミにずっと言いたいことがあったのだ。」
気が付くと会場から出て二人きりになっていた。
カイルが足を止めるのでアケミもすかさず足を止める。
カイルは手首を握りながら「私はアケミのことが好きだ。付き合ってくれ。」という。
私は待ってましたというように微笑み、「はい。」と快く受け入れた。
二人は抱き合い、幸せな時間がずっと続くとこの時は思っていた。




